シャンシャンシャンシャン。


鈴の音響く雪原をソニックは駆ける。
音を辿って見上げれば満天の星空。
それは冬の澄んだ空気のおかげで、街のイルミネーションより美しく瞬く。


音が止んだ。


雪深い地面の感触も実は好きだ。
固い道路や砂地にはない独特の感触。
ギュ、ギュ、と一歩一歩鳴るのも楽しい


さっきまで音がしていたのはこの辺り。


ソリとトナカイがそこにあった。
白い縁取りの赤い服、赤い帽子を纏う人物がいた。
サンタクロースだ。


サンタは困り果てた顔をしていた。


ソニックは事情を尋ねてみる。
トナカイが足を挫いてしまったらしい。
これでは今夜中に子供たちへプレゼントを配れないと嘆いていた。


俺が手伝う。


放っておけないソニックは手を差し伸べた。
サンタは、でもとても間に合わない、と躊躇する。
大丈夫だ、なんせ俺は。


世界最速のハリネズミなのさ。


雪はしんしんと降り積もる。
ソニックが引くソリはその中を元気よく駆けた。
ケガしたトナカイはかまくらの中で帰りを待つ。


子供たちに夢を届けよう。


市街地、子供のいる家庭を一軒一軒まわる。
プレゼントはどこから出すのだろうとソニックは興味津々だ。
サンタは、大きいとは言えない白い袋に手を入れると中を探った。


出てきたその手にヌイグルミ、赤緑のリボンが可愛く飾り付けられている。


そぅっとベッドサイドに置いた。
さぁ次のお家へ行くよとサンタ。
ソニックは不思議そうに袋を見つめていた。


試しにソニックも袋に手を入れた、しかし何も掴めない。


サンタにしかプレゼントを取り出せないとのこと。
その子が欲しがっているものをプレゼントできる夢の力。
サンタだからこその、何よりも素敵な力だなと思う。


大都会の住宅から隠れ家みたいな小さい家まで余すことなく配達する。


テイルスとクリームの家にもプレゼントを届けた。
二人には綺麗にラッピングされた箱だったので中身はわからない。
明日聞きに行こうとソニックは思った。


箱を開けたとき、きっと二人は喜ぶのだろう、その光景が目に浮かぶ。


配達は順調。
この分なら間に合いそうだ。
サンタの表情にも余裕が出てきた。


ふとソニックはサンタがプレゼントを置くときの顔を見た。


とても優しい顔。とても満足そうな顔。
ああ、そうか。ソニックには理解できた。
一緒にまわって、あげる側の気持ちを味わったから。


プレゼントは、受け取る人が喜ぶ姿を思い描きながら贈るのだ。


無事にプレゼントは配り終えた。
そう思ったソニックだが、まだ一つ残っているとサンタは言う。
それはどこの誰の分だと尋ねる。


ソニックの分だよ。


俺はもうコドモじゃないぜと言い返したが、感謝の気持ちを形にしたいからと。
そういう事だったら受け取るしかないな。じゃあ目をつぶって。
その方がワクワク感があっていいから、と。仕方なくまぶたを閉じた。


頬に柔らかい感触。唇だと理解したのはほんの少しあと。


目を開けた時にはその女性のサンタは空にいた。
トナカイはゆっくりとソリを引いて帰って行く。
上からは雪と鈴の音と声が降ってくる。


メリークリスマス!



































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2008年12月MEMO掲載分より移動。
たまにはあっちに投稿してみるのもいいかなと思ってUPしたんだ。
これ描いた奴セーカク悪いですね~