97号2012年7月25日


 原発事故を経験した今暮らしを見つめ直そう
      連続講座 「原発事故と私たちの暮らし」
 人・まち・風 放射能測定にまちづくり基金を活用
 6月議会報告 
 
      一般質問 協働を担う市民・NPOを支援する取り組みを
       議会改革の動き 放射線による子どもの被曝低減のための対策を求める陳情
 視察報告


 

原発事故を経験した今暮らしを見つめ直そう
      連続講座 「原発事故と私たちの暮らし」

  東京電力福島原発で起こった重大事故は、東京に住む私たちの暮らしを大きく変えました。幼い子どもに何を食べさせるかに悩み、避難中の人や、出荷制限や風評被害を恐れる食品生産者にも心が痛みます。
  事故以前の状態には絶対戻れない今、新たな状況下でこれからの暮らしをどうするのか、自分なりの暮らし方を見つけるためにみんなで話し合う連続講座の参加者を募集します。

原発事故で変わったこと

 原発事故で環境中に放出された放射能は、今後長期間にわたって私たちの生活に影響を及ぼします。放射能の影響を過小評価せず、できる対策を実行した場合と何もしなかった場合では長期間の健康に明確な違いがあることは、チェルノブイリ事故の検証で明らかになっています。
 しかし、「ただちに健康に影響を与えるものではない」というあいまいで意味不明の言葉で事態の収束を図ろうとした国への不信は消えず、特に幼い子どもを育てる世代には「よくわからないし、怖い話は聞きたくない」という人も少なくありません。安心して暮らしたいと願いながら、原発事故以降、不安な生活を送っている人が大勢いるのではないでしょうか。

きちんと知ることの大切さ

 まず、放射能に関する正しい知識を持つことが重要です。自然界に存在する放射能は安全なのか、放射能が人体にどういう影響を与えるのか、国が定めている食品の放射能出荷基準は適切なのか、どのような暮らし方が被ばくの影響を低減するのかなど、知りたいこと、わかっていなければならないことは山ほどあります。
 この連続講座では、「高木学校」の市民科学者にワークショップや学習会のサポートをお願いします。故高木仁三郎氏が、もう一つのノーベル賞と呼ばれるライト・ライブリフッド賞の受賞賞金と一般の支援をもとに、創立を呼びかけてできたのが「高木学校」です。市民の立場から問題に取組むことのできる「市民科学者」を育成したいという氏の思いに応えて全国から多くの人々が集い、1998年にスタートしました。
「現代社会の直面する環境、核、人権などの問題について、市民が抱く不安や憂慮を共有し、市民の視線でものごとを考えることのできる」科学者とともに学ぶことで、判断したり、生き方を決めたりするのに必要な知識や学びを深めることができます。 

人とつながる安心感を

原発事故以降、だれもが多かれ少なかれ揺れ動いてきました。放射能に対する受け止め方は人それぞれですが、互いの考えを共有することで自分の思いや考えを深めることができる講座にしたいと思います。茶話会やワークショップを体験する中で、自分の考えを人に伝え、人の意見を聞くうちに、自分なりの生き方を決めることができるかもしれません。
そして、同じ問題について互いに本当の気持ちを話しあった仲間とのつながりを作ることも、この連続講座の目標です。おおむね月1回のワークショップや茶話会、講演会は、1回ごとの自由参加ですが、できれば連続して出席していただくことで、より学びを深め、参加者同士のつながりも強めることができると期待しています。

◎ 企画に賛同する方  
◎ 仲間とともに学ぶことに関心がある方
◎ 不安だけどどうすればいいかわからない方
◎ いずれかの回に参加可能な方、是非ご参加ください。

人・まち・風
放射能測定にまちづくり基金を活用

  古紙回収グループたんぽぽは昨年4月、それまで生協内の有志が取り組んできた集団古紙回収を、任意団体として引き継ぎました。そしてこの度、30数年来積み立ててきた「まちづくり基金」を、ちょうふ市民放射能測定室に寄付しました。
たんぽぽでは、調布市からの集団古紙回収報奨金の一部で古紙100%のロールペーパーを購入してリサイクルを実践し、残りをまちづくりの役に立てたいと「まちづくり基金」として積み立ててきました。
  昨年、福島第一原発事故が起き、会員から「放射能測定体制の強化に役立てたい」という声が上がりました。そこに市民による放射能測定室立ち上げの話を聞き、測定器購入の一部に役立てることにしました。
すでに市民による測定が始まっていますが、いたずらに恐れることなく、測定値を知り、安心した生活が送れるよう活用していければ、まちづくり基金の使途として意義あるものと考えます。
  たんぽぽにはどなたでも参加できます。リサイクルを実践し、まちづくりの役に立てるよう、今後も地道に活動していくつもりです。
問い合せ 03-3789-0193(下釜)

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議会報告 一般質問
協働を担う市民・NPOを支援する取り組みを

  第2回定例議会は6月1日に開会し、ドゥマンジュ恭子は6月6日に協働と防災の2つのテーマで一般質問を行いました。
  厳しい財政状況や少子高齢化へ向かう中、多様な市民ニーズや生活課題への対応は、「(市民の)参加と協働のまちづくり」を抜きに考えられません。来年度から10年間のまちづくりを示す「新基本構想」でも、引き続きその推進が位置づけられています。
  行政とNPO・市民活動団体が信頼関係を築き、協働で地域に必要な事業を進めるための制度整備や支援について、市の考えを聞きました。

 昨年、市民活動支援センターが行ったニーズ調査では、団体も一般利用者もわかりやすい情報提供などの支援を一番に求めています。小平市のように、ホームページを市民やNPOの立ち上げやその活動を支援できるものに改善するべきと質問しました。
答弁では、来年4月からの次期運営団体の選考に合わせて、わかりやすい情報提供等に向け検討を進めるということです。
また、市民活動を支援し、市民の創意と工夫にあふれるまちづくりを進めるために、市民・行政協働運営型市民ファンドの創設を求めました。
新たな財源の確保は難しいという答弁でしたが、市内では、社会的に有益な活動を地道に続けるにも、資金面で苦労しているNPOがある一方、「運営補助金を使いきるのが大変」という団体が一部あるとも聞きます。現在の補助金制度などを検証、整理した上で、公益的な市民活動団体等を育て、強化する協働運営型ファンドの創設を再度求めました。

協働事業提案制度の創設を

  協働事業提案制度は、市民団体や自治会などが公益性の高い事業を提案し、市と協働して地域の課題解決を行なうものです。和光市の取り組みを取り上げ、団体と担当課で事業内容を協議して役割分担表を作成し、委託契約を締結する手法を提案しました。事業終了後は公開報告会を経て審査会により事業成果が評価されるなど、市民団体、職員双方にとって協働の意識が増す仕組みになっています。
  調布市の行財政改革アクションプランでは、「協働事業提案制度は今年度中の導入」となっていますが、実行されておらず、プランになかった地区協議会のみを対象とした地域カルテ事業が昨年度から試行中です。やる気やアイディアを持つ活動団体との協働を広げるために、新たな協働事業提案制度の創設を求めました。

地域の防災力を高めるために

 市では、「避難所運営マニュアル作成のためのガイドライン」を今年3月に作成しました。ネットは東日本大震災以前より、避難所ごとの運営マニュアルの作成と、それに基づいた訓練を求めてきましたので、一歩前進したといえます。
マニュアル作成時には、女性や高齢者、障がいを持つ方、子育て世代などの声が直接反映されることと、行政も福祉や男女共同参画等の部署が連携して関わっていくことを求めました。
  答弁では、マニュアル作成の検討に入った2ヶ所の地区協議会には学校関係者や市職員等も参加しており、今後も地域にあったマニュアルづくりを積極的に支援していくということでした。
 また、地域福祉センターや老人憩いの家は、災害時には特に配慮が必要な方たちに対応するとしていますが、具体的な検討は進んでいません。総合防災安全課だけでなく、施設を管理しているそれぞれの部署との連携で早急に検討していくことを求めました。
さらに、地域防災計画の見直しにあたって「子ども」の視点を入れることを求めました。子どもには、学校や家庭だけでなく、遊び場や安心できる居場所の確保、相談したり話したりできる人の存在などが大切なことが、今回の震災で改めて明らかになりました。子どもたちには立ち直る力がありますが、それを十分に発揮できるようにするための環境と支援が必要です。子どもに配慮した防災施策を進めることを要望しました。

議会改革の動き

  昨年の10月から各会派の幹事長で議会改革の協議が進められています。提案してきた傍聴者の環境整備として、6月議会から議場に車イスの利用者の傍聴席ができ、議場に入る階段もスロープに改修されました。また、子どもを連れての本会議や常任委員会の傍聴が可能になりました。
  また、6月議会から一般質問の際、今までのように質問全部が終わってからまとめて答弁する「一括方式」だけでなく、一問一答方式も選択できるようになり、私も初めて一問一答で行いました。傍聴した方からは、今までどの質問に対しての答弁なのかわかりにくかったのが、明確になったという感想がありました。
一方、生活者ネットワークのような一人会派を認めないことにしようという提案も出されています。
  調布市議会はこれまで長年にわたって一人会派を認めてきています。議会改革の名目で少数派の声を制限しようとする提案は民主主義から外れるものと言わざるを得ません。

視察報告

6月25日から3日間、岩手県、宮城県を回り、被災地の現状や盛岡の女性施策、多重債務への取り組みを視察してきました。

〈盛岡女性センター〉
東日本大震災後、センターでは、国の緊急雇用促進制度を活用して被災した沿岸部の女性を雇用し、仮設住宅を訪問する買い物支援を事業化しました。これは今後ますます重要になる安否確認と、女性の起業支援の側面があります。また、配偶者暴力相談支援事業では、若い世代のデートDVの周知啓発のための生徒用の冊子のほかに、授業で活かせるよう教員用の指導案を作っていることが画期的でした。

〈消費者信用生活協同組合〉
 労働組合に組織されていない労働者など、弱い立場にある人たちの相互扶助としての貸付事業を行うために1969年に設立され、1989年からは多重債務問題の相談・解決を目的とした消費者救済資金貸し付け制度を創設しています。現在は多重債務よりも生活困窮の相談が増加しており、NPOなどとの協働で就労や家計指導などの生活支援事業も展開しています。岩手県と青森県に6つの相談センターがあり、厚生労働省もこうした取り組みを全国に広げるよう検討しています。

〈大槌町〉
 昨年もボランティア活動のため訪れた大槌町では、町民が昨年11月「社団法人おらが大槌夢広場」を立ち上げました。夜は交流の場の居酒屋にもなる復興食堂を開き、被災状況を伝える資料館を開設してそのガイドを行っています。

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