6.いわゆる“ウラワザ”について
前記2つの解き方から派生して,センター試験用の様々な“ウラワザ”が知られている.本書では,それらを次のように分類する.
☆ 実は数学の学理に忠実な正攻法.
▼ 本当にズルイ邪悪な解法.
☆とは「数学的本質を突いているから自分で納得するには早いが,いざ説明しようとすると面倒なので記述式の答案では使いにくいもの」を指す.だからセンター対策としてこの☆ を覚えても害はなく,2次・私大入試においても解法の糸口を得る上で役立つだろう.
一方▼は,あくまでも“穴埋めセンター試験専用”.解答のプロセス・論理を度外視してただ“結果のみ当てればいい”というもので,数学的現象を見る目を歪めてしまう.センター試験は決して最終目的ではない.私大や国公立2次試験,延いては大学入学以降も勉強は続く.だから▼ は,基本的には「非常手段」として「罪の意識」を感じながら使うべきものである.
また,1つの大問中でとくに前半の設問を▼を使って解いた場合,その場面においてはたしかに“得”をするが,近道をしてそこにたどり着いてしまったがために,本来なされているはずの作問者との対話がおろそかになり,それ以降の設問の意味が読み取れなくなる危険性をはらんでいる.(そりゃそうだ.作問者=数学者は,生徒がそんなウラワザを使うことなど想定しちゃいないんだから・・・)
だから理想としては,▼ を使えば「7」の労力で解答できるところを,あえて素朴に「10」の労力を費やして解答し,一見無駄に見える「3」の労力を,検算や,前述した作問者との対話に役立てたい.
(費やした労力) - (穴を埋めるのに必要な労力) = (余力).
だが,そのような理想論だけで目標点に達する人は決して多くないのが実情である.「余力がない!」,「時間がない!!」,「にっちもさっちも行かない!!!」というとき,▼ という切り札を持っているかいないかで「あと5点」が取れたり取れなかったりする.それが現実である.大問の最後の難しい設問・・・策も時間も尽きた・・・「しゃあないここだけは一か八かの▼頼みで・・・」このくらいなら,数学の神様もお許しくださるのではないだろうか.
という訳で,「ぜったい余裕で目標点取れる」という人は別として,▼ についても「少しでも使えたらラッキー」くらいのバランス感覚で,ある程度は知っておいた方がよいと思う次第である.
$$$ これぞ!センター流解法!! $$$
多分野にまたがる“ウラワザ”を,以下にまとめておいた.それぞれについて,前述した☆,▼ のいずれのタイプであるかを,マークを付けて明示してある.(マークが付されていないのは,微妙なもの・場合によるもの.)また,分野毎の内容に関しては各講の基本事項の最後に,「これぞ!センター流解法!!」として扱っている.
視覚的解法