[個人的ベストCD]
○ウラディーミル・アシュケナージ(録音:1982年)
以前、NHK「未来への教室」という番組にアシュケナージが出演した時に、生徒たちの前で弾いていたスカルボが
妙に印象的で、つい買ってしまったCD。アシュケナージのフランスものの録音というのがどうも私にはしっくり来なくて、
正直あまり期待していなかったのですが、その先入観が完全に覆される素晴らしい演奏でした。 全体的に、響きにとても厚みがあってあたたかい。録音の状態によるものもあるのかもしれませんが、非常にグラマラスな 雰囲気が漂っていると思います。 オンディーヌでは、これでもかこれでもかというくらいガラスのようにきらびやかな音色を繰り出してきます。信じがたいほどの 美音です。特に、ラストのアルペジオの演奏は筆舌に尽くしがたい美しさでした。 しかし、何と言ってもスカルボの演奏が最高。アシュケナージにスカルボというのはどうも意外な感じが抜けきらないですが、 とにかくいいっす! まず、同音連打の粒の揃ったクリアさには驚かされます。複雑に両手が絡み合いつつ連打するような 所でも、全くと言っていいほど、もたついたりする箇所がなく軽快に進むのです。そして、この曲ではアシュケナージ特有の 低音の異様な迫力がいかんなく発揮されています。この曲の盛り上がるところで登場する、あの重たくて鋭い強烈な低音が すさまじい迫力をあたえていると思います。 とにかくこのCDは必聴!だまされたと思って聴いてみてください。
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○アンドレイ・ガブリーロフ
スカルボの熱演がたまらない。激情的なフレーズにさしかかると、ピアノ線が切れるんじゃないかと心配してしまう ほどの爆音で押しまくっていて、ものすごい迫力。一番最後の激情フレーズの後では、勢いを抑えきれず余計な 和音を弾いてしまっているのが尚のこと好感がもててしまいます(笑)
非常に端正な演奏。オンディーヌの演奏に関してはアシュケナージと同じくらい好きです。アシュケナージほどのあたたかみ は感じませんが、アシュケナージにはあまり感じられない、非常に理性的でまとまりのある演奏を聴かしてくれます。まったくキズがない、 といった印象を受ける演奏である。
オンディーヌで聴かせてくれる、音一つ一つの粒立ちの良さならびにきらびやかさは随一。はっ、と息を飲んでしまう名演。 |