VANISHING VISION   (1988.4.14)

ヴァニシング・ヴィジョン

 1.DEAR LOSER
 2.VANISHING LOVE
 3.PHANTOM OF GUILT
 4.SADISTIC DESIRE
 5.GIVE ME THE PLEASURE
 6.I'LL KILL YOU
 7.ALIVE
 8.KURENAI
 9.UN-FINISHED…




 1. DEAR LOSER

 まさに、これから何か始まるぞ!と言わんばかりの緊張感を持つ曲。
 ドラムは終始、ボレロのリズムを刻みつづける。


 2. VANISHING LOVE

 YOSHIKIメロディー小爆発、といったところだろうか。メロディーはきれいなのだが、そこまでグッとくるものがない。 個人的にはサビよりもその他のメロディーの方が好みだ。

2:15-2:30ここのメロディーの雰囲気がとても好き。このフレーズは一回しか演奏されないのが 残念。



 3. PHANTOM OF GUILT

かっこいい曲だが、少しまとまりに欠ける感がある。



 4. SADISTIC DESIRE

 個人的には、hideの曲の中ではSCARSに並んでとても好きな曲。
 この曲にはもう一つ、Silent Jealousy のカップリングに収録された新しいバージョンも存在するが、私は このVANISHING VISIONに収録されているバージョンの方が好きだ。叫び声や笑い声、ウィスパーなどが 妙に生々しく、臨場感があっていいのである。TOSHIのヴォーカルもこちらの方が迫力があると思う。

[聴き所]
各サビ同じメロディーを3回繰り返すが、3回目のTOSHIのハモリが絶品。力強く、美しい。 両立しそうにない二つの形容詞だが、本当にそのように感じる。
3:14-3:40TOSHIがあえぐように出す高音のメロディーがたまらなくカッコいい。「付きまとう 欲望に」の部分の歌い方がたまらん。悶絶しそう。




 5. GIVE ME THE PLEASURE

 YOSHIKIらしい歌詞が全編にわたって展開される。

Give me the pleasure
That's mental distruction
I hurt myself, and I reach a stage of pain
Cry out, writhe around...
 YOSHIKI18番の自虐的な詩であります。
 だが、
Truth doesn't exist anywhere
imagination is truth
 この部分の「想像こそ真実」の詩はけっこう意味深である。案外本当のことを言い当てているのかもしれない。我々が今生きている 世界は本当は想像の世界であり、我々が想像している(と思っている)ものこそ真実である、とどこかの哲学者が言っていたような気がする。


 6. I'LL KILL YOU

 歌詞が物騒すぎる。"I'll kill you"のフレーズが何回登場するのか。

[聴き所]
1:18-1:38この部分の箇所には度肝を抜かれる。TOSHIのボーカルの高音部と 低音部(相対的な「高」「低」)の絡み方が絶妙すぎる。最高です。



 7. ALIVE

 YOSHIKIのバラードであるが、かなり強烈なバラードである。割と激しめのドラムが登場するということもあるが、なんといっても この曲が変ホ短調とホ短調で構成されているということが熾烈で、TOSHIにとって強烈極まりない作品である。

 他のバラードはたいてい、イ、変ロ、ロ、ハ音(ラ、シ♭、シ、ド)が主音になっているが、このALIVEはなんと、高い変ホ、ホ音(ミ♭、ミ)が主音であり、超高音を歌いつづけるのだ…(UNFINISHEDもホ短調だが、あの曲はALIVEより1オクターブ下のホ音が主体なので、TOSHI にとっては何でもないと思われる)。

 もう、狂気の沙汰の音域だ。後半でTOSHIが高いミを歌いつづけているところなんか、思わず「TOSHI頑張れ!!」と心の中で 応援してしまう。不覚にも、これほどまでの驚異の音域を持つヴォーカルを酷使したくなるYOSHIKIの気持ちも分からなくはない、と思ってしまった。

 他にも、ベートーヴェンの月光ソナタ第1楽章のテーマを使用している冒頭や、なかなか主音に落ち着かないメロディーで、不安定な印象を持たせる前半など、けっこう聴き所満載の曲だと思う。


 8. KURENAI

 紅には3種類のバージョンがあり、このVANISHING VISIONバージョンと、シングルバージョン、そして アルバム(BLUE BLOOD)バージョンの三つである。
 紅に関してはやはり、VANISHING VISIONバージョンよりもアルバム(またはシングル)バージョンの方がいい。 クライマックスの怒涛の迫力がVANISHINGバージョンでは感じることはできないからだ。といっても、VANISHING ヴァージョンのクライマックスがつまらないというわけではない。VANISHINGヴァージョンでは、アルバムバージョンにはない、TOSHIの超高音ハモリが登場する(5:08〜)のだ。これはすごい。

 ちなみに、VANISHINGバージョンのイントロ部分(静かな部分)の最後は、"I started running into the night to find the true in me"となっているが、BLUE BLOODバージョンでは、"true"が"truth" に変更されている。theの後には名詞が来るはずだから、truthが正解で、trueが間違っていたんだろう と考えるところだが、辞書を見てみると、"true"にも名詞の用法があるのである。YOSHIKIはこのことを 知っていて"true"にしたのだろうか。しかし、そうだとしたら後になぜ "truth"に変更したのだろうか。謎である…



 9. UN-FINISHED...

 美しい曲だが、最後まで楽しみたいならこの曲はBLUE BLOODバージョンで聴かねばならない。というのも、 この曲は途中で何の前ぶれもなくいきなり終わるからだ。そういったことを踏まえてこのタイトルなのだろうが、 初めて聴いた時は本気でラジカセが壊れたと思った。よく聴くと最後に"unfinished" と言っている。


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