4月開講時までにやるべきこと

4月から受験生活をスタートする人に対して,それまでにやっといて欲しいなぁと私が望むことを書きます.
3月は予備校の授業も一休み.自分で勉強する時間が長くなります.この期間を有意義に使ってスタートダッシュ!・・・と行きたいですね.
4月からの授業では,上位大学の入試に対応するべく高度な内容もお教えすることになります.しかし,だからといって,「じゃあ4月までに高度な問題演習をたくさんこなしてある程度“難しい問題が解ける”ようにしなくっちゃ」なんてけっぱる必要はありません.
まあ4月から毎週くどいほどお話しするわけですが,数学の入試問題ってのは,数学という学問の基本原理を正しく・深く理解することで,自ずと解けるようになるものです.だから,まだ基本がわかってない,あるいは何が基本なのかすら知らない全国何万の生徒さんたち(失礼っ!!)が,チャ○ト式買ってきてひしこいて問題解きまくる姿を想像すると・・・おお.この世のすべての受験生に救いあれ・・・
「よっしゃ.そんなら基本を独学で究めておこう」という人もいるかもしれませんね.もちろんそれができれば素晴らしいですが・・・.この「基本を正しく理解すること」こそ,数学の勉強でいちばん難しいものなのです.問題解法を覚えることなんかより遥かに.基本が独学で正しく理解できる人なら,そのへんの本屋さんで860円の問題集買ってくりゃ問題だって自力で解けるようになります.予備校なんて不要なんです.実際はというと,基本原理の正しい理解を問題解法と結びつけることがほとんどの学生さんにはできません.私にはそれができますので「職業」として講師やってられるわけです.
てなわけで,この時期やる意義があり,独学で無理なくできること.そして,4月からの授業運営において,生徒さんにいちばん鍛えておいて欲しいこと.それはズバリ「計算力」です.
数学を本当に理解するには,大まかな発想や方針を頭の表層でわかるだけでは不充分です.長~い解答経過のすべての計算を,自分の手と目と頭で最後まで実行する.それを繰り返す.こうやって頭の中に数学的思考回路ができあがって行くのです.ところがその過程で,しょっちゅう計算ミスったり,因数分解1つに1分も2分もかかっちゃったら・・・ね?イヤんなって放り出したくなるでしょ.
また,私は授業で基本的にすべての計算過程をライブで実行してみせます.このとき,私の計算スピードに“ある程度”ついて行ければ,その場でナットクでき,「正しい計算法」も吸収できる.ついて行けないと,「何やってるかわかんないけどセンセイがやってるんだからたぶん正しいんでしょ」と傍観して終わり,家帰ってからまたトロトロ復習・・・こうしてどんどんドンドン差が開いてくんですわ.なので・・・

受験数学における得点力は,計算力とものの見事に正比例します.

1つ注意.世間では「計算」をナメてる受験生が多く,解答に計算の途中経過が載ってない教科書傍用問題集で練習するうち我流の下手な計算法を身に付けてしまいます.受験レベルで通用する正しい計算法を詳しく解説した拙著「合格る計算」で日々鍛錬することをおすすめします.
この時期とくに優先的にやって欲しいのは,あらゆる分野の下地となる「合格る計算ⅠAⅡB:3~8章,13章」です.理系の人で4月から数学Ⅲを始める人は特にです.
なお,さっき「問題解く練習しても無意味」のような言い方をしましたが,「問題解いてもまったく無駄だ.解いてはいけない」とまで言ってるわけじゃありませんよ.訳わかんないままひたすら問題解きまくることで蓄積された雑多な知識の断片が,ある日ある時ある先生の一言でみごとに線で結ばれ体系化され光が射すということもありえますので.ただ,優先順位として,やはり難しい問題演習は後回しでよいと言ってるわけです.時間的余裕があるなら,あまり気張らずテキトーに問題解く練習を数こなしてもいいですよ.ただしあくまで気楽にね.

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