日代研究所へようこそ! ここでは私、所長の日代陽寄が様々な難解なSF用語をわかりやすく説明していくぞ。 馬鹿でニートな映画オタクのお前に説明が出来るかという批判の声もあると思うが、ホースケ曰く 私は前の世界では確かに最難関大学の物理学科に在籍していたほどの切れ者だったというのでね、自分を信じていっちょ紹介しまくろうと思う!カワバンガー!!





遡及通信(Retroact Communication)

何を隠そう、これこそがニッコの死を招いた因果の発端であり、 その一方で、事態を解決できるべく我々に届けられた唯一の武器なのである。ちなみに命名者は私だ!
我々がタイムカプセルから発見した、ニッコの遺品ともいうべき 無線機『サリヴァン』。
これを用いることでちょうどぴったり『10年前』 のあの夏の私達と通信ができるのだ!
どうだ?すごいだろ。ルーカスもスピルバーグもびっくりだ!原理だと?そんなもん知らん。現象は時として、人の人知を優に超えるのだ。
でもそういえば昔、こんな映画あったよなあ……あの原因は確か、オーロラだったか?
しかしちょうどぴったり『10年前』に通信できるというこの機能、なかなかクセがあって厄介なものなのだ。 聡明な読者には分かるとおり、これは『10年前』以上の過去は変えること ができないのである。
つまり、それが意味することはひとつ。現在、2009年にいる私達自身も常にタイムリミットに迫られているのだ!私はその期限を、死の境界線……『デッドライン』と呼んでいる!日本語に直すと締め切りって意味だけどな。
きっちり10年前にしか通信できないという弱点があるにせよ、これは確かに、タイムマシンという奴だろう。

↑これこそが、10年前の過去との通信(遡及通信)を行う無線機、『サリヴァン』だ!!


バタフライエフェクト(Butterfly effect)
バタフライエフェクトという映画を知っているか?知らなきゃ調べてレンタルして見るんだな。ものすごく感動して泣けるぞ?おっと、ここでは映画のそれではなくて、理論のバタフライエフェクトの話だな。
簡単にいえば、『初期に起こった僅かな変化が、終期においてものすごく多大な変化をもたらす』といったものだ。もっと簡単に言えば、「こんなはずじゃなかったのに〜!!」ってやつだな。
我々が予想とは全く異なった結果を生んでしまう、因果の流れの総称のことを呼ぶな。
例えば、ある場所で一匹の蝶の羽ばたきのせいで、遠くの場所でハリケーンが発生してしまうことさえもありうるのだ。
そんなことあり得ないと否定する人がいるかもしれない。それではハリケーンの発生原因とはなんなのだろうか?熱帯性低気圧の発達?積乱雲の形成?風の収束かはたまた海水面の蒸発によることか?通常の理科の問題ならこのくらいでペンが止まるかもしれない。しかし、ではなぜ太陽に海面は熱せられたのか?昨日はあったかもしれない雲を吹き飛ばして天気を快晴にしたのは一体何なのだろうか?南東からの季節風か?それではその季節風は一体何故起こったのか?……このように物事の原因を突き詰めていくと、必ずしも最初の引き金が何かわからないというケースが多々ある。上の例ではある蝶の羽ばたきひとつが昨日の雲をすべて打ち消したことを、誰が否定できるだろうか?そうなると、ハリケーンと一匹の蝶の羽ばたきは、関係ない因果であると、誰が言えようか?
つまり、物事の因果関係などというものは、時に不明瞭で予想とはまったく異なった結果を生むことになりかねないのだ。
ましてや、10年も前の事実を変えようというのだ。その誤差は、相当なものになる。しかし、私達はそのリスクを承知で変えなくてはならない。ニッコを助けるためにもな。

想起(remembrance)
これについては現在目下研究中だ。
どうやら我々が遡及通信を行う時に、改変前の世界の記憶を引き継ぐことができない場合があるらしい。
いやそもそも、記憶を引き継げること自体がイレギュラーであるのだ。何故、抹消された世界の記憶が我々の頭の中に残っているのだろうか?
物理学から考えても、哲学的に考えてもまるで不明だ。人間は時の流れの中を生きる者ではないというのか?
なんにせよ、改変前の世界の記憶を改変後の世界においても引き継ぐことができる現象を、私は『想起』と名づけておこうと思う。
その詳しい発生条件はわからないが、実例が何個か取れれば帰納的に考えてその性質もわかっていくことだろう。
また、想起に関連したことで、過去改変には多大なリスクを背負う可能性があることもここで 示唆しておこう。
我々の全員が、現在の記憶を忘れてしまったら、ニッコを救うことなんて到底不可能になるのだからな。