100号 2013年4月25日
歩いて調べて・・・それがネット 通信100号 調布ネットのこれまでとこれから
3月議会報告
代表質問 参加と協働をすすめ
災害に強く地域福祉の充実したまちに
野川の水生生物調査を実施
「原発事故と私たちの暮らし」連続講座報告
歩いて調べて・・・それがネット
通信100号 調布ネットのこれまでとこれから
生活者ネットワーク通信は今号で通算100号を数えます。1991年議会報告「湧YOU」創刊以来23年、タイトルも変遷。また手書きからワープロへ、さらにパソコン編集へと紙面も変わってきました。この間、調布市議会に4人の議員を送り出し、ネット運動の基本である「市民が政治に参加する」活動を続けてきました。これまでの紙面をたどり、活動を振り返るとともに今後の課題を考えます。
生活者の声を議会に届ける
安全な食べ物を子どもたちに……今では当たり前の提案が「おんな子どもの言うこと」と議会で一笑に付された時代。1986年のチェルノブイリ原発事故や、農薬のポストハーベスト問題に端を発して生活者が政治に参加しようという機運が高まりました。ネット運動の創生期です。
1971年、東京都は多摩地域の水道を1990年までに都水道に一元化し、水道水源地下水を河川水に切り換える計画を打ち出し、調布市には1987年に提示されました。
それに対して、市民が「調布の地下水を守る会」をつくり、7千筆の署名をつけて「安全でおいしい調布の地下水を守るための陳情」を市議会に提出し、趣旨採択されました。
ネットの会員が参加したこの運動を通して、生活の場からのものの見方、自ら調査したデータを持って発言していくことの大切さを実感。これを調布・生活者ネットワークの活動スタイルの原点として、1991年の調布市議会議員選挙で初めて議員を送り出しました。
調査・分析から政策提案へ
1992年には、地下水涵養をはかる設備、雨水浸透マスをネット会員宅に自分たちで実際に設置した上で、議会で提案しました。現在では雨水浸透マスの設置は市に申請すれば無料となるなど積極的な導入が図られています。
2000年には水道一元化が実施され、地下水を水道水源に位置づけることは叶いませんでしたが、地下水を最大限利用するとの覚書を東京都と調布市が交わすという異例の措置が取られたのも、80年代の市民の活動の成果です。また、調布ネットの提案から災害時の対策として、避難所である小中学校全校に防災井戸が設置されました。
まちのバリアチェック
自分たちの住むまちは、子ども連れや高齢者・障がい者が暮らしやすくなっているか、実際に街を歩いて確かめようと、1992年には仙川商店街を中心に、車椅子やベビーカーを押して、歩道の幅や段差、銀行や商店、駅などの使い勝手をチェックしながら歩いてみました。
「結果は思っていた以上に障がいを持っている人には不便なまちであることがわかった」と書いています。そうした調査をもとに、バリアフリーのまちづくりを提案し、計画段階からの当事者参加を提案し続けていますが、いまだ当事者が参加しないまま道路や施設がつくられ、出来上がった後で手直し工事をしているのは残念なことです。
農地調査
1996年には、市内にある畑の調査を行っています。都市の農地は新鮮な野菜の供給のほかに、地下水の保全、災害の拡大防止や避難スペースなど、緑地空間として、環境・防災面からも重要な財産ですが、後継者不足や相続時に土地を手放さざるを得ないなど、年々農業を続けることが困難な状況にあります。
そのことに危機感を感じ、どこにどんな畑があるか、どういう野菜が作られているのか、実際に歩いて調べました。
その結果をまとめ、学校給食への地場野菜の導入や都市農業の保全を提案しました。その後「元気村」などの体験型市民農園が誕生しています。
あれから18年、市内の農地は減少傾向をたどっていますが、農地の重要性はむしろ高まっています。いま、佐須の田んぼ保全の動きがありますが、ぜひとも未来に残せるよう働きかけていきます。
さらに政治を身近に!
ここに紹介した事例はわずか3件ですが、百号に及ぶ議会報告を検証すると、この23年の間に様々な提案をし、実現できたこと・できなかったこと、前進したこと・しなかったことがわかります。
市民の意識も変化してきました。特に3・11原発事故以後、自ら声を上げることで社会を変えていこうとする市民が増えて来たことを実感しています。これからも通信やホームページを通してネットの政策や活動をわかりやすく伝え、私たちの生活を左右する政治を身近なものにしていきたいと考えます。
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第1回定例議会報告 代表質問
市議会議員・代理人 ドゥマンジュ恭子
参加と協働をすすめ災害に強く地域福祉の充実したまちに
市長の平成25年度基本的施策について質問しました。
防災に関して
震災後、トイレは切実な問題になります。飛行場横の都立武蔵野の森公園には187ヶ所のマンホールトイレがありますが、その上に置くテントは必要数が備蓄されているのか質問しました。また、避難所の学校の「だれでもトイレ」について実際に車いすを使う方によって、使い勝手の検証をするよう求めました。答弁では、武蔵野の森公園ではテントは確保されており、「だれでもトイレ」は避難訓練の時に検証し、必要に応じ改善するということです。
子ども・教育施策
大津市のいじめ自殺に関する第三者調査委員会の提言が1月に公表されました。提言では教員が一人で悩むことなく、みんなで考え解決する職場作りや、日ごろから教員間での意思の疎通や情報共有を図ること、教員の多忙さの改善などが指摘されています。いじめ問題に対しては、学校や教育委員会が抱えるこのような課題の改善が急務ですが、この提言に対して市長の認識を問いました。
若者への就労支援
引きこもりやニート状態の若者に対して、社会的自立をめざした支援を行う、「地域若者サポートステーション」が開設されます。就労に困難を抱える若者の総合相談窓口として、一人ひとりに応じたメニューを作成し、医療や心理、教育、社会適応など多様な支援につなげます。その機能を実効性あるものにするため、行政の教育、福祉、保健、雇用などの各所管や、他の公的機関、地域のNPOなどとの密接なネットワークの構築を求めました。
コミュニティ施策
これからは、住民同士の顔の見える関係性を作り出し、助け合い安心感のある暮らしを作っていくことが重要になってきます。そこで、地域の中の居場所としてだれでも気軽に出入りして交流できるコミュニティ・ビジネスが各地で立ち上がってきています。しかし、こうした活動では場所の確保が大きな課題となっていることから、市が仲介や補助をして空き店舗・空き家の活用を図り活動の場を提供することを求めました。
再生可能エネルギーの推進
環境省の「地域主導型再生可能エネルギー事業化検討委託事業」の対象となった、「調布
未来(あす)のエネルギー協議会」が設立され、公共施設の屋根に太陽光パネルを設置するなど、事業化に向けて検討が進められています。市も協働の視点で、積極的に再生可能エネルギーの導入を促進していくことを求め、見解を問いました。
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2012年度補正予算に反対
この補正予算には、4月から本格稼動した新ごみ処理場の建設費に充てる目的で、災害復興特別交付税10億円余が含まれています。しかし、今後の予測では東日本大震災の瓦礫の受け入れはありません。
いまだに住宅再建のめども立たず、仮設住宅での生活を余儀なくされている人も多数いる現状で、この復興税を受けて予算化することは、被災地支援に率先して使うべき復興税本来の目的から外れていると反対しました。
2013年度一般会計予算に賛成
一般会計予算総額は771億1千万円余と前年度比、約9億8千万円の増加です。しかし、基金総額は2011年度残高から31億5千万円も減額。これは、一般家庭で言えば、貯金(基金)を取り崩してなんとか乗り切っている状態で、身の丈にあった自律的な財政運営と政策選択への舵取りが必要です。
防災施策として、緊急時の飲料水確保のためのたづくりでの地下水ろ過システムの導入や、保育園整備は評価すべき点です。また、就労に困難を抱える若者へジョブトレーニングなど多様な方法で自立を支援する「地域若者サポートステーション」の開設にも期待します。実効性を高めるために、庁内関係部署・地域NPOなどとの連携体制を求めました。
厚生労働省の生活保護費削減案は、就学援助など子ども・教育関連の制度にも関係します。次世代育成支援として、生活保護世帯の小4から中3の希望者に塾費用の支給が開始されます。この周知を図り、家庭の経済状況が子どもの育ちや進路に影響することを食い止めるよう要望しました。
文教委員会報告
昨年12月に起きた給食アレルギー死亡事故について、9月に同校で同様の事故が起きていたにもかかわらず、情報共有が図られず、その教訓が充分に活かされていなかったことが審査の中で明らかになりました。
複数の目でのチェック体制や現場でのヒヤリ・ハットの情報共有で、再発を防ぐことを求めました。現在、6月を目途に事故防止対策をまとめ上げるべく検討が進められており、今後も注視していきます。
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野川の水生生物調査を実施
調査場所は、佐須町の細田橋の下、国分寺崖線(深大寺、緑ヶ丘などを結ぶ崖・段丘)の湧水が流れる佐須用水が流れ込む地点です。
ブユの幼虫、カワゲラ、シロタニガワカゲロウなどきれいな水の中でしか生きられない多数の生き物を採集しました。ヒルやミズムシなど汚い水の指標となっている生物もいますが、数は前者の方が圧倒的に多かった…大きなドジョウも。
東京都が作成した水の判定表では、この地点の水は「きれい」という評価です。通りかかった親子連れに水生生物を見せて説明してあげることもできました。
「原発事故と私たちの暮らし」連続講座報告
2012年9月からの連続講座「原発事故と私たちの暮らし」では、月に1回話し合いや意見発表を通じて考えを深めることを続けてきました。半年の活動を経て、今後の進め方を話し合う段階に来ています。
調布・生活者ネットワークは、市民が自ら発言する場所と活動をこれからも支援していきます。
◆講座参加者の感想から
仙台で東日本大震災に遭い、その後東京に引っ越してきてから、衣食住とはどういうことなのかと家族と本当によく話し合い、自分たちに出来ることは何なのか、その時ごとに納得出来るものを選びながら過ごした一年でした。
原発事故後であっても、放射能汚染のことを軽はずみに口に出せないような暮らしの中で、みんなはどんなことを考え暮らしているのか。そういう話を聞きたいし、話したいと思っていた時に「原発事故と私たちの暮らし」という講座を知り、参加しました。
参加してみて、自分と同じように感じながら暮らしている人がたくさんいることを知り、震災や原発のこと、エネルギー問題やこれからの日本についても話すことが出来る場があるのだとほっとしました。それまでの自分の考えがより広がっていく楽しさも知ることが出来ました。
これからも話し合うことで意見や気持ちを共有し、エネルギーの勉強や次世代に何を残していけるのかをみんなで考え「話せる場所作り」をしていけたらいいなと思っています。 (Y・M)
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