テスト・実戦・答案
■数学で使用する文字・記号を“手で書く”とき(ハンドライティング)の注意点
ヘンな文字,アヤシイ記号を書いて採点官を困らせ,自分自身の首を絞めているアナタへ!(笑)
次の2本の動画で解説しています.
2つの動画内で述べた
事柄の要約(pdf)がこれです.
■テスト・実戦・答案に関する諸注意
以下,「テスト」「答案」に関するポイントを思いつくままに列記します.
同内容を,実際に答案を書きながら解説した動画があります.
Part1:2次関数
Part2:数列
これらを合わせると,下記の注意点をだいたい網羅しています.
- 以下に記すことは,日々のテスト演習の中で,体験を通して次第に身に付くことです.このページそのものを頭だけで記憶しようとしても無駄ですよ.
- 以下で,とくに「答案の体裁」に関わる項目には◆印を付してあります.
- 以下において,採点上どう評価されるかという話は,あくまでも私の業界人としての常識感覚・噂話・推測です.最終的には,採点官個人の趣味で決まるので,「ホントに減点されますか?」とか口が裂けても私に聞かないこと!(笑)
学校の定期テストは,担当の先生に直に確認しておきましょう!
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試験前ドキドキ.緊張するのは良いこと.少なくとも眠いのよりはずっと・・・.心拍数が上がり過ぎてると感じたら深呼吸.「吸呼」ではなく「呼吸」.吸おうとしないで長~く吐く.吐いた分だけ自然に吸えばいい.
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まずは,解答用紙に名前・受験番号などを書く.読める字で.
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もちろん答案も,読める字で.上手でなくてもいいから.
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採点官が識別できる字で書くこと.例えばアルファベット小文字の「b,q」は,筆記体にしないと数字の「6,9」と間違われやすい. → 『動画参照』
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例えば数列の番号を表す「添え字 n」などは,ちゃんと小さく下に寄せて書くこと.単に「an」と同じ大きさで書いたら「a×n」としか読めない.
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数学の文章では,「式」も「言葉」として扱う.よって例えば
と書いたら,
2(a+1)-1=2a+1 が成り立つ。
という“主張”をしたことになる.毎回毎回「が成り立つ。」を付けるのは時間と答案スペースの無駄使い.だいいち,クドい.
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数学の文章では「,.」(カンマ ピリオド)が基本.まあ「.」は「。」でもよいが,「,」を「、」で代用されると数学屋さんはかなり違和感を覚える.
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◆解答用紙は縦2つに割って.式は縦に並べる方が見やすい.
ただし,最初から“縦割り線”をカッチリ書くのもよろしくない.左列を「だいたい横幅の半分」のつもりで使い終わった段階で,いちばん無駄のない位置に縦割り線を書くのがよい.少しくらい線がデコボコしても構わない.
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やるべきことが決まっていて,すぐに手が動く問題からやる.(たいてい微積分)
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ただし,やってみて計算量が多かったりしたら,途中でも後に回す.
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第3問→第1問→第4問・・・の順に解いたりする場合,「第3問の解答を第1問の解答用紙に書いちゃった!」なんてことにならないように.
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とにかく,小問1つでもいいから早く解く.(それによって緊張がほぐれる)
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「確率」「論証」などの発想力主体の分野は,通常初めには解きたくない(?).小問1つでも解いて心理状態が安定している時間帯にやれるとベスト.
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試験時間の序盤では,少しでもつっかえたらすぐにパス.
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試験時間の経過とともに,考え込む時間を徐々に長くとる.
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月並みだが,問題はよく読む.「外分」を「内分」と読み違えたりすればそこでおしまい!
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ミスが出やすいのは「解き始め」(題意の取り違え)と「解き終わり」(「ふぅ~」と気が緩む).→後でまた詳しく.
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◆解答の間違いに気付いた場合,もちろん消しゴムでキレイに消して直すのが普通だが,消す量が多かったり「もしかしてやっぱり合ってるかも??」なんて迷いがあるときは,線を引いて消しておくだけでもOK.ちゃんと見てくれるって.
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そもそも大学は,こんな限られた時間の試験において,完璧な答案作成など期待していない.受験者がカンニングせずちゃんと自分で正しく考えているかを重視する.
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だから,模試の模範解答並みの答案目指しちゃダメ.あれは,ヘンなセンセイからいちゃもん付けられないように書かれたもの.クレーマー対策.ヒドイ時には「満点」の答案の2倍以上の行数が書かれていたりする.
私は,授業では「まあこれでほぼ満点かな?」くらいの答案を板書して,生徒さんに目安として提示している.
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一度説明したことと同じ思考・計算過程を“なぞるだけ”の部分は,「同様に」の3文字で片付けて結果のみ書けば許されるだろう.
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問題を見るなり,いきなり解こうとしないで,まずは問題の意味,数学的現象をキチンと観察する.そして,ある程度の方針・ストーリーが見えてから解答用紙に向かう.
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とはいえ,ただ積分計算するだけなんて場合は,自信を持って直接解答用紙に.
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問題文に書かれた条件式をただ答案に写すだけなら無意味.式に番号を振ったりしたい場合のみ書けばよい.
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「x 軸,y 軸,および放物線 y=3-x2 で囲まれる部分の面積」のように,問題文から長い言葉を引用したいときは,面倒なので「題意の面積」と言ってしまってもよい.
同様に,問題文から長~い式引用するときは「与式」で済ましてもよい.(もちろん,ちゃんとそのまま引用したほうが丁寧ではあるのだが・・・)
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「題意の面積を S とおくと・・・」などと,何かに自分で名前を付ける際には,必ず問題文に最後まで目を通して他の用途で使われていない文字を
選ぶよう習慣付けよう.さもないと・・・答案中で「S」を14回書いた後,文字「S」が問題文中で球面の名称として既に使われていたことに初めて気が付き,青ざめ,消しゴムで14個の「S」をゴシゴシこすり,そうこうするうち答案用紙がビリッと破れ・・・もう最悪・・・
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面積を定積分で表すなど,立式の第1行は,考え方の道筋がそのまま現れるように書く.暗算で処理した後のものを書くのはNG.
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「求める最大値は,f (3)=・・・」「よって(*)が示された」などのように,主語を書くべし.つまり,そこに書いた主張が何についてのものなのかを言明すること.
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主語を書かないから,例えば確率の答案で「・・・白玉が一回以上出ればよい」とか,「・・・白玉が一回以上出なければならない」のように,ワザワザ「十分でしかない」,「必要でしかない」と読むしかない不正確な表現に陥ってしまうワケ。(笑)
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◆「log10 x=5 ⇔ x=105」などという自明な同値変形ごときに「⇔」なんて記号を使うのは大袈裟&お下品.やめてちょ.(大学のセンセイもあきれてるらしいぞ・・・)
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「よって」,「また」などの「接続詞」を正確に用いることにより,論理関係を明確に表したい.
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純文学小説のようなだらだら長い文章は書かない.数学の言葉である「数式」,あるいは図・表を活用して簡潔にまとめる.
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とくに「確率」「場合の数」は,純文学小説になりがち.
- 3つの選び方・・・8C3 通り
- その並べ方・・・3! 通り
などと箇条書きにまとめる.(この方が部分点ももらいやすい.)
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問題解法の中核をなす「方針」が把握できたら,細かい計算に入る前に,それを答案に書いてしまおう.たとえば
「よって求める条件は,
任意の実数 a に対して不等式①が成り立つこと・・・(*)
である.」
とか.それ自体に部分点があるかもしれないし,その後の舵取りに迷いがなくなる.
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↑その一例.場合分けをするときには,まず図などを利用して考えられるすべての場合を大雑把に提示してしまう.それだけで“方針点”がもらえるかもしれないし,全体像を把握できるので有利.
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そして,個々の場合については,易しいものから順にやる.(やってる途中で試験終了するかもしれないから)
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「う~ん.ここは厳密に示すかなあ,それとも直感で済ますか・・・」と決断する際には,その箇所が問題全体の中でどの程度の割合を占めているかを考え,要する時間と得られる(引かれる)得点を予想して天秤にかける.
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ウラワザ的なものでセコく点を稼ごう(時間を節約しよう)とするときもいっしょ.
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最後の結果を書く際には,何が要求されていたかを再確認すること.(「最大値」だけ答えて,「そのときの x の値」を忘れちゃうとか・・・)
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特に,1つの小問中で2つ以上のことが問われている場合は要注意.
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ミスが出やすいのは「解き始め」(題意の取り違え)と「解き終わり」(「ふぅ~」と気が緩む)と覚えておこう.
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「解き始め」で起こるミスの例:
「外分」なのに「内分」のつもりで解いてしまう..
「a は正」などの言葉で書かれた情報を読み落とす.
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「解き終わり」で起こるミスの例:
たとえば余弦定理である辺の長さ x を求めるとき
x2=12+32-2・1・3cos 60°=7.
と計算し終えたところで気が緩み,「7」をそのまま答として書いてしまう.この類のミスは,計算に長い時間がかかるときほど起こる.
これを防ぐには,計算に入る前に解答用紙の隅に大きな薄い字で「√」と書いておく.するとそれが目に入ってウッカリ忘れがなくなる.
計算結果の「逆数」とか,「π倍したもの」とか,「1 から引いたもの」(確率,余事象)が「答」となる場合も同様に対処するとよい.
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↑このミスをやらかした場合,記述なら「9点/10点」もらえるが,穴埋めテストだと「0点/10点」つまり,客観テストとは,「結果だけを書けばよい」お気楽なテストと思われがちだが,その正体は「結果しか見てもらえない」残酷恐怖の試験である.
「記述なら 9点/10点」といっても,その間違った答を後の設問で使う場合には・・・
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前半の設問の結果が出たとき,それをチェックしてから後半の設問に臨むべし.とくに答があまりにもキタナイ場合はちょっと待て!さもないと・・・
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試験で一番避けたいのは,前半の間違った結果を引きずって点にならない作業に時間を費やすこと.これをやったらまず落ちる.(やる人がなんと多いことか!)
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前半が証明問題になっている場合,それができてなくても後半の設問に参加資格はある(ことが多いと思われる).
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◆記述式の数学の“解答”は,答案に書いてあること全部.だから,
S=・・・ずーっと計算やってきて・・・=3/4. (答)S=3/4.
のように,最後に“結果”だけを抜き出して二度書きするのは時間の無駄.もちろんヒマなら書いてもいいけど,書いても1点も増えない.つまり書かなくても1点も減点されない.なお,「(答)」のところを「A」とか書くのは小学校までなのでよろしくね~.(笑)
最終結果には,下線をひくなどしていちおう目立つようにはしておきましょう.次のように:
S=・・・ずーっと計算やってきて・・・=3/4.
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よく、「白紙は出すな.なんか書け!」と指導されてる人がいるらしいが,まったくのウソ.間違ったことや無駄なことをいくら書いても1点ももらえやしない.白紙以上に印象は悪い.
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たとえば数列の問題で,一般の自然数 n について論じなければいけない問題を,n=1,2,3 についてのみ論じても無駄.このような“具体例による実験作業”は,答案用紙に書くものではない.書いても0点.下書き用紙にて行うべし.
- 「証明」では,暗算して途中過程を飛ばし過ぎると“カンニング”を疑われる.だって,明かされている結果からズルく“逆算”して証明に見せかけて騙そうとするジュケンセイだらけだから(苦笑).普段暗算で片付けることでも,採点官に疑われない程度には途中式をちゃんと書こう.
- 証明できていないのを自覚しながら「明らかに成り立つ.」などとやるのはみっともないからやめること.1人で何百もの答案を見る採点者を欺くなんてムリムリ.心証を害するのがオチ.
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◆だいたい,目下の「生徒」が目上の「採点官」に向かって,「明らかに」などというふざけた言い回しを使うこと自体が笑止&失礼千万.この単語,解答中では禁句ですぞ.
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◆あと,数学の答案中で使っちゃいけない記号の代表選手が,「≒」.「おおよそ等しい」などというアバウトは「解答」は許されない.もっとも,下書き用紙において答の目星を付ける目的でなら,私もしょっちゅう使ってますがね.
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そういう「目星を付ける」とか,「結果を予想」する作業まで答案用紙に書く人多いけど,書いても部分点など期待できない.(お情けで「1点」もらえることが絶対にないとまでは言えないが・・・)
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パッと見イミ不明だからといって,即“捨て問”と決め付けるのはNG.そーゆーのに限って“気づけば一瞬”ってことがしばしば.
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単純計算の途中経過には一切部分点はないと思っておこう.計算やるなら絶対に正しい答を出す!出せそうにないならやらない(っていうか他の問題を先にやる).
あるいは,ある大問を「あとは単純計算やるだけ」というところまででワザと止めておいて,他の大問で行き詰ったときの気晴らし用にとっておくなんて手も.
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残り10分位(?)になったら,解けてない問題に立ち向かうべきか,解けた問題の見直しをすべきか・・・.決断.
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最後まであきらめない.
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