2007年8月28日 皆既月食

 8月28日は朝から雨降りでした。前日の天気予報から月食の観望はほぼ無理とあきらめていましたから平穏な気持ちで1日が過ぎようとしていました。ところが、17時くらいに雨が上がると、急に西の空が明るくなり、18時前には厚い雲に切れ間が見え始めました。切れ間からはまだ青空とはいきませんが、絹層雲などかなり高層の雲が見えました。これなら薄雲を通して月が見えるのではないか…地区の行事が済むと自宅にとって返し機材を持って東側が開けた近くの農道に向かいました。前景が良いところまで行くにはあまりにも時間がないし、あまり山の近くによるとかかっている雲の影響を受けると考えたからです。結局、盆地の中央部、長野自動車道からわずか200mほど西によったところに店開きしました。
 東側は美ヶ原があり、おまけに雲もかかっています。こんな状態なら皆既から後半が見られれば御の字と思っていましたから、それほど急ぐことなく機材の準備をしました。準備中に散歩の人から、「こんなんで(こんな天気で)見られるんですか」と言われつつも、皆既に入る頃には準備が整いました。
(カミさんからも携帯に着信あり「どこに行ってるの」「近所の田んぼの中で月食撮ってる」「こんな天気で…(絶句)…」)
 しかし、雨上がりということもあり空が靄っています。特に月があるはずの東の方角はひどく、靄なのか雲なのかわからない状況です。
皆既中の月はぐっと明るさが落ちるので、この靄や雲を通して見えるのか不安になります。

皆既の中央時刻を迎えようとしています。その時、東南東の空にぼんやりと丸い形が浮かび上がりました。皆既中の月です。あわててまずEF70-200mmf/4LをつけたKissDNに駆け寄り構図を決め始めました。これ以上月の高度が高くなると、この望遠では地上の風景と写し込むことができなくなるからです。ところが構図を決めているうちに、月の左上がもやに入り始めました。とにかく1枚はとシャッターを切ったのが下の画像です。手前は長野自動車道の土手、さらにその向こうは松本市街地の明かりになっています。高速道路を走行する車両のテールランプが赤く光跡を引けばおもしろいかなと思ったのですが、残念ながらかないませんでした。そして月は再び雲の中へ…

2007年8月28日 19時27分  EOS-Kiss Digital N  EF70-200f/4L を 70mm F4で使用
 ISO800 RAW  露光2秒  ステライメージ5で画像処理

こんな状態ですから楽しみにしていたみずがめ座σ星の潜入も見ることができませんでした。じりじりとした気持ちで待つこと40分、ようやく皆既中の月が雲の上に現れました。望遠鏡での撮影開始です。自分は相変わらず月や惑星では旧型デジカメでのコリメート撮影をしています。最近の一眼デジカメもライブ・ビューができるようになりましたが、やはりライブビューは…あれ、皆既中の月は写らないの… ピントは月が見えるようになるのを待つ間に一応アルビレオで合わせてあったので、それが正しいことを信じて撮影を開始しました。
もう皆既の時間が終わりに近づいているので月の左下がかなり明るくなってきていました。

2007年 8月28日  20:12  露出8秒  ニコン COOLPIX−995  W端 f=8mm(38mm相当)   F2.6(開放)   撮影感度:ISO100相当  画質:FINE
タカハシ FC−100  LV25mm    撮影地:松本市 


処理をしながら「おっ」と思ったのが下の画像。写そうと狙っていたわけではなかったのですが(潜入は意識にあったのですが出現は意識にありませんでした)、出現したばかりのみずがめ座σ星が写っている画像です。カメラの時計では20:33でした。

2007年 8月28日  20:33  露出2秒  ニコン COOLPIX−995  W端 f=8mm(38mm相当)   F2.6(開放)   撮影感度:ISO100相当  画質:FINE
タカハシ FC−100  LV25mm    撮影地:松本市 


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