交点を通る“第3の曲線”

初期設定で表示されているのは
 円 x2+y2=3 ・・・① と
 直線 y=2x+1 ・・・②
です.

①,②を,それぞれ「右辺=0」の形
 x2+y2-3=0 ・・・①’
 2x-y+1=0  ・・・②’
にしたときの左辺を用いて,方程式
 (x2+y2-3)+k (2x-y+1)=0 (k は定数) ・・・(*)
を作り,これが表す曲線について考察していきます.

それでは,非表示になっていた①と②の2つの交点PQ,および曲線(*)(z3と表示)を,この順に表示させてみてください.(初期設定では,k=1 になっています.)

曲線(*)は,2交点P,Qを通っています.試しに k の値を変えてみてください・・・・・・どうやら(*)は,k の値によらず,つねにP,Qを通るようですね.その理由を説明します.

交点Pの座標は,実際に求めてみると (〔-2+√{14}〕/5 , 〔1+2√{14}〕/5)とヤヤコシイのですが,この具体的数値は気にせず,とにかくPの座標を方程式(*)の左辺へ代入するとどうなるか考えましょう.
まず,Pは円①’上の点ですから,①’の左辺:x2+y2-3 の部分の値はゼロです.また,Pは直線②’上の点でもありますから,②’の左辺:2x-y+1 の部分の値もゼロです.よって,(*)の左辺全体の値は
 0+k・0=0
となり,k がどんな値であっても方程式(*)は成り立ちます.つまり,曲線(*)はいつも必ず点Pを通るのです.(もちろん交点Qについてもまったく同様)

このことを利用すれば,たとえば次のような問題が手早く解けます.(非表示になっている点Aを表示してください.)

「円①と直線②の2つの交点P,Qと定点A (0,3) を通る円Cの方程式を求めよ.」

 1°前述の通り,(*)は k の値によらずP,Qを通る.
 2°(*)は,(式の形からして)k の値によらず円を表す.
 3°(*)が点A (0,3) を通る条件は,(*)に(x,y)=(0,3)を代入して
     6+k・(-2)=0 i.e. k=3.
以上より,求める円Cの方程式は,k=3 のときの(*)で,
   (x2+y2-3)+3 (2x-y+1)=0
 i.e. x2+y2+6x-3y=0.・・・(答)

これで,円①と直線②の交点を通る“第3の曲線”の方程式が,P,Qの座標(数値がキタナイ!)を求めずして得られた訳です.


次に,逆な見方でこんな問題を考えてみましょう.

「円 x2+y2+2kx-ky+k-3=0 が,k の値によらずつねに通る定点の座標を求めよ.」
   (↑じつは(*)と同値な式)

ここまでの話を知っている人なら,前記の交点P,Qが求める点であることはもうお分かりかと思いますが,ここではそうした予備知識なしでマジメに考えます.

求める定点の座標を (X,Y) とおきます.題意の円がこの点を通る条件は,x,y にそれぞれ X,Y を代入して
 X2+Y2+2kX-kY+k-3=0. ・・・③
X,Yが満たすべき条件は,
 ③が任意の k について成り立つこと・・・(★)
です.
2箇所の下線部をご覧頂くとわかるように,いま③においては,
 X,Yは定数.k が変数
です.そこで,③を変数 k について整理すると
 (2X-Y+1)・k+(X2+Y2-3)=0.・・・③’
(★)は,③’が任意の k について成り立つ,つまり③’が k に関する恒等式となること.すなわち
 2X-Y+1=0 かつ X2+Y2-3=0.
これを解いて,求める定点の座標は
 (X,Y)=(〔-2±√{14}〕/5 , 〔1±2√{14}〕/5) (複合同順).・・・(答)

注目すべき点は,円の方程式③においては
  x,y が変数.k は定数
だったのに,③’では文字の役割がまるで逆になっているということです.
この“視点の切り替え”は難しいですよねえ.function view 数学Ⅱの「直線の通過領域」においても,これと同じことが行われます.


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