119号 2018年1月25日


議会報告
 ・一般質問 見えない害「香害」
 ・ 文教委員会報告
 ・一般会計補正予算 第4号に反対


小さな「けんぽうカフェ」

人・まち・風 すべての人に寄り添う社会保険労務士の仕事

インフォメーション
・おしゃべりカフェNo.4☆「ふたりパパ」
・いのちの岐路に立つ〜核を抱きしめたニッポン国〜上映会


 

第4回定例議会一般質問

見えない害「香害」

「香害」という言葉を聞いた事はありますか? 昨年の夏、日本消費者連盟が2日間実施した「香害110番」には、全国から213件の相談が寄せられました。「近所の洗濯物の匂いでベランダに出られない」等、健康被害の症状として、頭痛、めまい、吐き気、目がちかちかするなどがあり、重症化する事例も寄せられました。誰でも発症する可能性があり、健康被害を認識する必要があります。

「香害」の原因は化学物質

NPO法人日本消費者連盟(以下、日消連)は「香害とは、柔軟剤、消臭除菌スプレー、制汗剤、芳香剤、合成洗剤などの強い香りを伴う製品による健康被害。体臭は含まれない」と定義しています。香害は、自分で使用していないのに被害を受けるという点では受動喫煙と同じです。

2000年代に輸入品の香り付きの柔軟剤がブームになり、国産品も追随して香りを付けた洗剤などが当たり前になってきました。しかし、香りの元が化学物質である以上、微量でも繰り返しさらされることで化学物質過敏症を発症する可能性があります。

市の消費者相談にもこれまで数件の匂いについての相談が寄せられています。重症化する深刻な健康被害もあり、検証して対策を講ずるべきなのに、香害についての市の認識は、国の動向を注視することに留まっています。

シックスクール問題を教訓に

03年に開校した調和小学校では、複数の子どもがシックハウス症候群を発症し、大きな問題となりました。市では2年かけて05年度に調布市立小中学校対応マニュアルを作成し、「室内の換気の確認の他、薬品やワックス、洗剤、芳香剤の使用に関する配慮や、教職員等の整髪料や化粧品、衣服に残る臭気への配慮などを示している」という答弁でした。

また、08年度には教育委員会として「調布市立学校における室内化学物質対策推進協議会」を設置し、保護者関係部署等と毎年チェックリストによる確認結果等学校からの報告内容や揮発性有機化合物の測定結果等の情報を共有しているということでした。

化学物質の影響を受けやすい子どもが長時間過ごす学校での対応は大変重要です。今のところ保護者からの香りに関する被害報告はないとのことですが、答弁にある通り、「一人ひとりに応じたきめ細かな対応」は必須です。

市職員・市民への周知を

市役所には多様な市民が訪れます。特に、直接市民と接する窓口の職員には化学物質過敏症の市民への配慮が必要です。現状を正しく理解し、周知徹底するために、シックハウス症候群に関する職員向けの研修内容に「香害」を加えるべきです。

また広く市民への理解促進のために、さりげない言葉や言いまわしを工夫したポスターを作って掲示したり、ホームページに掲載している自治体や団体があります。相談のための担当課の表示もでき、市民には有効な広報手段だと考えます。

 

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文教委員会報告

市民プラザあくろすの指定管理者の選定(5年ごと)を審議、2社の公募型プロポーザル方式による競争入札の結果、引き続き潟Zイウンが選定されました。質疑で、男女共同参画推進センターの事業として、カルチャーセンターの要素が強い「○○教室」等が多く想定されていてセンター本来の目的が見えにくいため、もっと専門的な知識が得られる研修を充実するよう求めました。

また、指定管理者に一任ではなく、目的をしっかり伝えて役割を着実に果たせるよう意見・要望がだされました。



一般会計補正予算 第4号に反対

調布駅前の公園の樹木4本を伐採から移設に変更するための計画変更に伴う提案であり、市民の要望に応じようとする意図は理解できます。しかし、駐輪場は利用者の負担が少なく利便性を考慮した機械式も考慮すべきです。

また、自ら市民会議等に参加して説明しなかった市長の判断にも納得できず、「参加と協働のまちづくり」を実感できないことからこの補正予算には反対しました。これからも調布のまちづくりへの動向を注視し、発言していきます。

 

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小さな「けんぽうカフェ」

「早期に憲法改正の発議をしたい」との首相の発言から、現実味を帯びて「憲法改正」が語られるようになりました。前のめり気味の改憲論者に比べて一般市民の関心は薄く反応はいまひとつです。でも、決めるのは国民投票。11月13日、今の法律、社会の基礎となっている憲法の基本の基を学ぶ講座を行ないました。講師は、子どもの命を守りたいと運動している調布ネット会員の木下安子さんです。

まず、憲法を読んでみる

「小さなけんぽうのお話し会」は、2年前に参加した八王子・生活者ネットワークの憲法カフェリーダー養成講座に後押しされて、「弁護士さんたちから聞いた話を伝えたい!」という思いを形にしたもので、今回で6回目です。憲法の成り立ちから始まり、日本国憲法の前文や大切な条文を解説します。全員で前文を音読してから、井上ひさしさんの子ども向けの翻訳を読むと、力強い決意が伝わってきて胸が熱くなります。

自民党の改憲草案は…

「公共の福祉」と「公益及び公の秩序」の大きな違い、「戦争放棄」が消えて「国防軍」が設置されている9条、新設の緊急事態条項…と順を追って見ていくにつれ、参加者の眉間のシワが深くなります。

確かに、近代憲法の基礎である立憲主義が崩れ、国民主権、平和主義、基本的人権の中身がガラリと変わってしまっている改憲草案には批判したくなるポイントが満載です。しかしお話し会では、批判よりむしろ今の憲法に当たり前の生活が守られていること、今の自分と憲法との繋がりに気づいていただきたいと思っています。

権理と権利はどう違う?

「憲法は権力者が守るもの」という立憲主義の根本原理は、初めての参加者が驚くポイントです。憲法は、権力に縛りをかけ、権力者の暴走を食い止めるために国民が制定するものです。

日本では責任や義務を果たすことが美徳とされ、そこを抜きに権利を主張することは利己的な行為と思われがちです。しかし「権利」は英語では「right」。本来は「正しいことを主張する」という意味で、責任や義務とは無関係です。最初に翻訳した福沢諭吉は、言葉の意味を反映させるべく「権理」という漢字を当てたそうです。

国民が権利を有することを良しと思わなかった人々の目論見でしょうか、「利」という字にすり替えられたことで、「ケンリ」は主張しづらいものになってしまいました。でも、人権は何か責任や義務を果たしたご褒美として与えられるものではなく、私たちが生まれながらに持っているものです。

好きなところに住む権利、好きなことを勉強する権利、戦争に命を脅かされることなく生きる権利。今は当たり前のこれらの権利もすべて、先の戦争の反省に立ってやっと獲得したものです。多くの過ちを犯し、多くの命を犠牲にして得た人権を二度と失わないように国民が定めた憲法。守るのも失うのも私たち次第です。

でもそんな堅い話よりも、まずは憲法の温かく力強い包容力を感じていただきたいのです。お話し会はお一人でも開催いたします。お気軽に調布ネットまでご連絡ください。

 

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人・まち・風

 すべての人に寄り添う社会保険労務士の仕事

「今日は、皆さんが、将来社会に出て安心して幸せに暮らしていくためのお手伝いのために授業をしに来ました」 都立高校や公立中学校で、私たち社会保険労務士が行っている出前授業の冒頭で、生徒さんにこの言葉を伝えています。

社会保険労務士の出前授業では、主に社会保険と労働法を扱います。誰もが安定した穏やかな暮らしをしたいと思っていますが、人生においては何が起こるか分かりません。いざという時に自分を守ることができるかどうかは、制度や法律についての知識があるかどうかにかかっています。しかし、生徒だけでなく大人でもこれらの知識を与えられていないために辛い目にあっている人がたくさんいるのが現実なのです。

 「年金」は年を取って受け取るものというイメージがありますが、公的年金には「老齢年金」の他、「障害年金」「遺族年金」があります。保険料を滞納すると、いざ事故等で重い障害を負っても障害年金を受けることができません。

私が担当している会社にも、30代で休日の交通事故で高次脳機能障害が残ってしまった方がいます。言語障害があって人との会話が難しい、急に発作で倒れてしまう等、事故前と同じように働くことはできません。

しかし入社前に保険料を長く滞納していたために一生涯受けられたはずの障害年金が受けられません。年金は高齢者のもの、若い人はどうせ貰えないなど間違った情報を鵜呑みにして未納のまま放置していたようなのです。親御さんは30年後の息子の将来を心配し心を痛めています。


国家資格である社会保険労務士の仕事は地味ですが、生きていく上で必要な健康保険や年金などの社会保険、働く上で必要な労働法を扱う「全ての人に寄り添う仕事」です。最近は「働き方改革」を推進すべく、市役所と連携して地域の会社をご支援したり、成年後見も担っています。

また、東京都社会保険労務士会の「社労士110番」(03-5289-8844)では月曜・水曜の10時〜16時に無料で電話相談を受け付けていますのでご利用ください。


石井 直美

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インフォメーション

☆おしゃべりカフェNo.4☆ 

 「ふたりパパ」  多様な家族のありかた

お話し:中村光雄さん
リカさんとスウェーデンの法律のもと結婚、ロンドンへ移住。16年サロガシー(代理母出産)により男児を授かったのを機に、現在は北スウェーデンに移住。
日時:2月26日(月)10時〜11時半
場所:市民プラザあくろすホール1
定員:50名(要申し込み)
会費:無料
主催:調布・生活者ネットワーク

 

いのちの岐路に立つ 〜核を抱きしめたニッポン国〜上映会

ヒロシマ・ナガサキ、ビキニ、フクシマ。核兵器・原発とともに歩んだ日本の戦後に向き合うドキュメンタリー。

監督・編集:原村政樹
日時:2018年4月8日(日)    14:00〜・18:00〜
開場 各回30分前
会場:文化会館たづくり8F映像シアター
鑑賞券:当日  1500円 前売り 1000円
前売り券は電話またはメールで、お名前、連絡先を調布ネットまでお知らせください。
主催:映画「いのちの岐路に立つ」調布上映実行委員会

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