この本は,受験生および受験を意識し始めた高2生が,(中間・期末試験ではなく)受験&大学以降に向けて計算法を進化させていくための問題集です.毎日20分.本書で計算練習を積み重ねれば,日々学校・予備校で学ぶ内容に関する習得の速さ,深さが格段に変わります.
たとえばあなたは$\displaystyle \sum_{k=1}^n(3k-2)$ をどのようにして計算しますか?もしや $$ 3\sum_{k=1}^nk-\sum_{k=1}^n2=3\cdot\frac12n(n+1)-2n=\cdots $$ なんてやってませんか?だとすれば,あなたは損をしています.
数の並びそのものをチョコッと考えれば,この和は $$ 1+4+7+・・・+(3n-2) $$ という等差数列の和ですから $$ \frac{1+(3n-2)}2\,n=\frac12n(3n-1) $$ と一気に求めちゃえば済む話ですね.
上記2つの違いはほんのちっぽけなことでしょう.しかし,その「ほんのちっぽけな違い」の積み重ねが,大きな得点力の違いになって現れたり,あるいはたった1つの「ちっぽけなこと」で,入試問題1問丸ごと解けるか・解けないかが決まったりしているというのが,長い年月に渡り受験生相手に数学を教え,何万枚という模試の答案を見てきた体験を通しての実感です.「計算すらままならない」生徒から,それこそ「医学部目指してバリバリ」の人まで,実に多くの学生が下手な計算法のために取れるはずの点を取り損ねています.そうした人を救済するために,この本はあります.
「先生」は,ある単元を「初めて」教えるとき,あくまで初学者向けのとっつきやすい計算法しか教えない(教える訳に行かない)ことが多いのですが,その「初学者向けの計算法」とは往々にして受験レベルではトロくて使い物にならない代物だったりします.そしていざ初学者を卒業した頃にはもう次の単元に移っており,進化した計算法を教えている暇などありません.なのでけっきょくは生徒自身が,受験&大学以降に向けて徐々に計算法を進化させて行かねばならないのですが,それをサポートする書物も見当りません.学校配布&市販の問題集も「先生」と同様,計算練習的な問題集は初学者向け,入試レベルの本になると計算は生徒任せなのです.結果として多くの受験生は,各々“我流”の,ほとんどの場合下手な計算法を携えて入試に立ち向かっています.
そこで私は,
  受験生のための,
  受験で役立つ計算練習問題集
を書きたいと思ったのです.

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