「鳴海さ〜ん」 「何だ休日の朝っぱらから。迷惑なやつめ」 この返答にはムッときたらしく頬をふくらませて「ま、折角様子見に来てあげたのに」 と言った。ここ最近、カノンとの対決も終わったと思ったら今度は火澄が出てきたりと 落ち着かない日々が続いている。心配は確かにありがたい・・・が 「有り難迷惑だ」 皮肉を含め答えたら 「鳴海さんなんかもっと入院させておけば良かった」 ぷいっときびすを返し音を立ててドアの前から離れて行った。ひよの程の力があれば 入院を長引かせるのも、退院を早ませるのも容易く出来てしまうのは暗黙の了解であったが・・・ 「そんなことしないくせに」 「私のこと判ってるみたいに言うんですね」 微かに唇だけが“何も知らないくせに”と音を出さずに動いた。 そんな彼女は初めてで、息を呑んだ。言い返せなかった。彼女が自分の事をよく分かっていてくれるのに、自分は何も知らない。知る術も。 それだけじゃなくて、彼女と長い間一緒にいたのにも関わらず、名前と年しか知らないのだ。何が好きとか嫌いとか 趣味は何だとか家族構成とか ナニモシラナイ 思いを巡らしている間にも彼女は離れていく。 『待てよ』 『違うんだ』 『来てくれてありがとう』 どれも言葉にならなくて、言うのは甚だ身分違いで。それでも離したくないといつか恋をしていた自分みたく 独占欲が湧いて。 「松葉杖、どうしたんですか?」 「あんなもんいるかよ」 気が付いたら彼女を壁に押しつけていた。 足の怪我なんてどうでもいい。 アンタが止まってくれるなら。 「鳴海さんはずるい・・・私の気持ち知っててこんなことするんですか」 「そんなの知るかよ」 何か言わんとするそれからひよのの口を塞いだ。 歩の中ではっきりと芽吹いているのが判った。 種は出逢った時にとっくに蒔かれていて 口づけで芽吹いて 後書き 順番違うよ!手出すの早いよ歩君。書いていた流れでキスして恋するになったけど普通は逆でショが! まあ、歩はこんなやつですよ・・・私の中では。黒歩っすよーーー。 ひよのの暗い部分を書いてみたくなったのですよ。明るくても心の中でどんな闇を持っているか何て 気をつけなきゃ見つけてあげれないですからね。きっとひよのにも闇はあると思うんですよね。 歩みたく自己陶酔しないってだけ。きっと誰にも言わないで過ごしているんだろうな・・・。 |