・ ピアノ・ソナタ第7番変ロ長調 作品83 |
・ ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調 作品1 |
・ ピアノ・ソナタ第5番ハ長調 作品38 |
・ ピアノ協奏曲第3番ハ長調 作品26 |
・ ピアノ協奏曲第2番ト短調 作品16 |
・ トッカータ ハ長調 作品11 |
私は以前、「プロコフィエフの音楽=不協和でとっつきにくい」という先入観のもと、プロコフィエフの音楽に対して言わば「聴かず嫌い」という感じでした。「聴いてみようかな」と思うこともあったのですが、何か踏ん切りがつかなくて、大学3年までプロコフィエフを自分から聞くことはなかったのです。 そんな頃、アシュケナージのリスト「超絶技巧練習曲集」のアルバムを購入、そのCDにおまけのように収められていたのがこのピアノ・ソナタ第7番でした。もちろん、アシュケナージが弾くリストが聞きたくて購入したアルバムでしたが、せっかく入ってるんだからとりあえず聴いてみようということになり、この曲を聴きました。 当然ながら、最初は全然受け付けませんでしたね(笑)。「何じゃ、この曲は〜!」という感じで、すぐにCDを止めてしまったのですが、なぜか数日後、また聴いてみようかなという気分になり、再びCDをセットしたが最後、このピアノソナタ第7番にハマることになりました。 なぜこの音楽に異常なまでにハマってしまったのか、いまだにハマり続けているのか、よく分かりません(笑)。この曲は楽章ごとにコメントをしてみたいと思います。 |
〜第1楽章 Allegro inquieto〜
この曲にハマりだした頃、完全に第1楽章中毒とも言えるような症状になっていました。家に帰ってくるとこの曲を聴かずには
いられなかったし、いつでもどこでもあのリズミカルで冷たさの漂うメロディーが頭の中で
流れつづけました。大学の試験時間中のような、余計なことを考えている暇のないような時ですら「タッタ タッタ
タッタ タッタター ター ター ター…」というメロディーが私を邪魔しました。
この気持ち悪さが逆に気持ちよい。ストレスを発散してくれます。
とにかく私を虜にしたこの楽章ですが、やはり私にとって一番の魅力は、リズミカルな音型と、それによってもたらされる
圧倒的なスピード感です。指自体はそれほど速い動きをしているとは思えませんが、そのくせぐいぐいと引き込まれる
スピード感に溢れています。 兎にも角にもハマってしまった楽章です。 |
〜第2楽章 Andante caloroso〜
温かいメロディーでリスナーを優しく包みこむような雰囲気を醸し出しておきながら、すぐに態度を翻して非情にも
冷たく突き放してくるという、粋な楽章。
これもとてつもなく好きな楽章。猛烈突進型楽章です(ベタなネーミングだが…)。 というわけで、私にとってこの第3楽章はプロの演奏を耳から聴くのみの曲であり、脳内演奏をしたとしても、 わかりやすいリズムに勝手に脳内改変されてしまうのがオチ。
なにはともあれすばらしい楽章であり、最後まで本当に休むことなく、何もかも蹴散らかして突き進むという
感じです。 最高の充実感、満足感を与えてくれる曲です。
|
○ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調 作品1 1907年作曲のソナタをもとに1909年に改作。1911年出版。単一楽章から成っています。
習作の域を出ないとか、プロコフィエフの個性が表れていないなどという解説で済ま
されてしまいがちですが、非常にロマンティックな美しい曲で、私のお気に入りの一曲です。
|
○ピアノ・ソナタ第5番ハ長調 作品38 ピアノ・ソナタ第7番によってプロコフィエフの音楽の虜になった私は、早速いろんなプロコフィエフの曲を収集し始め、ピアノソナタ第7番の次に私の心を打ったのがこのピアノ・ソナタ第5番でした。 とにかく透明感のある美しさが魅力的すぎる!ハ長調の美しさを改めて思い知らされた音楽です。 特に第1楽章の第1主題。私はこの第1主題のメロディーにやみつきにな り、いつでもどこでも「タララララーン ラン ラン ラーン ラーン…」という冒頭からのメ ロディーがまたもや頭の中で流れ出す状態に陥ったことがありました。ソナタ第7番第1楽章と同じように…。 ![]() |
○ピアノ協奏曲第3番ハ長調 作品26 私が大学時代に所属していたゼミに、ロシア音楽の大好きな先輩がいて、その方に焼いていただいたCD-Rを聞いたのがこの曲との出会いでした。プロコフィエフのピアノ協奏曲全曲をいただいたのですが、初めて聴いたときはこの第3番よりも第1番に心奪われましたが、何回か聴いているうちに第3番に惚れ込むようになりました。 第1楽章の冒頭のきらめくように美しいフレーズがいきなりたまらないですね。また、第1楽章の第2主題は私のお気に入りのフレーズです(↓譜例) ![]() 「バカにしてんのか?」とも言いたくなるおどけた感じのフレーズで、オーボエの響きがチャルメラみたいでふざけた雰囲気に一層拍車をかけていますが、しかしなぜだか心を捉えて離さない魅惑的なフレーズですね(笑) 第2楽章も、主題のメロディーにはまりました。第5変奏の威圧的な雰囲気も好きです。 第3楽章は、プロコフィエフ音楽の中でも特に惚れ込んだ楽章で、下の譜例の旋律とその展開がとてつもなく好きです。 ![]() 非常にシンプルで親しみやすいメロディーでありながら、半音階的進行が挿入されていて、ピリっとしています。木管のみで奏されたあと、弦楽器とピアノで雄大に奏でられるところなんか、鳥肌モノです。 |
○ピアノ協奏曲第2番ト短調 作品16 何といっても、第4楽章の途中で現れる下の旋律が最高! ![]() もう、死ぬほど好きな旋律です。 このメロディーをまずピアノが独奏で奏でます。まずここで感傷的な気分になってしまいます。次にピアノが伴奏に 回ってファゴットが旋律を担当し、それが終わるとついに最強最高の聴き所に突入。再びピアノが哀愁の旋律を 和音つきで演奏し始め、それが弦の分厚い伴奏等に支えられながら雄大に展開していきます。冗談抜きで泣きそうになっちゃいますね(笑)。「このままずっと聴いていたい」という気分になるのですが、この部分、意外にもすぐ終わってしまうので、聴くたびにもやっとしたものが心の中に残りますね(笑) |
○トッカータ ハ長調 作品11 「クラシック界のヘヴィ・メタル」。そう呼びたくなるほど重々しく破壊力のある魅力的な曲です。バリバリの重低音を轟かせつつ、8ビートを刻みながらドカドカと突き進みます。 この曲はマルタ・アルゲリチの演奏で聴きたいですね。私はアルゲリチはあまり好きではないのですが、この曲に関しては彼女以上の素晴らしい演奏を今のところ聴いたことがありません。 |