96号2012年4月25日


 電力自由化で安全・適正価格の電力供給を
 人・まち・風 アースデイin調布 考えよう「地球の直し方」
 3月議会報告 
    代表質問3・11後の地域づくりに社会教育を
           予算討論
    議会での発言 放射線による子どもの被曝低減のための対策を求める陳情
 インフォメーション


 

電力自由化で安全・適正価格の電力供給

 国と電力会社が両輪となって進めてきた原発推進政策。「原発安全神話」の嘘が露呈した今も、政府は「脱原発」方針を明示することなく、停止中の原発の再稼働を拙速に進めようとしています。エネルギーシフトを実現するためには、発送電分離や電力自由化など、電気事業に関わる様々な制度を変えていくことが必要です。

天井知らずの「総括原価方式」電気料金

 個人や中小事業者が使う電気は地域の電力会社と決められ、その電気料金は、安定供給を条件に発電・送電・配電にかかる費用に一定の利益(3%)を上乗せして会社が決め、国の認可を受けて決定します。
 ここで問題なのは、費用がかかればかかるほど利益が多くなるという「総括原価方式」というしくみです。「もんじゅ」や六ヶ所再処理工場なども含め、原発や揚水発電所など、巨大な設備が大きな利益を生むのです。特に、次々に事故や不具合が発生するため、原発の設備費は膨らむ一方です。電力会社が原発を増やしてきた背景には、大きな利益を保障するこの制度があります。

伸び悩む「自由化された電気」供給

 日本でも一定規模以上の事業所は、電力会社に限らず自由に発電会社を選ぶことが出来ます。こうした発電会社は特定規模電気事業者(PPS)と呼ばれ、電力会社より安い料金で電気を販売しています。昨年の原発事故を受け、多くの自治体が電力会社からPPSに乗り換えようとしています。調布市でも、小中学校などの公共施設の一部をPPSに変える方針です。
 このようにPPSの需要は伸びていますが、電力会社の送電線を利用するため思うように電気を売ることが出来ず、電気の総需要に対するシェアは2%にも及びません。

発送電分離は自由化の切り札

 なぜこういう事態になるのか? 富士通総研の高橋洋氏は「飛行機に例えると分かりやすい」と説明します。一つの航空会社が空港も所有していたら、有利な時間帯や自社と同じ条件で他の会社に空港を利用させることはありえません。自社の利益を最優先させて空港を使うのですから、格安航空会社の参入など無理です。航空会社同士の自由な競争はなく、そのようなことは国際社会で通用しません。
 電力会社の発送電一体の所有や運営は、日本国内限定の流通だからこそ成り立つ方式であり、電力会社の独占と政財界癒着の利権構造を許している元凶です。

自由化で主体的に電気を選ぶ

 欧米では、電力を自由化することで再生可能エネルギーの利用を進めてきました。スウェーデンなど北欧の4カ国は、一緒に電力市場を形成してそれぞれの国で発電した電気を共通の送電線を使って融通しあい、電気の安定供給と自由競争による価格の安定、電源を選ぶ消費者の権利を保障するしくみを作り上げています。
日本との最大の違いは、発電と送電、配電それぞれ別の会社が運営していることです。発電と配電は多くの会社が参入して自由競争で安い電気を供給し、送電会社は厳しい規制を受けて送電線を公正に使用するというルールで安定供給を確保しています。
 日本でも企業に限らず、個人でも電気の発電元を自由に選べるようにし、再生可能エネルギーの普及を進めていくべきと考えます。原発の電気を使いたくないという個人の思いが生かされるよう制度の改編を求めていきます。

4月21日 市民学習会 超初級編「電力会社のしくみ」
講師:山崎求博氏(足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ 事務局長)


人・まち・風
アースデイin調布  考えよう「地球の直し方」

 調布市では、1990年から毎年5月の連休明けの土曜日、「アースデイin調布」が、市民団体から実行委員を集めて企画、開催されています。参加している団体は、環境に限らず福祉や平和などの活動を続けている団体です。地球環境を大きなテーマに毎年独自のテーマを決め、映画の上映と展示などをセットにして、現在はたづくり前の広場で実施しています。
 今年のテーマは、昨年の原発事故を受け「地球の直し方」。この言葉の元になった映画「セヴァンの地球の直し方」をたづくり映像シアターで上映します。「どうやってなおすのかわからないものを 壊しつづけるのは もう やめてください」というセヴァンの言葉は、再三にわたり原発事故を起こした人類への警鐘です。
 アースデイin調布で、地球のこと私たちの生活のことなど、展示を見て話したり考えたりしてみませんか?

▲ 昨年のアースデイ

問い合わせ アースデイ実行委員会  FAX 042-486-9847

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第一回定例議会報告   代表質問

全庁的な地域コミュニティ政策の構築を
市議会議員・代理人 ドゥマンジュ恭子

 平成24年第一回定例会が2月29日に開会しました。 ドゥマンジュ恭子は3月9日に、平成24年度の市長の基本的施策に対して会派代表質問を行いました。

 災害時の相互支援や、孤立しがちな高齢者や子育て世帯への対応など、地域コミュニティへの期待が高まっています。しかし、高齢化が進み自治会活動の低下、マンションには自治会がないなどの課題があります。

 既存のコミュニティを活性化させ、また新規に立ち上げていくためには、長期的な展望を持ち、関係各課が連携して進めていくことが必要。見解は。

 活性化のための環境整備や、主体的にまちづくりを実践できる制度・仕組みを構築する。

市では地区協議会を対象に、300万円を上限とした「地域カルテによる事業提案制度」を導入しましたが、街路灯の設置などハード面での活用しかできず、課題が指摘されています。

 地域でのつながりを作り出すことで地域課題の解決を目指すソフト面の充実こそ求められるが、三鷹市がその目的で行っている協働事業提案制度の導入を。

 先進事例を調査・研究する。


◆ 防災対策
東日本大震災前から求めてきた「地域ごとの避難所の運営マニュアル」の作成が今年度から始まります。阪神・東日本大震災の経験をふまえ、男女共同参画の視点からも災害時に弱い立場になる人の声を反映させることを求めました。

 高齢者、障がい者、子育て世代や女性がマニュアル作成の話し合いに参加できるよう配慮を。

 地域特有の意見や、支援を必要とする人の視点が入るよう検討する。

 マニュアル作成の話し合いの場に防災の専門家の支援を。

 先進事例を参考に、地域の防災関連の人たちの意見を聞く。


◆ 環境保全
京王線立体交差事業の進展に伴うまちづくりと共に、市民が愛着を持つ水と緑の豊かな環境を守るための費用確保を求めました。緑の保全基金への積戻し、まちづくり協力金の緑の保全基金への積み立てなど、環境保全の財源を探るべきです。また、減少する農地への方策について質問しました。

 環境保全の財源を確保し、緑の基本計画にそった緑の確保を。

 緑の保全基金は地球環境保全基金との統合を視野に再構築し、計画に基づき緑を守り充実させていく。

 市の農地保全に向けた「農の風景育成地区制度」の活用を。

 活用の可能性を検討する。

◆ そのほか、次期総合計画、市民参加、子ども若者支援、福祉3計画などについて質問をしました。

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予 算 討 論

 26日の議会最終日、平成24年度予算が可決されました。生活者ネットは、予算案に賛成し意見を述べました。

 平成24年度の一般会計の予算規模は昨年より1.3パーセント、10億2千万円減額の761億3千万円。今後も市税収入の伸びは期待できない中、社会保障費が増加していくことが予想され、優先度を考えた政策選択がますます必要になってきます。
 これまでも、市の貯金である基金を取り崩したり、臨時財政対策債という国債による借金でやりくりをしてきましたが、平成25年度からは、この臨時財政対策債での借り入れができなくなります。
 生活者ネットワークはこの点を指摘した上で、防災対策や市民生活支援に重点的に取り組むこと、困難を抱える子どもと家庭を支援するスクールソーシャルワーカーの拡充を評価して予算案に賛成しました。
また、地域カルテに基づく事業提案制度については、事業の見直しを求めました。地区協議会に上限300万円の予算で、地域の課題解決のための事業を提案してもらうというものです。平成24年度は2つの地区から、公園の遊具設置や井戸の改修など5事業477万円が予算化されました。市長は試行的に行うとしていますが、公平性や優先度などの点で疑問が残ります。
 地区協議会の立ち上げ、活性化に工夫は必要ですが、この事業が本当に必要とされているのかどうか、再検討するべきと考えます。
全庁を横断した地域コミュニティ政策を構築し、防災対策や地域の中での見守りなどもっと身近なところから地域のつながりを創る取り組みが必要です。

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議会での発言


新ごみ焼却場への建設補助金について質疑

 災害廃棄物処理の促進を目的とする交付税を、ふじみ衛生組合が受け取るという補正予算が提案されました。この交付金と被災地のがれき処理との関係性、万一がれき処理を要請された場合の地元との協議について、議会冒頭で質問しました。
 交付金ががれき処理を条件とするものではないこと、新焼却場稼働後にがれき処理の依頼があった場合には、地元への十分な情報提供と協議を行うという答弁を得ました。

陳情第24号の2 放射能によるこどもの被曝低減のための対策を求める陳情の採択を要求

 陳情は保育園・小中学校の給食や学校生活からの被曝ゼロを目指し、子どもの目線での放射能測定や除染を求めています。
 生活者ネットは調布市が実施している取り組みは評価しつつ、いち早く学校給食の基準を40Bq/kとし地産地消原則などの指針を示した松本市の例をあげ、保護者の不安、不信を払拭するために、子どもの安全を守る強い姿勢を市長に求めました。生活者ネットは陳情の採択を要求しましたが趣旨採択となりました。 

自民党提出の議案「調布市基本構想を地方自治法第96条第2項に規定する議会の議決するべき事件として定める条例」に反対

 昨年8月義務付けが削除された基本構想について、市長はその策定と議決を明言しています。自民党の提案は、市長と同じく基本構想だけを対象とするもので、市長提案を待って議決すればすむものです。
 中長期的な課題についての議会審議をより活発にするため、総合計画などを議決する自治体は増えています。調布市においても、基本計画を議会の議決事項に加え、市議会が責任を持って市政に関わっていく姿勢を示していくべきと考えます。
 生活者ネットは、あえて提案するなら基本構想に加え、より具体的な政策や施策が盛り込まれる基本計画も議決対象とすべきと考えます。

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インフォメーション

冊子「移動サービス事業所案内」ができました!

 


福祉部会では、福祉移動サービス事業者にアンケート調査を行い、14事業者からの回答内容を冊子にまとめました。
 公共交通機関の利用が困難な方などに、ぜひ活用していただきたいと考えています。
 ご希望のかたは、調布ネット大木(電話 042-487-3087)までお問い合せください。 
 また、各地域包括支援センターにも届けてありますので、そこで受け取っていただいてもけっこうです。

「ミツバチの羽音と地球の回転」上映会

鎌仲ひとみ監督作品 135分
28年もの間、原発反対の運動を続けてきた祝島の人々の姿と脱原発・エネルギーシフトを進めるスウェーデンのドキュメンタリー

日時 2012年5月19日(土) 10時・13時・16時・19時
場所 調布市文化会館たづくり 8階 映像シアター
10時・13時のみ保育付き(保育予約締切5月11日)
ご覧になりたい方は必ず下記までご予約ください。
問い合わせ 電話 042-483-8686「アトリエ六曜舎」
      メール tominntouhyo.chofu#gmail.com
          (#を@に代えてください)

「議員さんと学ぼう!」原発都民投票学習会

日時:5月25日(金)18時半〜21時半
場所:調布市市民プラザあくろす3階 あくろすホール
講師:今井 一 氏 ジャーナリスト
            「みんなで決めよう『原発』国民投票」事務局長
参加費:500円     
定員:100名(要予約)
問い合わせ:minnademanabou.chofu#gmail.com
         (#を@に代えてください)


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