湯の川温泉 (ゆのかわおんせん)



 函館空港からバス・タクシーで5分という異例の近さの湯の川温泉は、函館駅前へも車で15分、市電で30分のアプローチの良さから、ツアー客が大挙して訪れる大型ホテルが林立する、情緒もへったくりもないありふれた温泉街です。松前藩主が医者も匙を投げた重病の我が子の為に、家来を馬車馬のようにこき使って探し当てたのがおよそ330年前の承応3年(1654年)、以後明治維新の箱館戦争では兵士の快癒に貢献したお湯としても知られています。
 そんなよくある観光温泉街ですが、こと地元の方々にとっては生活に根ざした空間として、街中に数多くある温泉銭湯が、もう一つの温泉街の顔を見せています。、情報コミュニティの役割を担当しているので、どの銭湯も朝から晩まで地元のおじちゃんおばちゃん達で盛況です。「日の出湯」では温度の違う二つの湯船が並んでいて、手前の湯舟には46℃、奥の湯船は42℃に設定されています。手前のお湯は熱いため誰も入らず、その熱気をサウナ代わりに湯船周りですっぽんぽん状態に横になり、虚脱状態のままで雑談に講じていました。お湯はさらりとした透明なもの、リュウマチに効果があるそうです。
 温泉街にはその他に「根崎湯」「大盛湯」「長生湯」などが点在しています。

 

 

 日の出湯と根崎湯の前には市営熱帯植物園があり、62℃もある温泉の源泉を利用して厳冬期の北海道にアフリカしています。巨大な温室の入口では3mのワニが「いらっしゃい」をしてくれます。温室内にはアイスクリームの木、パンの木、ソーセージの木などの不思議な植物が多数あり、フラミンゴやリスザルなどが飼育されています。
 温室前には何故かサル山とアライグマの檻があり、サル山の温泉ではおサルさん達が湯船につかり、目をつぶって瞑想に耽っています。

 

 

 温泉といえばギャンブル、というわけで近くにはJRA函館競馬場と函館競輪場があり、土日になると場外開催中の函館競馬場には数多くの馬券師が集い、黙々とレース読みに講じています。函館競馬場のレースは7月の1ヶ月しか開催されないので、一年の大半は場外売り場のみになります。冬の馬場はただの雪原になります。

 

 湯の川温泉は函館市電の終点です。ここから五稜郭へは15分、函館駅前へは30分、元町界隈へは40分で着きます。市電の車庫が温泉街近くにあり、トーマスみたくチンチン電車達が羽根を休めて英気を養っています。

 

 近くにはトラピスチヌ修道院があり、温泉街にはカトリックの教会もあります。競馬場・競輪場・修道院・教会・空港・熱帯植物園・サル山・市電が同居するちょっと不思議な温泉街です。眼前は津軽海峡、海越しに函館山の特徴のある山容が望めます。

 


「日の出湯」
   〒042-0932 北海道函館市湯川町3-3-30
   電話番号 0138-57-6997
   営業時間 6:00〜22:00
   休業日 月曜日
「函館市営熱帯植物園」
   〒042-0932 北海道函館市湯川町3-1-15
   電話番号 0138-57-5787
   開園時間 4月〜10月 AM9:30〜PM6:00 11月〜3月 AM9:30〜PM4:30
   休園日 12月29日〜1月1日