アルコール式ボイラー#2

加熱パイプ

バーナー作成

アルコール式ボイラー#2を製作しました

燃焼の様子

 バーナーの構造はこれまでと同様に、スチールウールの毛細管現象でアルコールを吸い上げ、バーナー自身の熱でアルコールを気化し燃焼する仕組みです。 今回はボイラー本体を多少大きくしたことで火力もこれまで以上にアップする必要があり、アルコールの気化量を増やす為にパイプを内径10mmに拡大し、スチールウールの量も増やしてみました。 燃焼室全体の熱でタンク全体が熱せられアルコールが気化しますが、ガスを外に排出し燃焼させる為にスチールウールの入っていないバーナも中心に設けています。 図5にバーナの部品と完成の様子を示しています。 なお、気化パイプに入れるスチールウール量ですが、入れすぎると空気の流れが悪くなる為、いろいろ試してみる必要があります。

 計画中の船外蒸気エンジンはボイラーとエンジンを分離する為、ボイラーは多少大きく出来ます。今回のボイラーのポイントは蒸気圧を高める対策としてボイラーの容量を200cc(#5船外機では90cc)に増加すること、バーナ部を拡張してアルコール気化量を増加(バーナ気化部の内径6mmを10mmに拡張)すること、ボイラー煙管の位置とバーナの位置を合わせて熱効率を高めるといった点が挙げられます。 ボイラーの内部構造イメージを図3に示します。

 船外蒸気エンジン#5はボイラーとエンジンを一体化した構造で、ボイラーの小型化を重視しすぎた為に蒸気パワーが不充分という結果になってしまった。 次の船外蒸気エンジンではボイラーを分離した船外エンジン#8を計画していますが、今回は#8蒸気エンジン(単気筒複動式)の接続を想定したボイラーを製作することとしました。 前回のエンジン一体型ボイラーでは、ボイラーの水容量が少なかったこと、バーナー火力が不足していたこと、バーナー位置と煙管位置に問題があった等がパワー不足の要因と考えており、今回のボイラーはこれらの改良することが狙いです。 製作するボイラーの仕様を図1に、外観を図2に示します。 なお、煙突は実質的な効果よりも見た目を重視して付けてみました。

バネ

蒸気を

逃がす

ボール

ベアリング

蒸気

注水口

バネ調整ネジ

バネ調整で逃がす蒸気圧を調整

六角棒を加工し雄ネジを切ります

安全バルブと蒸気口/注水口は真鍮棒からドリル加工で作成しました。 構造を図9に示します。 安全バルブは1〜2気圧程度で蒸気を逃がすように、適当なバネを使用しています。

安全バルブと蒸気口/注水口

図8 燃焼室作成

ボイラー完成

ボイラー本体を固定する燃焼室は厚さ0.5mmの真鍮板とフレームとなる6mmアルミ角材で構成しています(アルミは価格が安い為)。 燃焼室作成の様子を図8に示します。

燃焼室作成

バーナの点火は、あらかじめアルコールを気化する必要があります。 はんだ付けに使うガストーチを使ってパイプ周辺を数10秒熱し、スチールウールにしみこんだアルコールを気化させ点火します。 燃焼テストでは1分程で炎は安定化、60mm程度の青色の炎となり、まずまずの結果が得られました。 

アルコール注入口

 バーナと一体化した燃料タンクはボイラー本体と同じ直径89mmの真鍮パイプを利用して作成しました。 図6に燃料タンクの作成の様子を示します。

アルコールタンク作成

仮組立

気化パイプ:外形12mm

バーナ取付け部品

煙管 5本

蒸気口/注水口

取り付けネジ

ボイラー側面

89mmパイプ

安全バルブと蒸気口の取り付け部品

煙管:内径10mm銅パイプ

 ボイラーは直径89mm、肉厚3mmの真鍮パイプを利用し両端を円板で塞ぐ形で構成します。 両端はパイプの両端内側を削り、円板(厚さ3mm銅板)をはめこみます。 ボイラーには内径10mmの銅パイプによる煙管を5本設けることで熱伝達の表面積を広げています。 ボイラー本体の部品と組立の様子を図4に示します。 なお、これらの部品は銀ロウ付けで組み立てています。

ボイラー本体作成

バーナ(1本)

外形12mm銅パイプと加熱する為の4mmパイプから構成し、内部にスチールウールを詰める。

バーナ(4本)

熱で気化したタンク内のアルコールガスを排出、燃焼バーナと(スチールウール無し)

47mm
60mm

ボイラー本体

外形89mm真鍮パイプを利用してボイラー本体を作成

ボイラー内部構造

60mm
78mm
128mm
89mm
縦107mm×横107mm×高さ147mm
15分 単気筒複動式(ボア15mm、ストローク12mm)運転時
100cc
200cc 
煙管:5本 炙り釜方式
アルコール焚き
外形寸法(本体) 
運転時間(目安) 
アルコール容量
ボイラー水容量 
形式
ボイラー#2 仕様  
図1 アルコール式ボイラー#2 仕様

 完成したボイラーの試運転では「単気筒複動式蒸気エンジン#4」(ボア12mm、ストローク14mm ピストンバルブ式、ロス機構エンジン)を接続、ボイラーに水200cc、アルコール100ccを入れ、バーナーを点火しました。 ガストーチでバーナ部分を30秒程熱するとアルコールが気化し点火し、シューシューという音を発し12分程で炎は安定化します。 その後、3〜4分程で蒸気が発生し蒸気エンジンは回転を開始、まもなく最大回転となります。 エンジンがどの程度のトルクを出せるかが最大の問題ですが、このエンジンでは回転軸を指でつまんでも止められない程度の力です。 また、運転時間は目標としていた15分をクリヤーし、まあまあの試運転結果となりました。 図10にテスト運転の様子を示します。

フレーム

6mmアルミ角材を利用して側面板を

ネジで固定する

点火はガストーチで数十秒熱しアルコールを気化させ点火します

運転状況の動画 

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テスト運転の動画は下記をクリックしてください。

図10 テスト運転の様子

ボイラーテスト運転

図9 安全バルブと蒸気口

安全バルブ断面

蒸気

蒸気口/注水口断面

燃焼室の内部

燃焼室の様子

ボイラー本体の取り付け部品

図7 燃焼テストの様子
図6 ボイラー本体の作成

バーナ 1本

燃焼室の熱で気化したアルコ−ルを排出燃焼

バーナ4本

空気抜きパイプ

空気穴

バーナ

角棒にドリルで

穴をあける

旋盤加工で出来た

穴を塞ぐ

燃料タンクー側面

89mmパイプ

底板:3mm真鍮板

上面板:3mm真鍮板
図5 バーナーの作成

スチールウールを挿入

銀ロウ付け

ガス噴出口 1mm

図4 ボイラー本体の作成

煙突取り付け

板のネジ

ナットをロウ付け

安全バルブ取り付

けネジ

面板:3mm銅板

パイプ内面を削り、面板がはまるように加工

図3 ボイラー本体の内部構造

ボイラ上面イメージ

蒸気口

安全バルブ

燃焼室

炎が煙管に達するように、煙管とバーナ位置を合わせる

外形89mm真鍮パイプを利用して燃料タンクを作成

アルコール

ボイラ断面イメージ

スチール

 ウール

107mm

煙突

内径12mm銅パイプをロウ付け

煙管(5本)

アルコールタンク
バーナー
燃焼室
ボイラー本体 
147m
107m
107mm 
図2 アルコール焚きボイラー#2 外形図

リンク機構の動きを動画でご覧ください

190mm
115mm