時々思い出す。目を閉じて、あの調子のいい小さな子ども見たいな声を。
ほんの短い間だけど色んなものを一緒に見て来た友達。
広場のベンチでうとうとしていた。海の見えるあの街で。
夢うつつの中に彼の姿を見つけ、懐かしいんでいた。
彼の事を考えると少しセンチな気持ちになる。ちょっとばかしまた今度、とはいかないから。
この足があればいつだって会えると思ってきた。そうはいかない時もあるとようやく学んだのだ。
泣いてるの?ソニック。
子供の声。まさかと思って顔を上げた。
そこにいたのはこの街に住む子供たちだ。
彼の記憶探しで聞き込んだからここにも随分知り合いが増えたものだ。みんな気軽に声を掛けてくる、そんな場所になった。
泣いてなんかないさ。ちょっとアクビをしただけ。
ほんの少しだけ彼だと期待してしまい、無意識に頬を掻く。
ふぅん、気のない返事もまた記憶を刺激する。
その眼はソニックを捕らえたまま。彼は彼が思っている以上に暗い顔をしていたから。
これ食べる?
そうして差し出されたチョコレートバー。
元気を出してほしい一心で取りだした甘い一欠け。
ソニックは笑顔になった。
傍らにいないのに誰よりも近くにいる。
一番助けを必要とした時に応えてくれたのが何よりだ、俺達は特別な友達。
友達を助けるのが当然とか思っていながら、助けられるとこんなにもありがたく嬉しく頼もしく感じるものなのだな。小さな存在が大きくなった瞬間。
掌に残るハイタッチの感触。あの時は体が大きくなっていたから酷く軽くて手に残るものはほとんど無い。忘れてしまいそうで怖くなる時がある。
ソニック。
僕は忘れないよ。
ああ、そうだよな。忘れるわけないもんな。
いつでも感じるんだ。心で呼べばいつでも応えてくれる、心で感じればいつでも聞こえる。
あのとき互いは互いの星だった。真っ暗になった時に真っ先に照らしてくれる導星。
記憶が、希望が、でも傍にいるから怖れるものなど何もない。
頼っていい光がずっと側にあったんだ。互いに輝いているときは少しも解らなかった、自分が揺らいではじめて触れた心に沁みるあたたかさ。
この足が踏みしめればこの惑星(ホシ)はいつだって応えてくれるんだ。
この足がもつれてもこの惑星(ホシ)はいつだって支えてくれるんだ。
受け取ったチョコレートバーをかみ砕く。小気味よい音をたて、零れた細かいチップは地面に降った。
「Dear My
Friend」を聞きつつこれを作っていたら思わず泣いてしまいました。
ゲームを終え、チップ君もとても大好きなキャラクターになりました。