15.夕暮れ




いくら超進学校といえど、他校と何ら変わりなく街に溶け込み
現在は切なささえ感じれるオレンジ色に、校舎は全て包まれて
いた。

「はあぁ」
そんな校舎で一人、大きく息を洩らした。

「なんであんなこと言ってしまったんでしょう」
たったさっきまで部室にいたはずなのに、「鳴海さんのバカー」
と、捨てぜりふをはいて飛び出してきた。結崎ひよの。
いつも通りの些細な喧嘩なのにいつも以上に大袈裟に部室を
出てきてしまった。

「あっあの新聞部の部長さん!」
「はい?」
妙に裏返った声を出してしまった。振り返ってみれば見知らぬ女生徒。

「えっと・・・鳴海君と付き合ってるんですか!?」




あぁまただ・・・



「いいえ」




きゃあきゃあと喜んで去っていく女生徒を後ろに、またため息を付いた。
イライラの原因は歩が最近周りに溶け込み人気の出始めたこと、そして
ミズシロ火澄のこと。

「寒く・・・なってきましたね」
寄っかかっていた柵から体を離し入り口へ向いた





「当たり前だ」
「こんな時はココア飲みたくなりますねー」
お互い、喧嘩した後の仲直りの仕方なんてとっくに知っていた。
二人だけにしかない仕方であっても。



「さっさとコート着て荷物受け取れ。重い」
「風邪を曳いてしまうからコート着せてあげます、ひよの先輩
くらい言ったらどうですか?」






「あ!鳴海さん!こーしてみると手を繋いでるみたいじゃありません?」
「アホ言ってないで帰るぞ」

「ココア飲むんだろ?」



待て下さいよと後ろを付いていく。ちょっとだけ平穏な日常。
何処かで練習しているブラスバンドの音。
下校を促す放送。
オレンジの空。
繋がった影。



繋がった手


後書き
わはは♪なんだこれ。と、自分を貶めるのはこれだけにして、
久しぶりの更新、30のお題の15、夕暮れでした。
う〜ん・・・コレは文より絵の方が綺麗な雰囲気出るかもな


2005.03.14