120号 2018年4月25日


議会報告
・基本的瀬策に対する質問
・2018年度一般会計予算に反対
・核兵器禁止条約に関する陳情2件は賛成多数で採択
・種子法廃止に関する意見書

おしゃべりカフェNo.5 「ふたりパパ」

介護する人の笑顔は良い介護の証し  
  多様な居場所づくりでケアラーの孤立を防ぐ

人・まち・風 ゲゲゲの町の助産師会


 

第1回定例議会

生活時間を取り戻す働き方を

市長の今年度の基本的施策に対し、食の安全、人間らしい働き方などの質問をしました。

種子法廃止後も給食の安全安心確保を

国は戦後の食糧難の反省から主要作物種子法を制定し、国民の基礎的食料である米、麦、大豆の種子を安定的に供給してきました。しかし、種子を売る企業活動を阻害しないという目的で、大きな議論のないまま、2017年8月にこの法律が廃止されました。これは食の安全を脅かす重大問題です。

市では現在、学校給食などの食材の添加物や産地などに気を配り、食材の安心安全を守っています。しかし、今後種子法廃止の影響により食品の安全基準の規制緩和が懸念されます。そこで、特に遺伝子組み換え作物の取り扱いについて質問したところ、「これまで通り事業者に遺伝子組み換えでない食材だという証明を求める」という答弁でした。

人間らしい働き方を

国際労働機関(ILO)が示すディーセントワークとは、「働きがいのある人間らしい仕事」と翻訳され、十分な所得、労働者の権利、社会保護、ジェンダー平等が重要だと示されています。今後、男女ともに生活時間を取り戻して「人間らしく働く」ために大きく意識を変えていく必要があります。

ディーセントワークの実現に向け市役所内での意識改革についての質問には、固定観念にとらわれない生き方講演会を実施し、全職員向けに行なった満足度調査の分析結果を今後の働き方改革に生かしていくということです。

他に、せんがわ劇場の俳優を派遣するアウトリーチ事業を、学校教育での豊かな表現活動に活かすことについて肯定的な見解を引き出せました。また、家族を介護している人への支援について質問をしました。(2面参照)

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2018年度一般会計予算に反対

「調布市子ども・若者総合支援事業ここあ」の学習支援や児童養護施設退所者支援等、市民福祉の向上に資する事業も多いものの、駅前広場をはじめ、街づくりに58億円余を計上しているのは、予算全体のバランスからは大き過ぎる金額です。特に自走式地下駐輪場は利便性、安全性に欠け、市民や議会への情報提供にも問題があります。

また、マイナンバーを活用して住民票と印鑑証明をコンビニで交付する印鑑条例の改正も個人情報流失の危険性があるので、反対しました。



核兵器禁止条約に関する陳情2件は賛成多数で採択

文教委員会では「核兵器禁止条約に議会の賛同を求める陳情」と「核兵器禁止条約に日本政府が参加することを求める意見書に関する陳情」を審査しました。
人類や地球環境にとって核兵器は保有すべきではなく、日本は世界で唯一の被爆国として、国際平和に貢献していくべきとして両陳情に賛成しました。
委員会採択ののち、「核兵器禁止条約に日本政府が参加することを求める意見書」を本会議に提出、賛成多数で採択し国に提出しました。

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種子法廃止に関する意見書

種子法廃止後、遺伝子組み換え作物や民間事業者の参入等が懸念されますが、それを補完する具体的な施策も示されていません。
日本の主要農作物の種子を公共の財産として保全するために積極的な施策を求めましたが、自民・公明の反対で「主要農作物種子法廃止に際し日本の種子保全の施策を求める意見書」は否決されました。



おしゃべりカフェNo.5
「ふたりパパ」に会場いっぱいの五十人が感動!

せんがわ劇場の活動で出逢った「みっつん」は、現在スウェーデンでパートナーと、代理出産で授かった2歳の息子くんと暮らしており、久々の帰省中に念願の対談が実現しました。

「親が悲しむから」とカミングアウトしていなかった頃、背中を押してくれたのは同じ舞台に立った演劇仲間だったそうです。日本では出来ない男性同士の結婚や代理出産を選択した経緯を丁寧に話す語り口は優しく慎ましく、会場は終始なごやかな空気に包まれました。

みっつんのブログを見て遠くから参加した人も多く、中には同性カップルで子どもが欲しいという方たちもいて熱心に質問しているのを見ると、今の日本ではこうした情報を得にくいのだと実感します。

ありのままの自分で生きる自由が誰にでも保障され、互いを認め合える社会を実現したいと強く思います。

二宮ようこ

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介護する人の笑顔は良い介護の証し
多様な居場所づくりでケアラーの孤立を防ぐ

市が高齢者総合計画でケアラーへの支援を明記

調布市は2018年度から始まる第7期高齢者総合計画に、従来の「介護者への支援」を新たに「ケアラーへの支援」と名称を改めました。ケアラーとは高齢者や障がい児・障がい者の家族などの介護を無償で行う人の総称です。国内では、「ケアラー」という言葉を公的に使用している自治体は少なく、介護者を支える施策を積極的に進めている自治体に多く見られます。

これまで介護される人にだけ目が向いていた介護の現場で、介護する人への支援がより鮮明に表明されたのは画期的なことです。

介護保険が始まっても、在宅サービスを利用するだけでは、それ以外の夜間などの長時間介護するケアラーの疲れや悩みは解消されません。ケアラー自身も自分のことは後回しにしてしまいがちです。気づかないうちに疲弊し、うつ状態になり、介護殺人や自殺などという最悪の結果を招くこともあります。

ケアラー支援で一番大切なのは、介護が始まると同時に「ケアラー自身が元気でなければ良い介護は出来ない」ということをケアラー自身にしっかり理解してもらうことです。それを伝えるために、新たに介護を始めるケアラーに「ケアラー手帳」を渡している自治体もあります。そこには、「介護される人と同じようにケアするあなたも大事です」と書かれ、相談窓口などの情報が記載されています。

ケアラーの居場所づくりを

調布市内でも、ケアラーの自殺やうつ病を危惧した人達が、自主的にケアラーのための居場所を作り始めています。例えば、毎月1回第3木曜日の午後、市民プラザあくろすの一室で、在宅介護を担うケアラーの話し合いの場が開かれています。
ここでの話合いは深刻な事ばかりではありません。むしろ、明るく冗談も出る笑い声に満ちた場でもあります。

ここは無償で介護する人が何を言っても受け入れられる場所、介護の苦労も苦悩も知るケアラーだけが参加できる場です。だからここでの話は、他の人には内緒です。親世代を介護する人から夫の介護など年代も様々ですが、ここで話を聞いて「悩んでいるのは私だけではない」と感じることができ、新しい情報や知恵も得ら
れます。

ケアラー支援のために必要なこと

新たにケアラーになった人が早く「ケアラー自身の心身の健康が良い介護の条件だ」ということに気づくことが大切です。そのために、ケアマネージャーにケアラー支援の必要性を周知すると共に、介護保険に繋がっていないケアラーや介護経験のない市民への意識付けも必要です。それがなければ地域包括ケアシステムは完成しません。

ケアラーの話し合いの場を増やすことと運営を担う市民を増やすことが必要です。働く人や学生などの若いケアラーにとっては、現在のあくろすの平日の昼間の場には参加できません。街中のカフェを使ってケアラーの居場所にしている自治体もあります。

居場所を自ら運営するのは自分の時間すら持てないケアラーには荷が重すぎます。市民向けの養成講座を実施して人材を確保する必要があります。

 

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人・まち・風

ゲゲゲの町の助産師会


「ゲゲゲの町の助産師会」は地域に根付いて母子やその家族に寄り添いサポートしようと助産師が集まり、任意団体として2011年に発足し、調布市内の病院助産師、開業助産師、育児休暇中の助産師など、現在30名近い助産師仲間が所属しています。

毎月一回、「ゲゲゲの助産師サロン」を開催し、いろいろな講師の先生を招き、ママ同士の交流を図り、その場で気軽に助産師相談ができます。また児童館の子育てひろばで相談をうけ、母子のサポート以外でも思春期相談、学校への「いのち」の出張講座も行なっています。

今、日本では少子化が加速。また核家族化や地域交流の希薄から孤独な育児(孤育)となり不安を抱えている母親も増えています。産後うつも多く、妊産婦死亡のトップが「自殺」で、児童虐待死亡も0歳児が4割を占めます。日本は高度医療により周産期死亡率は世界でも低いですが、相反して産後の自殺や虐待数は先進国の中でトップなのは悲しい現実です。

初めての妊娠、出産、子育てと不安のある中で、入院期間は短くその後も十分な支援が受けられず、子産み子育てに自信のない親が増えています。
このような深刻な問題を解決するには、妊娠〜産後、子育てに地域の中で寄り添っていくことが、私達助産師の大事な役割と思っています。

かつての日本では地域の中で、産婆が誕生から思春期、妊娠から産後、更年期、そして死まで、人生の伴走者として家族を支えてきました。今、助産師の8割は病院に勤務しています。地域で活動する助産師が少ないなか昔の産婆時代のように、助産師が地域の中で女性の伴走者となれるようゲゲゲの助産師は日々奮闘しています。

女性が笑顔で元気、自信を持てることが幸せな子産み、子育てにつながります。日本の未来を明るくするためにこれからも頑張っていきたいと思います。

ゲゲゲの町の助産師会  代表 田中佳子
連絡先 090‐9132‐2425  https://www.facebook.com/gegegemw/

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