減衰振動

a は正の定数とします(初期設定では a=0.1 です).なお,この座標平面は y 軸方向に 10 倍程度引き伸ばしてあります.
関数
 y=e-ax・sin x (=f(x) とおく)(赤色,太線)・・・①
について考えます.この関数は,x の増加にともなって「減衰」していく指数関数
 y=e-ax (青色)・・・②
と,-1≦y≦1 の範囲で永遠に振動を繰り返す三角関数
 y=sin x (桃色)・・・③
の積からなり,名前のとおり振動しながら減衰していきます.
また,②はつねに正ですから,①の符号は③と一致します.
そして,-e-ax≦e-ax・sin x≦e-ax より,①のグラフは,y=e-ax (青色)と y=-e-ax (緑)のグラフで挟まれた領域にありますから,青色ないし緑のグラフと点を共有するとき,つまり sin x = ±1 i.e. x=π/2+kπ (k∈Z) のとき,その点においてグラフどうしは接します.(それをキチンと示すには微分法を用いますが)
なお,関数①が極値をとる点は,前記接点と少しずれていますので誤解のないように.
次に,a の値を大きくして行きましょう.指数関数②の減衰が早まり,入試問題でよく用いられる a=1 (つまり y=e-x・sin x) になると,x > π の部分はほとんど x 軸に重なってしまって見えません(y 軸方向に 10 倍程度引き伸ばしてあるにも関わらずです!).そこで,“手”で①のグラフを描く際には,さらに y 軸方向に引き伸ばすなどして,たとえ関数値の表現が不正確になってでもグラフの特徴(極値など)が際立つようにゴマカシましょう.
最後に,a を 0.1 に戻した上で,非表示になっていた「線分A→B」,「線分C→D」を表示してみてください.x=s,s+2π における関数①の値が太矢印の向きと長さによって表されています.s の値を変えて,2つの太矢印を動かしてみてください.2つの値 f(s) と f(s+2π) の比が,s によらず一定になっているように(そう言われてみればなんとなく)見えるでしょ.(見えるよな!)実際,2πが三角関数 y=sin x の周期であるため
 f(s+2π)=e-a(s+2π)・sin (s+2π)=e-2aπ×e-as・sin s=e-2aπ×f(s)
となり,上記直感は正しいことが示されました.要するに
 x が 2πずれると,f(x)は必ず e-2aπ倍になる
という訳です.これによって,区間[0,π],[2π,3π]の部分と x 軸が囲む部分(隣り合う2つの山)の面積どうしの比も 1:e-2aπ になることが見抜けますね.(キチンとした答案を書く際には「置換積分」によって証明します.)同様にして,[0,π],[2π,3π],[4π,5π],[6π,7π],・・・の“山”の面積は,公比 e-2aπ の等比数列になります.

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