105号 2014年7月25日


 子どもの育ちを社会で支えるしくみに
 子ども・子育て支援新制度で調布の子育てはどう変わる?


 ひと・まち・風 食用廃油で車が走る!?

 第2回定例議会報告 

一般質問 
高齢になっても自宅や地域で暮らせる
ケアシステムの構築を

総務委員会報告

 インフォメーション

 いつまでも このまちで暮らせるの?
わがまちを調査して考えてみませんか


子どもの育ちを社会で支えるしくみに
子ども・子育て支援新制度で調布の子育てはどう変わる?


「働きたいのに子どもを預けられない!自治体は何をしているの?」都内各地で切実な抗議の声が上がっています。調布市でも、待機児童解消とともに、来年度からの新制度へ向けて体制整備が進んでいます。保護者のニーズに対応しつつ、何よりも子どもの健やかな育ちを保障する保育が求められます。


調布の待機児童数は多摩で最多

調布市は昨年度、認可保育園を5園新設し、定員を421人拡大しました。しかし今年度4月現在、認可保育園に入れなかった児童が575人、どの保育施設にも入れなかった児童は288人と、待機児童が多摩地区では最も多くなりました。

市は認可保育園2園の開設を今年度当初予算に計上していました。この厳しい現状を受け、さらに認可保育園3園と認証保育所1園の認可への移行により、509人の定員を拡大しますが、さらなる需要が予想されます。

また、市内15園ある幼稚園でも延長保育が行われており、それを利用して働く母親もいることから幼稚園も定員いっぱいの状況です。

国が謳う女性の就労による経済の活性化も、その最低の条件整備にもまだほど遠い現状といえます。

新制度で何が変わる?

来年度から導入される新制度で、これらの課題を解決できるのでしょうか。
新制度では、今までと異なり、幼児教育・保育を受ける場合は市に申請し、保育の必要性の認定を受けることになります。その認定内容に合わせて、幼稚園、保育園、認定こども園、小規模保育園、家庭的保育などの中から市が利用調整をし、それぞれニーズに合った施設を利用します。これまでは、「保育に欠けること(保育する人がいない)」が保育の申請要件でしたが、新制度ではパートや休職中、求職活動中でも、希望する保護者はすべて対象になります。

さらに、「子育てひろば」や一時預かりなど、家庭での子育てを中心にしている保護者への支援や、学童クラブの6年生までの受け入れなど、地域の実情に合わせた多様な支援も拡充します。

多様な保育で受け皿を

調布市の待機児の約8割は0歳児から1歳児です。その受け皿が求められ、8月には飛田給にスマート保育施設(*)が開設されます。現在も家庭福祉員(保育ママ)など、この年令に対応した多様な保育が行われています。

その中の一つ、昨年4月に開設した「ちいはぐ・仙川」は、生後57日から2歳児を対象としたグループ型保育施設で、市が設置し運営事業者に委託しています。保育士資格等を持つ保育ママ3人と補助者3人が、15人の子どもを年齢別に3つのクラスに分けて家庭的保育を行っています。緑ヶ丘保育園の行事に参加したり、巡回保育アドバイザーによる保育相談やアドバイスを受けるなどの連携が図られています。また、調理員を配置して給食を行い、新生児一人ひとりに睡眠時に呼吸をしないとアラームが鳴る器具をつけるなど、開かれた安心できる保育が行われています。

▲「ちいはぐ・仙川」の0歳児の保育室

新制度では小規模保育や家庭的保育、事業所内保育などを地域型保育事業と位置づけ、市町村が認可します。受け入れ施設を拡充すると同時に、自治体が保育の質をしっかりとチェックする責任があります。

*今年度から東京都が独自に始めた定員6〜19人の小規模保育事業。

子どもの育ちを第一に

新制度では11時間保育が標準となるなど、女性の就労支援に重点が置かれています。しかし、保護者のニーズだけでなく、子どもにとっての最善の保育という視点に立ち、子どもと保護者が一緒に過ごせる時間が持てるワーク・ライフ・バランスを促進するための施策など、幅広い子育て支援の展開こそが望まれます。

保育現場では、子育てに困難を抱えている家庭の増加が実感されています。子どもは社会で育て、どんな家庭に生まれても子どもが健やかに育つことが保障されなければなりません。

また、慢性的な保育士不足を解消するためにも、給料を上げるなど、処遇改善も必要です。新制度では、自治体が決める部分が大きくなります。認可保育園でもその他の保育施設でも同等の保育の質を保障する自治体の姿勢が問われています。

現在、市の「子ども・子育て会議」では、前述のニーズ調査を基に、事業計画の検討が進められています。今後、保育と学童クラブに関する基準を定めた条例策定、事業計画策定へと進むことになりますが、子どもにとっての視点から、保育の質がどう確保されるか注目していきます。今年1月、柴崎のアパートの屋上に突如、携帯電話の基地局が建設されました。何も知らなかった隣のマンションの住民は驚き、学習会を企画し、市議会議員に相談し、市長にも実情を訴えました。

電磁波に関する健康被害は、海外では警鐘が鳴らされているものの、日本では証拠がないとしてほとんど何の対策もなされていません。予想される危険がある時には、特に子どもたちの安全を第一に、危険を避ける対策が必要だと考えます。

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人・まち・風 食用廃油で車が走る!?

 環境NPOエコメッセ「調布店 てらのサウルス」は環境活動の一環として、会費を支払って食用廃油の回収拠点になっています。おおむね3年間で、市民の方たちから約300リットルの食用廃油を回収することができました。

家庭で利用された油の多くは、ほとんどそのまま廃棄されています。高い凝固剤を使って捨てたり、紙に吸い取って捨てたり…排水溝にそのまま流してしまうなんてことをすれば、川や海を汚染してしまいますね。しかし、使い終わった天ぷら油も適切な処理をすれば、立派な資源に生まれ変わり、ゴミにならないことでCO2の削減にも貢献します。 
  
てらのサウルスで回収した廃油は「TOKYO油田2017」という団体が回収し、(株)BDFという会社の工場で軽油代替燃料に加工されます。廃油せっけんに生まれ変わる廃油もあります。

 「TOKYO油田2017」全体では、6月1ヶ月間の回収量は55トン、143トンのCO2削減に貢献したことになるそうです。使わない日用品や着ない服などのリユースを進めるエコメッセの考え方と同じ廃油のリサイクルに、皆さんもどうぞご協力ください。

お問い合わせ てらのサウルス TEL042-487-3093

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第2回定例議会報告 

一般質問  
高齢になっても自宅や地域で暮らせるケアシステムの構築を

第2回定例議会でドゥマンジュ恭子は高齢者福祉、学校教育、子宮頸がんワクチンの3点について質問しました。

市議会議員・代理人 ドゥマンジュ恭子

地域包括ケアシステムをどう進める?

高齢化が進み、調布市でも65歳以上の高齢者率は、平成25年には22.8%、高齢者のうち75歳以上が6割を占めると推計されています。
厚生労働省は平成25年度を目処に、高齢になっても自宅や地域で暮らせるように、「医療・介護・介護予防・生活支援・住まい」の五つのサービスを一体的に受けられる「地域包括ケアシステム」の構築を各自治体に求めています。

さらに、法改正により介護保険制度が大きく変えられ、比較的自立度の高い要支援者に対する訪問介護や通所介護が、市町村による地域支援事業へ移行することとなります。
自治体によって取り組み状況の差異があることや、住民ボランティアが地域での受け皿になれるのかなど様々な課題があり、現場や利用者にも大きな混乱が生じることが懸念されます。そこで、来年度からの次期高齢者総合計画について質問しました。

答弁では公的サービスに加え地域で高齢者を支える必要性について議論を深め多様な地域資源の活用に重点的に取り組む。その検討に先立ち高齢者の実態や要支援高齢者の調査を実施するとのことでした。 
市民からは、「どこに相談をしていいかわからない」「かかりつけ医がもっと認知症の専門知識を持ち、早期発見で適切な医療機関につなげて」などの声が上がっています。
調布市では杏林大学医学部付属病院が中核になり、今年度は「認知症ケアパス」を作成し、医療と介護、かかりつけ医と専門医療機関との連携体制の整備を図るとしています。
そのほか、家族介護者や当事者が気軽に行ける「認知症カフェ」を市内各地に開設すること、老後や自らの最期を自分で考え、伝えるためのエンディングノートの普及啓発などを求めました。

人権の視点に立った学校教育を

文部科学省は、小6、中3を対象とした学力テストの学校ごとの結果公表を、自治体の判断に任せるとしました。学力テストで測れるのは学力の一部に過ぎず、保護者からも公表には不安の声があがっています。

調布市では中学校の学校選択制を導入していることを考えても公表はしないこと、そして年3回行われている回数の削減も求めました。

市の答弁は、児童生徒の偏見や差別につながらないように配慮し、慎重に検討するということでした。

生徒自身が主体的に学校の中に仕組みを作り出す「いじめ防止プログラム」やシチズンシップ教育に取り組むよう求めました。

問題の多い子宮頸がんワクチンについても現状では積極勧奨はありえないと指摘しました。

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総務委員会報告

委員会、本会議ともに全会派一致で可決。

◆ 一般会計補正予算
当初予算の認可保育園2園に加え、新たに認可3園と認証保育所が認可に移行するため、合わせて509人定員が増えます。財源は都からの補助金4億4,060万5千円と、財政調整基金からの繰入金2,084万5千円。0〜2歳児枠が150人以上増えるため、都の補助率が1/2から3/4に引き上げられました。

3月議会で修正予算となった調布駅周辺の自転車等駐車場について、整備方針を定めるのに必要な調査・検討の委託料570万円を財政調整基金を取り崩して充当します。費用対効果や将来にわたっての使いやすさなど市民の意見を入れて十分に検討するべきです。

◆ 公共施設の建設促進に関する陳情
この陳情は、深大寺東部地区に、市営住宅の建て替え等を含め、市役所出張所と公民館的機能を持った公共施設の建設促進を要望するものです。

生活者ネットワークは、市営住宅の建て替えについては総務委員会所管以外での議論が必要なことと、北部公民館が近くにあり、この地域に公共施設を設置する必要性と妥当性を委員会として調査するべきと継続を求めましたが、否決されました。そこで、公共施設の再配置や機能の見直しは将来的な財政と合わせて考えるべきであり、北部地域や市全体で市民とともに考えるべきと指摘して、趣旨採択としました。

一方、同じ陳情者から出された、関連性のある「深大寺市営住宅周辺の用途地域見直しを求める陳情」が建設委員会で継続となりました。陳情に対する態度を一貫すべきと判断し、本会議場では退席しました。

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インフォメーション

★ 映画「祭の馬」上映会
津波と原発事故を生きのびたある馬の数奇な運命を描いた映画です。
日時:8月29日(金)・30日(土)   10時30分〜・14時〜・18時〜
場所:文化会館たづくり 8F 映像シアター
入場整理券:800円、パンフレット付1200円 字幕つき・30日14時〜は音声ガイドもあり
主催:原発事故と私たちの暮らし

★ 講演 「穏やかな最期を迎えるために」 
医療の発達によって、命の終わりが分かりにくくなってしまい、介護する家族に新たな悩みが生まれています。「穏やかな最期を迎える」とはどういうことなのか考えてみませんか。
日時:2014年10月4日(土)13:30〜15:30
場所:あくろすホール (国領駅北口) 
講師:石飛 幸三 氏
 世田谷区立特別養護老人ホーム「芦花ホーム」常勤医
参加費:300円  
定員:80名(先着順、定員になり次第締め切ります)
申込:八木080-4176-0715 白鳥090-3087-8808
主催:調布介護者の会クローバー
後援:調布市・調布市社会福祉協議会


いつまでもこのまちで暮せるの?
〜わがまちを調査して考えてみませんか〜


家から徒歩30分圏内で、日常生活が支障なく過ごせる、高齢になっても、日用品や食材の買い物ができ、かかりつけの医院もあり、デイサービスなどの施設も、みんなで集まれる居場所もあって近所とのつきあいもできる・・・これが、国がイメージする地域包括ケアシステムです。あなたが住む地域でこのような生活が実現できますか。

6月27日、4人ずつのグループで染地の住宅街を調査しました。30年以上前から家が建ち始めた住宅地で、1軒1軒確かめてみるとあちこちに空家も見られます。現地の住民の方から街灯が暗いという声も聞きました。このまちでいつまでも暮らしていくには、多くの課題があると感じました。

このような視点で、自分の住むまちの様子を調査します。まずは、染地2丁目をくまなく歩いてみます。他の地域にお住いの方も、お試しでご参加ください。
次はあなたのまちで。調査のノウハウを学びながらまちの将来像を作り上げてみませんか。


▲ 塀の崩れは「空家」のサインのひとつ


日時 10月7日(火) 
10時集合 場所は未定です。 
問い合わせ先 
調布・生活者ネットワーク 042-487‐3087