2019.7.12
ボイラー本体:100cc
「あきら製作所 弁慶号」流用
「#11プラレールライブスチーム製作 その1」では機関車の製作とエアコンプレッサーによる運転までを報告しました。コンプレッサーによるエア運転ではうまくいっても、ボイラーの発生蒸気で同じように走行できるかは分かりません。コンプレッサーで発生する圧力と同等の蒸気圧をボイラーで実現出来るかがポイントです。その2ではボイラーとバーナの製作と機関車に組込んでのテスト結果を報告します。図1に出来上がったボイラー(試作3)と機関車の外観を示しています。
【結果】
気化したアルコールに引火して空気取り入れ口から炎が漏れ出し危険な状態となることは避けられました。とりあえず、ボイラー試作3を使って試運転の段階に進みます。これらの対策には実装変更が必要な為、全体を作り直すこととします。 なお、ボイラーと蒸気エンジン方式(ロス・ヨーク機構)はこのままとし、プラスチック歯車、アルミ材の導入して軽くすることで次の「#12プラレールライブスチーム」をチャレンジをしたいと考えています・・・・。
車輛自身の重量、機関車とボイラー車の重量は1316g(かなり重量感があります)、さらにレール半径27cmを走行ではレールの端と車輪との接触抗力を考えるとかなりの負荷となると想定されます。また、車輛の作りやすさと恰好良さを優先した結果、使用部材が厚くなってしまったことが重量増の要因と思われ、当初から重量を意識することが重要であると考えています。
試運転結果は、蒸気パワー不足で蒸気機関車のプラレール上の走行は出来ませんでした。試運転では蒸気エンジン周辺の蒸気凝結水の多さが目立ちました(図15参照)。これが失敗のヒントとなるかもしれません。次のライブスチーム製作に向けて、下記に改良点をまとめました。
燃焼状況
6.3mm
ベアリング
安全バルブ
アルコール
タンクと隔離
火室
ボイラー本体は
「弁慶号」を流用
給水口
安全バルブ
安全バルブ
煙管
煙管
エンジン部分に真鍮ブロックを多用した為に熱容量が増大、また、シャーシの熱放散も増大したことで、蒸気凝結が促進され蒸気パワー不足が生じたのかもしれない。さらに、蒸気供給パイプ長も蒸気冷却の要因と考えています。
いよいよ蒸気運転です・・。下記ボタンをクリックすると、アイドル運転の動画サイトにジャンプします。
ボイラの蒸気発生能力の定量把握は難しい為、エンジンを接続しない状態で発生蒸気が水平方向に送出される長さを基準として相対比較することとしました(図11参照)。試作3ボイラーでは22cmまで蒸気が送出され、体感的なパワーはまあまあということで、この値をベースに考えていくことにします。 テストは水を90cc、アルコールを25ccで運転を開始し、2〜3分で蒸気が出始め、10数分間蒸気発生を確認しました。
【結果】
試作2では火室としてアルコールタンクごと囲い、熱でアルコールを気化することを狙いましたが、漏れ出たアルコール気化ガスに引火、炎が空気取り入れ口から外に出るなど危険な状態が発生してしまいました。火室の構造に問題があると考え、アルコールタンクには直接加熱しない方向で試作3を考えました。
【結果】
水容量が少ない事が当初から気にはなっていましたが、やはり発生する蒸気量は全く少く、パワー不足で蒸気エンジンを駆動するには問題外です。全く不十分な結果に終わりました。なお、エンジンの運転時間は4分程度でした。
図15 蒸気エンジン周辺の蒸気凝結
蒸気凝結水が多い
考察 試運転は残念な結果に・・・
図14 機関車アイドル運転の様子
運転試験
図13 バーナ点火直後の様子
図12 バーナ点火直後の様子
図12はバーナ部の様子です。芯となるスチールウールに点火直後は心もとない状態ですがボイラーにセットすると、間もなく炎の放射熱でアルコールが気化し図13の状態となります。
蒸気口は内径2mm
発生蒸気が水平に送出される長さで相対比較:
試作3では約22cm
発生蒸気
図11 ボイラ蒸気発生テスト
ボイラー試作3 蒸気発生テスト
図10 ボイラー外観
バーナ高:28mm
バーナから:35mm
バネ
図9. ボイラー試作3 外観
アルコール給油口と
気化ガスの燃え口
スチールウール
ボイラー試作3 炎部分のみ火室で囲み、放射熱からアルコールタンクを隔離
図8. 試作2 バーナ部分
図7. 試作2 ボイラー火室
図6. ボイラー試作2を機関車に接続
ボイラー試作2 ・・・ボイラー容量を増加、バーナを変更
図5. 試作1 ボイラー火室と全体の様子
アルコールバーナ
給水口
図4. ボイラー試作1を機関車に接続
運転時間を犠牲にしても外見を重視し、小型化を優先せざるを得ません。しかし、パワーのことも多少考慮し、ボイラーに1本の煙管を設け伝熱性を考慮しました。ボイラーの水容量は30cc、アルコール容量は15ccとし、運転時間は5分程度を想定します。
ボイラー外観を図4に、内部構造、火室の様子を図5に示しています。
ボイラー試作1 ・・・・外見を重視、小型化を指向
図3. エアコンプレッサー運転では約0.5気圧
を表示(以外と低い)
図2. 走行プラレール半径は27cm
機関車アイドル運転
エアコンプレッサー表示圧力:約0.5気圧
半径27cm
必要な発生蒸気圧を把握の為、走行する半径27cmの円形レール(図2)上をコンプレッサー運転で機関車を走らせ、その時のエア圧力と走行の様子を知ります。 手持ちのコンプレッサーのエアではでまずまず の走りです。アイドル運転状態では圧力計は0.5気圧(0.05MPa)、思ったより低い値です(図3参照)。この蒸気圧を発生出来るボイラーが出来れば動画相当の動きは実現できるはずです・・・・。
ボイラーの容量と火力さえあればこの蒸気圧はクリアできそうですが、プラレールゲージの大きさを考えるとそう簡単にはいきません。とりあえず、運転時間を5分程度と想定してボイラー容量とアルコール容量を考えます。とにかく、作ってみないと分からないということで、3度の試作をしました。
ボイラーの試作
図1. #11プラレールライブスチーム外観(ボイラー試作3)