[個人的ベストCD]
○ウラディーミル・アシュケナージ(録音:1977−85年)
ノクターンの決定版ではないでしょうか。アシュケナージのショパン全集の中でも最も好きな一枚。
あたたかく包み込むような柔らかな音色、静寂に近いピアニッシモ、そして、感傷に浸りすぎず、せつせつと
訴えかけてくるような心に染み入る演奏…どれをとっても最高の一枚です。 すべてオススメできる演奏だけれども、どれか一つと言われたら、第8番の神がかり的な名演を挙げますね。 全てが最高!第2主題のきらびやかな音色、見事な美しさの装飾、あたたかなピアニシモ、どれをとっても感動するのですが、 特に最後の7連符上昇については、もう開いた口がふさがらないほどの驚くべき美演。私はこの箇所だけで何度 鳥肌がたったことでしょうか…。 また、第7番の中間部の鬼気迫る快演や、細かいところでは第13番のハ長調部分の幅の広いアルペジオの 衝撃的な美しさもおすすめ。
○サンソン・フランソワ
一般的にはかなり評判の一枚。見事なまでに「歌っている」印象を受けますが、 少しくどい感じがしないでもない。
かなり高齢で録音されたということもあるのか、いささか淡白な演奏です。しかし、意外にいい雰囲気が出ています。 ノクターンに関しては、感傷に浸りすぎる演奏よりも、一見無表情に見える演奏の方が後になって心に残るものが多いのではないでしょうか。 このCDの中では、第10番がけっこうかっこいい。適度な激情と、適度な淡白さがうまく溶け合っていて、非常にまとまりの ある演奏だと思います。
とにかく極端に遅いテンポを徹底しています。アシュケナージの演奏と比較してみると、各曲2〜3分は遅く、第11番の ト短調のノクターンに至っては、5分も遅い。 |