由岐神社 (ゆきじんじゃ) 重要文化財



 10月22日の夜、鞍馬の山里を赤く染める有名な火祭りは、鞍馬寺の山内にある由岐神社のお祭り。この鞍馬の火祭りは、御所内にあった由岐神社が940年(天慶3年)当地に遷宮されることになり、京都市中の御所から長さ1kmにも及ぶ大行列で神道具のお引越しを行った際に、鞍馬寺から松明軍団で迎えに来たのが起源だそうで、今でも22日の夜になると各集落から松明の集団が鞍馬街道を駆け巡り、門前で大集結して炎のバトルロイヤルするのが一番のメインイベント。京都三大奇祭の一つとも数えられる幻想的なお祭りです。その由岐神社は鞍馬寺の仁王門を潜って急峻な山道をしばらく進むと現れる山中の御社で、ケーブルカーに乗ってしまうとスルーしてしまうので修行のつもりで徒歩で登りましょう。修験場ですし。

 

 最初に現れる鳥居の奥に建つのが拝殿。この拝殿は割拝殿となっていて、中央に通路がありそこを参拝者が通れるようになっているのですが、傾斜地の為に石段となっており全国でも珍しい造り。また正面から見るとシンメトリカルではなく、左3間右2間と中心が横にずれているのも特徴の一つ。桃山期の1610年(慶長15年)に豊臣秀頼の寄進により再建された建物で、屋根が入母屋造りの檜皮葺に、大きさが桁行6間奥行2間の桃山期らしい大型の社殿です。国の重要文化財指定。

 

 その構造体も神社建築には珍しく舞台造りで、床下を太い束と貫を縦横に通した強固な架構で支えており、修験場の急峻な山中という特殊な立地条件ならではのもの。床上は壁の無い開放的な造りで、三方を高欄付きの縁側が走ります。まるで能舞台のような風景ですが、実際に火祭りの際にはここで舞も行われるようなので、あながち間違いではないのでしょう。割拝殿は門や廊を融合させた拝殿なのですが、ここではさらに舞台の役目も兼ね備えた、全国でも稀有な建物です。

  

 

 ここからさらに急な石段を登ると本殿に着きます。こちらは拝殿に比べるとこじんまりとした造り。脇に置かれた狛犬は国の重要文化財の指定も受けています。それとこの周囲は見事な杉の巨木があり、特に参道石段右横にある樹齢600年の大杉は樹高50mにも及ぶ大木で、京都市の天然記念物の指定も受けています。

 



 「由岐神社」
   〒601-1111 京都市左京区鞍馬本町1073
   電話番号 075-741-1670
   FAX番号 075-741-3220
   拝観時間 AM9:00〜PM4:30
   拝観休止日 年中無休