さてギリギリ約束を果たせたがもう限界だ。
エッグマンの奴がクリスマスにかこつけて騒ぎを起こしやがった。
エメラルドまで持ちだして、そりゃあスリリングだったけどさ。
今回は遊んでいる場合じゃない、さっさと片を付けて。
「ソニック・・・?」
「へへ、メリークリスマス。」
ノックの音で様子はさとられた。
ドンとドアを叩いたきりの、チャイム無しの呼び出し音。
もう体が重くて何かに寄りかかるのが精一杯。
ようやくエミーが住むアパートまで来れたのだ。
「さぁ、中に入って。」
「あぁ・・・」
不平一つ洩らさず、それぐらい静かに部屋へ入る。
明かりはついていなくて、だから彼女の笑顔が暗く見えたのか。
ツリーに掛る飾りの電球が唯一の照明。
それも点滅を繰り返し部屋を光で満たすことはない。
「疲れてるんでしょ?」
「いや、なんてことないさ。」
ウソおっしゃいとソファへ押し込まれる。
沈み込むぐらい柔軟なそれが優しく体を包み込む。
このあとケーキか七面鳥か。
正直食欲なんて一つもない。
でも彼女は何も出したりはせず
黙ってこちらの隣に座っただけ
本当はお祝いしたいだろう。
本当は嬉しさを露にしたいのだろう。
気をつかわれて居たたまれないのに
そんなことないわと言うから逆に耐えがたく、つい
「そうだ、歌がいい。歌ってお祝いしてくれないか?」
「歌?なんでもいいの?」
音楽でせめてものムードが出るといい。
聞くだけだったら今の自分にもできる。
承諾してくれて、少し考え込んで
控えめな呼気にメロディーが乗る。
The first day of Christmas,
My true love sent to me,
A partridge in a pear tree.
クリスマスのわらべ歌、数え唄。
少しずつ、不思議な詩が増えてゆく。
それは今ある何かによく似ていて。
静かに静かに、瞼がおりてくる。
頭を抱きよせられ彼女の枕に乗せられ
強引なやり方よりも抵抗ができなかった
あぁそうか、道理で似ているはずだ。
本当は溢れるほどに強いのに
秘めるから余計に神々しさを増す。
密かに密かに現れてくる、愛の姿。
The first day of Christmas,
My true love sent to me,
A partridge in a pear tree.
想い人こそ違えど
想い方は同じだから
静かに確かに逞しく
大事な想いを大事にしてきたんだ。
今日からクリスマスの日々。
もう12日間このままこうしていても、いいかな。
「クリスマスの12日 」をフリー配布に甘えてソニエミ
加工。
原型どこ行った?!
配布元:
albireo
ひざ枕ですよ奥さん!