禅林寺 (ぜんりんじ)



 東京三鷹は、武蔵野の面影残る雑木林に玉川上水が流れる緑濃い地域。井の頭公園や東京天文台、キウイ農家や牛小屋もある風薫るカントリーサイトな空間が残されています。そんな田舎臭い風情がホットさせてくれるのか、地方出身の文人達が住み着いた所でもありました。その青森代表の太宰治が晩年をここで過ごし、ここで死に、ここに葬られました。市中心部の禅林寺にお墓があります。

 

 太宰治の命日6月19日の桜桃忌には、数多くの参拝者でごった返しますが数日たつと人影もまばら。桜桃にちなんで墓前はサクランボで彩られ、季節の花々で飾られます。太宰はこの寺の近く下連雀2丁目に住居を構えていて、この禅林寺にはよく散歩で訪れた模様です。それは尊敬する文豪森鴎外(林太郎)のお墓があった為だそうで、その太宰の墓の斜向かいに鴎外のお墓があります。元々は墨田区向島の弘福寺にありましたが、関東大震災で寺が全焼して同じ宗派の禅林寺に移されました。毎年7月9日に鴎外忌が開催されています。

 

 太宰が愛人山崎富栄と共に玉川上水に入水自殺したのは6月13日夜の11時半、三鷹駅から井の頭公園よりに数100メートル下流の地点。今でも薄暗い水際は吸い込まれそうな気配が漂います。道路を挟んで反対側の歩道に、太宰生地の青森県金木町産の玉鹿石が、モニュメントとして配されています。

 

  遺体が浮かび上がったのは6月19日早朝、この入水地点から1km下流の新橋付近。井の頭公園の一番外れに当たる所で、近くは小鳥の森や修道院が構えるひっそりとした静かな場所です。ヘビもうじゃうじゃいます。ここに漂着した遺体が発見された6月19日が命日とされて桜桃忌になりました。

 



 「禅林寺」
   〒181-0013 東京都三鷹市下連雀4-18-20
   電話番号 0422-44-8365
   参拝時間 8:00〜日没