113号 2016年7月25日


 第二回定例議会

一般質問  児童養護施設退所者への自立支援を
陳情への対応

 議会報告会開催

 教育で希望の持てる未来を

 人・まち・風 ――調布にオフグリッドハウスが!

参議院議員選挙を終えて


 

第二回定例議会一般質問

児童養護施設退所者への自立支援を

家庭による養育が困難な子ども達が暮らす児童養護施設は調布市内に3箇所あります。18歳で施設退所後自立を余儀なくされ、住居、学費、生活費等を一人で賄うのは困難です。

施設退所後の大学進学者はおよそ12%、全国平均は53%と大きな差があります。生まれた環境でこどもの将来が左右されないよう、切れ目のない支援が必要です。

住まいの確保

安定した生活のために、特に住宅の支援は重要です。世田谷区では今年4月から、シルバーピア(高齢者向け区営借り上げ住宅)の生活協力員室の空室をシェアハウスとして家賃一万円で借りることが出来るようになりました。市営住宅や民間賃貸物件を借り上げ、共同生活をすることで家賃が抑えられ、多くの退所者が感じる孤独感の解消にもつながります。

答弁は、退所者を特に住宅確保が必要な人として、調布市居住支援協議会で民間賃貸住宅への円滑な入居ができるよう、検討を進めるということでした。

給付型奨学金の創設を

調布学園では、今後自立する上でどれだけの資金が必要かシミュレーションシートを作り、退所後の生活を具体的に考えさせています。若いうちからかかる費用を意識して生活することは、彼らに限らず若者に必要な知恵です。

特に、日本の奨学金の場合ほとんどが貸与型のため、大学卒業と同時に多額の借金を背負うことになり、結婚や子どもを持つことを諦めてしまうなど、若者の将来不安が大きな社会問題となっています。国でも議論されていますが、先は見えません。

施設退所者は家族に頼れる状況はほとんどなく、課題は大きくなります。世田谷区「せたがや若者フェアスタート事業」では、基金による月3万円の給付型奨学金のほか、住宅支援、居場所・地域交流支援が開始されました。学ぶことで未来への選択肢が増え、貧困の連鎖を食い止めることになります。退所者への給付型奨学金の創設を求めました。

相談しやすい環境整備を

東京都福祉保健局による退所者へのアンケートでは、退所直後にまず困ったことの第1位は「孤独感・孤立感」。退所後生活が激変する中で、自分を知っている職員に相談できることは大変心強いことです。

都は、平成24年から自立支援コーディネーターを配置しましたが、施設職員と兼任のため多忙をきわめています。施設のこども達のケアのかたわら、進学・就労といった退所者の相談に乗るなど、手一杯という状況となっています。

退所後の若者達にとって、安心できる生活へと結びつけるために相談しやすい環境整備を求めました。

答弁は、退所者に対する支援は本来国や東京都が講ずるべきであり、可能な支援について都、国に要望を上げていくということでした。

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「議員提出議案について質疑・討論を求める陳情」ネットは採択要求

議員提出議案(意見書)は、質疑・討論をせず賛否の表明だけというのが調布市議会の通例になっています。「賛否の理由が不明。異論のあるものは問題点を明らかにし採決すべき」との陳情が市民から出されました。

この陳情の背景には第一回定例会で、同じく「保育所の待機児解消への施策を求める」という意見書の一つが採択され、もう一方は否決されたことにあります。なぜ?という疑問が陳情の根底にあります。

市民に分かりやすく、ひらかれた議会運営を目指し、市民への説明責任を果たそうとするなら賛否の理由をきちんと述べるのは当然です。ネットはこの陳情の採択を求める討論を行いましたが、これに対する反対討論もなく多数決で否決されました。この状況自体、議会改革が目指している方向とは逆だと考えます。


議会報告会開催

5月14日(土)、たづくり12階大会議場で行われました。
開かれた議会を目指し、今回は常任委員会の報告の後、委員会ごとのグループに分けて公聴の時間としました。委員会の他に、「市政全般」というテーブルを設け、そこでは安保法制についての意見が複数出されました。子どもと一緒に参加される方もおり、議員と市民がより近くで話す形が「新鮮な」報告会となりました。

私は実行委員として、他の自治体の生活者ネット議員と情報交換しながら、議会報告会の運営を工夫していきたいと思っています。ご意見がありましたら、お寄せ下さい!
次回は11月19日(土)14時 たづくり12階大会議場です。

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教育で希望の持てる未来を

貧困の連鎖を切る教育支援を 

日本には、格差の拡大とともに6人に1人の子どもが相対的貧困状態にあるという現実があります。

国民総生産に占める教育予算が先進国の中で最も少ない日本では、教育費は家庭が負担するものという意識が根強く、特に塾の費用は家計を圧迫しています。家庭の教育力頼みの公教育のあり方にも問題があると言えます。 

その弊害は、生活困窮世帯の子どもたちに一番に現れます。教室の中でわからないまま置いていかれ、自信を無くして学びから離れてしまう子どもたちもいます。

貧困は、単にお金がないということだけではなく、学力格差や不登校、就労の困難さや、人やコミュニティとの関係性や自己肯定感・意欲の喪失など、子どもの成長全般に大きな影響を及ぼしています。

親の収入が子どもの教育格差になって未来の選択をせばめることのないよう、総合的な対策、特に教育支援が必要です。

わかる喜びと学ぶ意欲を育てられる機会を設け、高校進学への希望が持てるよう、子どもだけでなく保護者の意識を変えていくような支援が必要です。

市内で広がる学習支援

調布市では、昨年11月から調布市総合福祉センター内に、調布市子ども・若者総合支援事業「ここあ」が開設されています。家庭の事情によって進学や就職をあきらめることのないよう、子ども・若者に対して学習支援や居場所を提供し、保護者も含めて進学や自立に向けた相談を行っています。

学習支援は、児童扶養手当や就学援助等を受給している家庭の中学生等を対象に、有償の大学生ボランティアが、高校進学に向けたマンツーマンの指導を週3回行なっています。わかるまで自分だけのために教えてくれる人がいること、大切にされているという実感は、自己肯定感と希望につながります。

今年4月に希望の高校への進学を果たした生徒が「絶対ここに来た方がいいよ」と後輩に紹介するケースもあり、開始から今年5月までの利用者は延べ274人、現在の利用登録者は約40人と周知が進んできています。約50人の学生ボランティアが登録し、シフト制で担当しています。

また富士見町で、生きづらさを抱えた中高生や若者に居場所を提供しているNPOキートスでも、元教員らによる1対1の学習支援が行われています。ほかにも、市民による学習支援が行われており、子どもたちを支えようという思いが広がってきています。

求められる学校の役割

今の日本で最低限度の読み書きや計算など基礎的な学力がついていないために、アルバイトもできない若者もいるという信じられない現実があります。必要なのは、どの子も義務教育で社会で生きていく最低限の学力を身につけることです。そのためには地域のボランティアの力も借りて、放課後の学校で学習支援を行うのが有効です。

また、「ここあ」には不登校の中学生も通ってきていますが、調布市では100人の中学生が不登校です。実際の利用者数から考えると、必要とする親子が相談や学習支援につながっていないことが考えられます。学校と連携し情報を共有することで、よりその子どもにあった支援や声かけができるのではないでしょうか。

足立区の子どもの貧困対策実施計画では、プロジェクトの3本柱のひとつに教育・学びを据え、学校を「プラットホーム」とし、教育による学力保障や、関係機関との連携などの学びの環境整備や居場所作りなど、総合的に取り組むとしています。

調布市でも、学校外でも学習支援を進めるとともに、学校のあり方を考えていくことが必要です。

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人・まち・風  

調布にオフグリッドハウスが!

「オフグリッドハウス」をご存知ですか? グリッド(Grid)は「送電網」のこと、オフグリッドハウスは「送電線が電力会社とつながっていない家」という意味になります。電力の売買はせず、自前で発電をしてそれを使う、電力自立の家です。多くは太陽光で発電し、蓄電池にためて使います。

 

外観

送電網から送られる大量の電気を存分に使うのではなく、自分で発電した電気を大事に使うという生き方を選ぶことでもあります。
また、多くのオフグリッドハウスは、断熱気密性能を高め、太陽光や通風などを活用する「パッシブソーラー」という考えで、環境に配慮して気持ちよく暮らせるようにつくられています。そのため高い意識を持った設計や建築の専門家の協力が必要です。

 

蓄電池


調布市内でも、オフグリッドを採用した「えねこや」プロジェクトが始動しました。みんなで壁に珪藻土を塗るなどのお楽しみ企画もあり、多くの人を巻き込んで進行中です。
ご興味がありましたら「一般社団法人 えねこや」のHPを近日アップする予定です、ぜひ御覧下さい。

室内

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参議院議員選挙を終えて

生活者ネットワークは、国民主権の政治を実現するため、大河原まさこさんを比例単独推薦し、全力で選挙に臨みました。
東京選挙区で推薦した小川敏夫さんは当選できたものの、比例に挑戦した大河原まさこさんは当選に及びませんでした。
皆さんに応援をいただきながら結果を出すことができず残念です。
今後は共に選挙活動を行ったママの会や脱原発グループと一緒に、憲法問題や格差是正などについて共に学び地域から発信していきたいと思います。

友人と投票を呼びかけるスタンディング

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