98号 2012年10月25日


 どの子にも高等教育への可能性を  そのために多様な学びの場をつくろう
 連続講座レポート
 人・まち・風  親子のたまり場「ちょこカフェ@市場」
 9月議会報告 
    一般質問 脱原発社会の実現をめざして
 一般会計決算
 市議会本会議を傍聴して
 インフォメーション

 


 

どの子にも高等教育への可能性を そのために多様な学びの場をつくろう

 家庭の事情や学力不振のため高等教育が受けられない子どもは、職業の選択が狭められ、将来の貧困にもつながることもあります。そんな子どもたちの学びをサポートし、彼らの可能性を広げる取り組みが始まっています。

高校生の自主活動「にこにこ学習応援団」

 調布中学校を卒業した高校生が、母校の中学生の学習支援を行っています。昨年3月、味の素スタジアムで紙芝居の読み聞かせボランティアを行った3年生に、担任の先生が働きかけて実現した活動です。
 勉強への意欲や自己肯定感がもてず、高校に進学しても中退する子どもたちを何人も見てきた先生の「勉強する大切さを伝えて欲しい」という思いに応えた卒業生が「にこにこ学習応援団」を結成。放課後や長期休暇中に、交代で自主参加の中学生へ基礎学習や定期テスト対策などのサポートをしています。当初は学校内でしたが、現在はお寺の一室を借りて行われています。
 中学生からは「年が近いから緊張しないし、相談もできる」、「失敗など体験を通したアドバイスをくれるのでわかりやすい」という感想が寄せられています。一方、教える側の高校生は、「教えた子ができるようになるとうれしい」「卒業後も今までの仲間と活動でき、自分達の居場所にもなっている。なにより楽しい」と気負わず自然体で活動しているようです。そんな高校生に大きな希望を感じます。

増加する子どもの貧困

 厚生労働省が2011年に公表した資料では、子どものいる家庭の貧困率は14・6%と先進国の中では高く、特にひとり親世帯の貧困率は50・8%にもなります。
西欧の先進国では、人生をスタートする子ども時代の平等を保障する政策として、国立大学の無償化や給付型の奨学金が充実しています。高等教育の有無が職業選択の自由に大きく関わり、教育こそ貧困が次世代に引き継がれる「連鎖」を断ち切る最も有効な方法だからです。
 日本でも政権交代後やっと公立高校の授業料の無償化が実現しましたが、現在でもGDP(国内総生産)に対する高等教育予算はOECD加盟国中、最下位です。まずは、子どもの可能性を平等に保障するものとして教育予算を増額すべきと考えます。

生活困窮世帯への学習支援

 貧困の連鎖を防ぐために、生活困窮世帯の子どもへの教育支援に取り組んでいる自治体もあります。
 板橋区では、対象となる中学3年生に「高校進学支援プログラム」を作成し、塾の費用などを補助しています。また、中学校の三者面談に職員が出向いて、保護者と生徒に学費の貸付制度の情報を提供するなど、進学への意欲を喚起する支援も行っています。2011年度には対象となった生徒156人中140人が進学しています。
また、八王子市では、2010年8月から生活困窮世帯の中学2・3年生に放課後の学習支援を行い、現在は市内4ヶ所で、週に3〜5日、無料の塾が開設されています。
 調布市でも、家庭の経済格差が教育の格差にならないよう、行政としての支援を行って行くべきです。また、市民との協働で、学びたい子が学べる多様な学習支援の場を作ることも必要です。
 高校に進学できる基礎学力は義務教育で身につけられることが基本です。しかし、今の学校の課題として、授業だけでは難しいという子どもに学校で補習したい思いが教師にあっても、その時間がない現状もあります。 学びを通して「わかった、できた」という喜びは子どもの自己肯定感を高めます。
「子どもは社会で育てる」という視点で、子どもの今と未来を守るため、生活者ネットワークは、教育についてこれからも発信していきます。 

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連続講座レポート

9月28日 連続講座「原発事故と私たちの暮らし」が開講しました。
 当日は、自己紹介から始まり、その後グループに分かれ
 1、原発事故をどう受け止めたか
 2、なぜこの講座に参加しようと思ったのか
という二つのテーマについて話し合いました。
 原発事故に対しては、被災地で事故を知り不安のなかで過ごした日々を語ってくれた人、子どもたちに申し訳ないと言う人、政府やメディアへの不信感を持った人など、さまざまな思いが語られました。「語ることで忘れないようにしたい」「これから何ができるか考えたい」という思いで、講座に参加した人も。その思いを誰もが素直に受け止め、共有することができました。


人・まち・風
親子のたまり場「ちょこカフェ@市場」

 深大寺元町の調布卸売センター内にある「ちょこカフェ@市場」に行ってみました。「子連れでふらっと立ち寄れるカフェがほしい」というママたちの声を受けてできたというだけあって、店内には2〜3歳ぐらいの子どもたちを遊ばせながら3人のママたちがおしゃべりの真っ最中でした。
 コーヒーや紅茶、漢方茶は200円。麦茶や玄米茶などは200円でおかわり自由とか。これが運営費の一部になっています。
 運営は「子どもが豊かに育つ街」をテーマに情報交換する「ちょこネット」。子育て支援に携わるサークルや団体、助産師、医師、大学関係者などと行政が協働して新たな子育て支援事業を生み出すことを目的に活動しています。ちょこカフェもその一つ。
 訪れた日にはリトグラフの個展も開かれ、壁一面に淡い色調のやさしい絵が飾られていました。このような「壁貸し」や「委託販売」、ミーティングなどの「部屋貸し」も行って、ママたちの活動を助けています。
 この場所は、子育て中だからこその子ども同士、ママ同士の楽しみや活動を広げる場所として活用されていくことでしょう。それが、子育てしやすいまち調布の実現につながると思います。

連絡先 ちょうふ子育てネットワーク「ちょこネット」
 chocccondt@gmail.com

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第三回定例議会報告  一般質問

脱原発社会の実現を目指してまちなかに発電所を増やそう
市議会議員・代理人 ドゥマンジュ恭子

 昨年の原発事故は大きな被害と将来に対する不安を与え、全国で脱原発の声が上がっています。9月7日の定例議会で、地域分散型の再生可能エネルギーへの転換を目標に、調布市が新たな「エネルギー政策」を進めることを求めて質問しました。

 エネルギー政策は、首長がリーダーシップをとって進めることが大きな鍵になります。今年4月28日に発足した「脱原発をめざす首長会議」は、住民の生命・財産を守る首長の責務を自覚し、安全な社会を実現するための脱原発を目的に、世田谷区長や武蔵野市長を始め、現在約80人が名前を連ねています。そこでまず、この首長会議への参加を求めました。

公共施設の屋根に太陽光パネルの設置を

 今年7月1日から電力会社は再生可能エネルギーで発電された電気を決まった価格で全量買い取ることを義務付けられ、太陽光発電では10年間1kwあたり42円という価格が補償され、今後の再生可能エネルギーの導入や拡大が期待されます。
市民との協働でエネルギー政策を推進し、公共施設への太陽光パネルの設置を進めてきた飯田市の例を挙げて、調布市での取り組みを促しました。
 飯田市では2005年、市民と行政、民間事業者が協働し、市民の出資を元手に市内38ヶ所に合計208kwの設備を設置、飯田市が発電された電気の購入と公共施設の屋根の使用を20年間保障して事業を成功させました。
 調布市の公共施設では、太陽光パネルは市立図書館深大寺分館、布田、飛田給、多摩川の3つの小学校に加え、北ノ台小にも今年度中に設置されます。さらに、例えば総合体育館など個々の施設で検討しているのか質問し、施設の改修時期に合わせて検討するという答弁でした。

個人宅の太陽光発電を進めるために

 世田谷区では区長のリーダーシップの下、1000基の太陽光パネルを一括購入することで設置経費を低額に抑えた「せたがやソーラーさんさん事業」を7月に始めました。多摩市でも行政の協力のもと市民ファンドを創設して、多摩ニュータウンの集合住宅や公共施設の屋根を借りて太陽光パネルを設置するプロジェクトを進めています。
 調布市でもこのような行政主導あるいは協働型エネルギー政策の先進事例を参考に、市の公共施設、個人宅への太陽光パネルの普及促進を図ることを提案、答弁は他市の状況を研究し、検討を進めるとのことでした。
  
市庁舎内で節電の取り組みを進めよう

 調布市はこれまでにも省エネに取り組み、昨年度も庁舎の7・8階全体と5階の一部の照明を自動的に明るさを調節する節電型蛍光灯に換えたり、庁舎全体の窓ガラスを複層化するなどしています。
 さらに、市役所低層階で省エネ効果があり、一般的な蛍光灯より約30%明るさがアップするHf蛍光灯への転換を提案しました。
 このほか、太陽光パネルの設置校などで子どもたちが実際にパネルやパワーコンディショナーなどを見られるように、屋上へのフェンスの設置を求め、フェンスの整備は進めるという答弁を得ました。

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 平成23年度調布市一般会計  歳入歳出決算を認定

 平成23年度は、東日本大震災と福島第1原子力発電所の事故が市民生活にも大きく影響を与え、身近な地域での支え合いの必要性を感じる年でした。平成25年度からの基本構想でも、地域コミュニティーの機能を高める方向が示され、今後は次期基本計画のなかに市民と行政が対等な立場で手を携え合う協働をコミュニティー政策の中心に位置づけて、積極的に推進していくことが求められます。
 こうした状況の中、市財政は歳入の55%を占める市税収入が個人・法人合わせて前年度比10億円弱も減り、一般会計歳入決算も約797億円と約12億円減りました。
一方、歳出では社会保障関連経費を含む民生費がさらに大きな伸びを見せて、歳出全体の45%を占める349億円となり、今後もさらに需要が膨らむことは確実です。
市債(借金)の期末残高約433億円余を抱える厳しい財政状況の中、身の丈にあった財政運営への転換の必要性を指摘し、全体としては社会保障費を始め、市民生活を支える事業を最優先に配慮した決算として認定しました。

市議会本会議を傍聴して

 調布市在住11年にして初めて市議会を傍聴した。3・11以降、脱原発やエネルギー問題に関し、自治体主導の取り組みが各地で注目を集める中、調布では何ができるのか考えたいと思ったからだ。
 ドゥマンジュ議員の質問は事前の綿密な調査と情報収集に基づき、行政側から最大限前向きな回答を引き出そうとする内容であった。
議会傍聴のほかにも市民と議員が対話できる機会をもっと作って、市民が身近な政治と繋がることが大切だと思う。      (C・S)

 本会議の傍聴は初めてです。住民の生活のどういった問題を取り上げ、どう取り扱うのか、それに各担当者がどう答えていくのか、見聞きできる貴重な機会だと実感しました。
ドゥマンジュ議員の質問内容は、3・11以降、誰もが身近に感じているエネルギー問題でした。先進的に取り組んでいる自治体の具体的な例が挙げられ、調布市としての可能性も感じました。
 ドゥマンジュ議員には、困窮した財政の中で、未来のある現実的な方法が実現するよう注視し続けて欲しいと思いますし、私も見ていきたいと思います。   (R・H)

インフォメーション

放射線に安全量(しきい値)はない
日 時 2012年11月22日(木) 10時〜12時
場 所 調布市民プラザあくろす3階 研修室3
講 師 山田千絵さん(高木学校講師)
参加費 500円
保育はありません、小さいお子さんも一緒にどうぞ。
主催・問い合わせ 調布・生活者ネットワーク
              電話 042-487-3087

調布介護者の会クローバー 公開定例会
在宅介護と施設入所いつ決める?どう決める?

日 時 2012年11月15日(木) 13時〜15時
場 所 調布市民プラザあくろす 3階 会議室2
助言者 調布市高齢者支援室・ケアマネージャー
参加費 無料
主催・問い合わせ 調布介護者の会 クローバー
   

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