DAHLIA


DAHLIA

 1.DAHLIA
 2.SCARS
 3.Longing〜跡切れたmelody〜
 4.Rusty Nail
 5.White Poem T
 6.CRUCIFY MY LOVE
 7.Tears
 8.WRIGGLE
 9.DRAIN
 10.Forever Love


 1. DAHLIA

 雑誌のインタビューでは「DAHLIAなんか大っ嫌い」と公言し(『SHOXX』 vol.39)、ラジオに出演した時は「DAHLIAなんか どうでもいいですね」と言い放ち(NHK-FM『ミュージックスクエア』 96年10月17日放送分)、挙げ句の果てには「DAHLIAはリリースするのやめようかとも思った」とまで 語っていたYOSHIKI。YOSHIKIによれば、「『Xだからこういう速い曲も作っておかなければならない』という意図 で作った曲だから、本当に自分が作りたかった作品ではない」そうだ。
 ファンにとっては甚だ寂しい発言ばかりだが、アルバム『DAHLIA』に『DAHLIA TOUR』 と、何かとDAHLIAの名前が登場するし、「ダリアという名の少女の世界観を通じて自分の気持ちを伝えたかった」 などとYOSHIKIっぽくない意味深な発言もあったりする(『SHOXX』 vol.49)ので、実はYOSHIKIお気に入りの作品だったのかもしれない。

 この曲では、TOSHIの声にエフェクトをかけたり、いろんなことをやっていて、YOSHIKI自身インタビューで、 いままでの曲とは違うことを強調している。
 それにしてもドラムの演奏がやたらと目立つようになっていて、私の友人は「XというよりもYOSHIKIソロやな」 と言っていた。

 しかし、メロディーはまさにYOSHIKIメロディーで、美しく、ほのかに漂う悲しさが涙を誘う。また、バックの演奏の激しさとは対照的に、バラード並みにゆったりと歌われる旋律が印象的。ちなみに、 DAHLIA TOURの中で、TOSHIのMCの際にYOSHIKIがこのメロディーをピアノで弾いていたことがあった。はっきり言って 感動した。

 個人的な最大の聴き所は6:48から最後までの約1分だ。ストリングスが前面に押し出てきて雰囲気を盛り上げ、 気分は否応なしに高揚してくる。



 2. SCARS

 この曲はアルバム発売前からライブで 『SCARS ON MELODY』 というタイトルで演奏されていた。YOSHIKIが気に入らないとか何とかいう理由で、「ON MELODY」は削除されている。

 とてもカッコいい曲。個人的にはhide作曲のXの楽曲中、一番好きだ。サビのメロディーもよければそれ以外の メロディーもかっこいい。
 また、サビで、TOSHIのハモリが3和音になる所があるが、ここがたまらなくいい。きれいすぎる。

 ちなみにこの曲の冒頭には、ノイズみたいなのが入っている。わざと入れているらしいが、初めて聴いた ときはコンポが壊れたと思った。迷惑な演出だ。



 3. Longing〜跡切れたmelody〜

 この曲には『切望の夜』というアコースティック・バージョンも存在し、ミニアルバムがリリースされている。 YOSHIKI自身はシングル・バージョンよりも、切望の夜のアコースティック・バージョンの方が好きらしい。 本当は、この『DAHLIA』にも切望の夜バージョンの方を入れたかったらしいが、先にForever Loveの アコースティック・バージョンが入っていたため、雰囲気がかぶるのでやめたということだ。

 伸びやかなメロディーで、あたたかい雰囲気に包まれている。Xのバラードの中で一番「優しい」雰囲気に 満ちているように思う。また、この曲の歌詞に心打たれた人も多いんじゃないだろうか。
 傷つけ合った言葉も 重ねた涙も
 いつかは想い出になるよ だから跡切れたmelody...

 解散ライヴでYOSHIKIとTOSHIが二人でこの曲を演奏していたのは感動的だった。

[聴き所]
時間コメント
2:44-3:09
4:18-4:35
なぜか惹かれてしまうメロディーだ。TOSHIの声が優しすぎて泣けてくる。



 4. Rusty Nail

 YOSHIKI曰く、「WEEK END第2章」。『序章に終わった 週末(week end)の傷忘れて』という歌詞が登場する。
 何かのドラマの主題歌になっていたためか、けっこうポップな感じの曲になっている。

 [聴き所]
4:09-4:27ここのTOSHIのハモリの美しさは筆舌に尽くしがたい。YOSHIKIにとってTOSHIの声は楽器に過ぎなかったなどと言われることもあるが、そうしたくなる気持ちも分からなくもない。
4:43突然上から降って湧いたよう現れるTOSHIの高音のハモリ



 5. White Poem 1

 "1"だから"2"も出るハズ…と思っていたが、何も出そうにない。
 TOSHIのヴォーカル以外は全てYOSHIKIが担当している。YOSHIKIによれば「混乱と孤独を表している」 曲らしい。

 流れるような美しい曲で、近年(2000年以降)のYOSHIKIの作風につながるものがある。ピアノは YOSHIKIの王道のアルペジオのみとなっており、YOSHIKIらしさがよく出ている。
 TOSHIの歌い方が普段とは少し違っているのが新鮮でいい。女声みたいですごく綺麗。


 6. Crucify My Love

 もの悲しい曲だ。「unfinished」に似た雰囲気。完全にアコースティックの曲になっているところがまた、 悲しさを増長させる。

 ただ、ピアノ伴奏はこれまでのバラードとは一風変わった独特の雰囲気を醸し出している。これまでのバラードといえばたいてい、左手でコードの主音を弾き、右手でそのコードの和音あるいはアルペジオをシンプルに弾いていくという伴奏スタイルであったが、この曲では右手にけっこう自由が与えられている。コードを逸脱することはないけれども、いろんなリズムを取り入れたりしており、非常に分かりやすかったこれまでの伴奏とは一線を画している。「伴奏」というよりも、一つの曲として見てもおかしくない感じである。伴奏のくせにかなりピアニスティックな響きに溢れている。
 ちなみに一番最後、よく耳をすませばペダルを解除する音が聞こえる。


 
 7. Tears

 私がバラードの中で最も好きな曲。歌詞の内容はとても重たいものだが、曲調はもの悲しい雰囲気を醸し出しつ つも、とても前向きで希望に満ちた感じがする。とくに、途中でハ長調に転調する部分は大好きだ。YOSHIKIから の「前向きに生きていこう。」というメッセージのようにも思えるメロディーだ。実際、この曲に勇気をもらったことも 多い。

 さきほど、歌詞の内容は重たいと書いたが、それはこの曲がもともと34歳のときに自殺した、YOSHIKIの亡き父 のことを想って書かれたものだったからである。この事実は、Xが解散するまでは伏せられていた(一部の本では 明らかにされていた)が、解散後の何かのインタビューでYOSHIKI自身が語っていた。
 このことを踏まえると、"You never said good-bye" "I never thought you'd trade your soul to the fates, never thought you'd leave me alone" "Someday I'm gonna be older than you" といった歌詞がとても重たく響い てくる。

 [聴き所]
 全てが聴き所といえるが、特にいい所を挙げたい。

3:12ハ長調に転調する。希望に満ちた雰囲気が一層増し、とても効果的な転調。
3:45間奏のメロディーがとてもいい。懐かしい感じがする。ここを聴くといつも昔の様々な思い出を振り返って感傷的な気分になってしまう。
5:16伴奏がピアノのみとなり、途中からそっとストリングスの伴奏が入ってくるが、ここが秀逸。優しい気分になれる。


 8. WRIGGLE

 HEATHとPATAの合作。
 なるべくメンバーみんなに参加してほしい、というYOSHIKIの意図の下、強引にHEATHに作らせた曲。 PATAはなんとなくノリ一発で加わったらしい。何じゃそりゃ…


 9. DRAIN

 このアルバムの中でTOSHIのボーカルがもっとも「カッコいい」と感じた曲。TOSHIの声のかすれ具合がとても 野性的で攻撃的なのだ。BLUE BLOOD時代のような強いTOSHIがそこにいるような雰囲気が漂っている。


 10. Forever Love(Acoustic Version)

 この曲は角川映画『X』の主題歌として、ドラムやギターが入っているバージョンの シングルが先に発売されているが、もともとはアコースティックで行きたかったらしい。映画の主題歌にアコースティックは 盛り上がりに欠けるということで、やむを得ずドラム等を入れたという。したがって、この"Forever Love( Acoustic Version)"はYOSHIKIの当初の構想を表現した「オリジナル・バージョン」ということができる。

[聴き所]
3:23-4:37間奏。シングルバージョンのギターのかわりにヴァイオリンとチェロの ソロが入っている。とても上品な雰囲気だ。
6:44-クライマックスということもあってか、それなりの盛り上がりを見せる。


ページ上に戻る