夏期講習の思い出　あーと・コア

　夏期講習を朝10時から夜までやっていた時代があり、そうなると、コアに終日いることになる。午前中はデッサンをやる。午後は水彩画を描く。高校生は平面構成をやる者、油絵を描く人もいた。夜は又、別のモチーフを描くのだが、その様にして毎日描いていくと誰でも上手くなった。楽しみはお昼のお弁当の時間で、連れだって買いに行く人、それぞれであったが、その中で毎日中身の違うお弁当を持ってくる人がいた。聞くとお母さんが料理が好きな人で、毎日横から見ることが楽しくなった。その子は当時中学生の女の子で、無事第一志望の高校に受かったのだが、それから3年経って大学受験になってやって来た時、様子が変である。誰だか名前を言ってもらうまでわからなかった。聞けば、あれから自分が性同一性障害であることがわかって、両親にはカミングアウトをしたとか。その時私もカミングアウトされたわけだが、話には聞いていたが近くで体験したのははじめてだったので、驚いた。本人がそれまで悩んだこと等を聞いて、まずはその事実を認めようと思ったのだが、二回程やって来たのだけれどそれからプッツリ来なくなった。どうしているのだろうか。夏休み・夏期講習・お弁当と思い出して、その人の事を思い出した。それぞれの人にそれぞれの人生があるのだけれど...