長谷寺 (ちょうこくじ)



 港区西麻布二丁目は少々異色のスポット。周りを小洒落たカフェやオーセンティックなフレンチやイタリアンが立ち並ぶアッパーミドルな領域なのに、何故かこの区画だけはステテコ姿のオヤジやムームー姿のオバちゃんがウロウロするコモンズタウンの様相。青山霊園と荒れ放題のためヘビ出没の青山霊園立山墓地に安アパートが林立する、東京で最もセンシティヴな青山・六本木に隣接する場所とは思えません。不思議とお寺も多く、この長谷寺もその一つ。

 

 ”はせでら”とは読まず”ちょうこくじ”と読みます。江戸でも古いお寺の一つで、開基は文明年間で約600年前。以前は赤坂の溜池にあったそうですが1584年(天正12年)にこの地へ移転したそうです。曹洞宗大本山永平寺の東京別院だけあって境内は広く、著名人のお墓が多いことでも知られています。明治の政治家井上馨に洋画家黒田清輝と岡鹿之助、千変万化の魔術力士出羽湊にソニー元会長盛田昭夫と多士済々のお歴々が葬られています。黒田清輝は養父の黒田清綱と共に、また盛田昭夫は黒御影石の重厚な墓石でした。

 

 それと芸能人のお墓が多いのも特色で、キーワードは”国民的”でしょうか。墓地入ってすぐ右手に喜劇王榎本健一の墓所があります。脇に小さく「エノケンここに眠る」と彫られたモニュメントがなければ素通りしてしまいそうな目立たないお墓です。
 それから墓地入って正面奥に坂本九の墓所があります。こちらは誰でもすぐ目に付く立派なお墓です。何故か球体のオブジェ付きです。

 

 

 国民的とは云えませんが国中の話題をさらった俳優沖雅也の墓所が墓地中央にあります。養父日景忠男氏の日景姓でここに葬られました。



 この墓地の裏手は根津美術館の庭園にあたるので、墓地の木立と相まって鬱蒼とした緑陰の濃い場所になっています。墓地中央には井戸もあります。見上げると六本木ヒルズタワーが聳えているので、ああここは東京のド真ん中なんだよなと再認識することが出来ます。

 



 「大本山永平寺別院長谷寺」
   〒106-0031 東京都港区西麻布2-11-34
   電話番号 03-3400-5232
   FAX番号 03-3406-4003