−発見!プラックプールのある事情− |
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私は今年2014年ブラックプールダンスフェスティバルのシニアスタンダード゙とシニアラテンに出場して来ました。
2度目の出場となる今回は、前回よりも多少慣れたとは言え世界に誇る大イベント。世界中から集まったダンサー達と競い合うことはとても新鮮で刺激的でした。
そして今回再びブラックプールを訪れ、街の歴史を知るにつけ「ある事情」に気づきました。
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1.ブラックプールの歴史 |
プラックプールはアイリッシュ海に臨む人口約150,000人の都市です。
19世紀に鉄道が開通し、駅(ブラックプールノース)が街中心部に出来ると北西イングランド最大の保養地として労働者を中心に多数の観光客が訪れるようになりました。
劇場、ダンスホールが作られ1894年には街のシンボルとなる高さ158mのブラックプールタワーが完成。遊覧施設も整い、1960年代頃までに現在の街並み完成しました。最も繁栄した頃と言えるようです。
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桟橋から見たプラックプールタワー |

桟橋にある遊覧施設 |
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2.ブラックプールの繁栄と陰り |
1960年代以降、イギリス国内のリゾート地、保養地と比べより安価で天候の良い地中海周辺に行くことが人気を博するようになり、徐々にブラックプールの人気に陰りが見えはじめました。
ブラックプールは目に映る何もかもが古めかしく、100年前の風景をながめているような感じがします。それでもブラックプールが健在なのは、イギリス人の間に受け継がれている古い物を愛する思考と、生き延びる知恵があったからではないでしょうか。
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ブラックプールの街並み
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ホテル窓からの街並み |
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3.ブラックプールが生き延びる知恵 |
この陰りから活気ある街にするために規模の大きなイベントが年間を通し企画されるようになりました。
一例を揚げると(配布パンフレットから)
5月 Blackpool Dance Festival (ブラックプールダンスフェスティバル)
6月 Same Sex Dancing Festival(同性によるダンスフェスティバル)
7月 Darts Word Machplay Festival(ダーツ・ワールドマッチプレイフェスティバル)
8月 Blackpool’s brilliant FREE airshow(航空ショー)
9月 Blackpool Illuminations(ブラックプールイルミネーション)
10月 The World Fireworks Championships(世界花火大会)
世界から注目され集客力のある大規模なイベント(数日に渡る滞在型イベント)を企画することがブラックプールが生き延びる知恵だったのです。
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4.ブラックプールダンスフェスティバル成功の知恵 |
ウィンターガーデン内のエンプレスボールルームは優美にして豪華な造りですが世界的なダンスフェスティバルを開催するには観客席が少ない(約1,500席)ため、プログラムに休憩(General
Dancing)を多く組み入れ、プログラム進行を緩やかにして、約8日間に渡る滞在型イベントにすることでトータルの収容客数を増しています。
その結果 イベント関係者や選手及び観客は、ブラックプール市内のホテルやレストラン、タクシーなどを利用することになり街全体が経済的に潤うことになりました。
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ウィンターガーデン(Empress Ballroom) の座席表
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ウィンターガーデン正面
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ウィンターガーデン裏
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ブラックプールダンスフェスティバルは1920年から毎年5月に開催され、今年で90回に及んでいます。
プロフェッショナルとアマチュア、スタンダードとラテンの各種目と全英オープン選手権、今年はチームマッチを加え60ヶ国から12イベントで約3,000人のエントリーがありました。
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筆者 ヒルトンホテルの前で |

ウィンターガーデン エンプレスホール |
このブラックプールの「ある事情」に気づいた時、「現状を生かして利を得る」イギリス人の賢さを感じました。
イギリスには街くを揚げてスポーツを誘致し成功している地方都市が沢山あります。(例えばウインブルドンのテニス、バーミンガムの陸上競技、エディンバラのダーツなど。)
日本で活気を失った地方都市にこの例を是非紹介したいと思います。
活気を取り戻す何らかのヒントになれば幸いなのですが…。
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2014年6月16日
鈴木充生
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参考資料 ブラックプール各種観光パンフレット
ブラックプール市Webサイト
ブラックプールダンスフェスティバルwebサイト
筆者紹介 鈴木充生 会社経営
有限会社コンフォート (賃貸マンション管理、ダンス練習場経営)
〒330-0844 さいたま市大宮区下町2-78-953
電話 048-647-5115
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