MS-3 Stax ear speaker amplifier (1975_2013)

 1975年にSR-3 newを使うために製作し、以来何回かの改修を重ねてまだ現役です。今はなき鈴蘭堂のMEC-3Sというcaseにかなり無理をして詰め込んでいます。

 今回の改修は、SR-507を入手したのがきっかけです。半導体式のampではどうしても高域のとげとげしさが気になっていました。本機もbias電圧を上げてPro仕様に対応はしていたものの、電源部に改良の余地があると、全面的に見直しました。諸般の事情で、改修に着手してから一年以上も掛かってしまいましたが、どうにかまとめ上げました。

 改修後の回路図は、こちら。参考にした回路図は、中堂保治さんという方が「ラジオ技術」の読者の研究に投稿されたもので、掲載誌は1967年11月号です。私がSR-3 newを入手した頃はStaxが参考回路図として配布していたはずですが、今となっては資料が見つかりません。その代わり(?)、原形を作ったときの手書きの回路図を発掘したので、一緒に掲載しておきます。
 上の二枚の写真で構造が見て取れると思います。シャーシが付属しないcaseなので、アルミ板とアングルを組合せてシャーシの代用にしました。真空管の高さを考えると、残された実装高さはわずかなもので、こんな窮屈な物は二度と作りたくありません。シャーシはケースの底板に固定するので、組み立てている間は前面パネルが宙ぶらりんです。背面パネルはシールドと補強を兼ねたアルミ板でシャーシと連結されています。

 今回の改修では、+/-の両電源を安定化しました。原形では+B側に入れていたチョークコイルを撤去して空き地を作り、電源基板を実装しています。前面パネル(写真の左側)と電源トランスの間の基板がそれです。
 下側の写真で電源トランスの上方に見える小さな基板は、6.3Vを倍圧整流してリレー用の12Vを作り出す回路です。Pilot lampのLEDもここから点火しています。リレーは今回追加したもので、背面パネルの入力端子のすぐ後ろに実装しています。上側の写真ではんだ面が見えている基板です。入力端子も今回の改修で交換しました。
 前面パネルについている部品も全部交換しています。Pilot lampの青色LEDは高輝度で、当初10mA程度流したらまぶしすぎました。今は、電流を半分以下にしています。
 
 増幅部を見やすい角度で撮りました。原形とは主な部品がほぼ入れ替わっています。
 これが前面です。今回、出力端子の脇にPROの表示を追加。それ以外の文字は1975年当時のままです。  背面です。今回、入力端子を交換した結果、みっともない穴が見えています。AC入力は電源用ではない金属コネクタを使っていましたが、他の機器と共通にすべく、穴を開け直してinletにしました。Channel Dは、信号が入って出ていく配線にしてあり、既存の回線に割り込める形式です。
 今回追加したリレーの基板。ここで入力信号を選択します。  今回の改修の目玉は電源基板。右半分が+Bの高圧電源で、左半分(上に乗っている小さい基板も含む)が-電源です。当初、後者だけ電圧調整ができる形式にしていましたが、組み上げてみて調整に支障が出たので、+B側も電圧可変に改装しました。
+B電源は、いつもの317とMOS-FET式、-電源はdiscreteです。後から電圧の可変が必要ないとわかったので、今回の試作で手をつけた723によるfloating式でもかまわなかったと判明。すでに改装してしまい、元には戻せずに終わっています。
 直流電圧だけチェックして再生系に入れてしまいました。周波数特性や歪が測定できていません。
出力がbalance型で電圧しか出てこないのが制約要因です。森川さんは出力トランスを併用して測定されていますが、追試する手間を惜しみました。出てくる音はごく自然なもので、半導体式で気になっていた刺激的な高域は消え失せています。
 低域がもう少し充実してもよさそうだと思うのは、SR-507の低域特性がすばらしいから
です。海外のsiteで同じ回路を原形にした方が、結合コンデンサを増量する提案をされています。いつか試すかも知れません。
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