MS-1626  1626 single mini-Watter stereo power amplifier

 ぺるけさんが提唱されているmini-Watterの追試二作目です。今回は知人からの委託によるもので、特注シャーシを使うという豪華版。とは言え、大物部品の大半は手持ち品を活用していますから、汎用性はあまりありません。
 今回は、Californiaの人から買っていた1626を使うことにしました。何故か9本という半端な在庫ですが、いつかampにしようとずっと構想していた球の一つです。姿がいいし、B-29にも搭載されていた送信機で1625(807の兄弟管)の前段に使われていたなど、話の材料には事欠きません。傍熱型の三極管で、171Aなどに比べてヒータ電源が簡単になります。
 反面、手持ち部品の流用で複雑になったのが+B電源。電源トランスの出力電圧が低いため、委託元から以前提供されていたTANGOのトランスを追加してかさ上げ、それでも少し足りない分はheater巻線を直列にしてしのぎました。
 トランス全体の負荷としては軽いので、案の定heater巻線の電圧が上がり過ぎ、1.5Ωを入れて補正しています。1626はHeater-Cathode間の耐圧が100Vしかないので、安直にHeater巻線の中点もどきを自分自身のCathodeにつなぎました。
 回路図はこちら。
委託元から送られてきた特注シャーシ。塗装されていないのでhairline加工してからclear lacquerを吹いておきました。アマチュアのシャーシ表面処理としては一番原始的なやり方です。
 板厚が2mmあり、トランス類を乗せてもびくともしません。
すべてのトランスが4mmビスで留まっています。LUXの電源トランスは旧JIS規格のビスでした。
 机上検討だけで図面を描くと細かな問題がいろいろ出ます。今回最も危なかったのはここ。ラグ板を固定するスタッドの固定ビスが出力トランスと干渉しました。穴を皿もみして逃げています。
 他には、fuse holderの回転止めの切り欠きが上下逆向き、電源switchの穴が小さすぎるなど、いろいろ事件がありました。
 中に入る平ラグを先行して組立てておいたので、シャーシ到着後すんなり組上りました。
この状態で試運転した結果、シャーシの温度上昇が予想以上だったため、φ8の通風孔を4個設け、安心して長時間稼働できるようになりました。
 左が+B電源の整流・平滑部、右が安定化回路。右の基板は二つの平ラグを固定するビスで共締めという手抜き。平ラグの固定もちょっと変わっていて、左のスタッドはTANGOのトランスの固定ビスと兼用(M4)。右は普通にM3のスタッドで固定しています。基板上のLEDは317を安定に動作させるために常に必要な負荷電流の一部を分担しています。
併せて、高圧部が動作中という警告の意味もあります。
 上にあるのがR-chの初段部で、両channelに共通の低圧電源回路もこちらに乗せてあります。
 少し端子の余裕があったので、左にpilot lamp用LED電源が居候しています。この回路はやり過ぎですがせっかくheater巻線が一つ余っていたので、使うことにしたものです。
 L-chの初段部が中央の平ラグ。低圧電源部がこの基板にはいないため、端子に余裕ができ、両channelのbias抵抗を並べて乗せました。

 予めラグ板の類を固定し、隙間に大型部品を並べた形です。その結果、まんべんなく部品が詰まったシャーシという風情になりましたが、不必要に配線が長くなっているところがあります。
 健康診断に相当する基礎dataを取りました。機材は、低周波発振器がKenwood AG-204, 歪率計がKenwood HM-250, True RMS VoltmeterがHP 3403Cです。下は8Ωに1Vを出力しているときの周波数特性です。125mWですね
 次は歪率特性です。
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