蓼科山 (たてしなやま)



 八ヶ岳連嶺の北端に位置する蓼科山は、何処から見ても御椀を伏せたような丸いまろやかな稜線を持ち、女性の曲線美を思わせるたおやかなラインを描いて蓼科高原の中に聳えています。実際にこの蓼科山から流れ出る水を堰き止めて女神湖が出来たので、この蓼科山は乳房でありその乳房からしずく出る母乳をたたえたのが女神湖とみなすことも出来ます。



 山頂目指す登山路は四方に手を広げていますが、どのコースも等高線を直角に登るルートの為、なかなかハードなアルバイトを要求されます。一番楽で一番多く歩かれているのが北方にある蓼科牧場からのコースで、ゴンドラリフトに乗って5分ほどで御泉水自然園の入り口に着きます。御泉水自然園は、高山植物や湿原・自然林が残る園遊地ですがそのまま自然園には入らずにすぐ横の登山道を入り、しばらくは落葉松と熊笹のゆるい道を登り続け、途中林道を2回横断して七合目にあたる一の鳥居に到着します。ここまで車で入山する登山客が多いですね。一の鳥居横には無料の貸しストックがあります。

 

 鳥居を潜ってからも落葉松と熊笹のゆるい道が続きますが、箕輪平からの道が合流するあたりから急坂に変わります。この周辺は林床の苔がとても美しく、北八ヶ岳らしいしっとりとした空気が漂う森。道はザンゲ坂と呼ばれる石屑混じりの滑り易い急登になり、やがて天狗の露地と呼ばれる展望地に至ります。このあたりもシラビソやコメツガに苔むした林床が美しい場所です。なおも急坂を登り、ダケカンバの混合樹林に変わると稜線の鞍部である将軍平に着きます。

 

 将軍平は蓼科山と前掛山の間に出来た鞍部で、天祥寺原からの道も合流する十字路になっています。眺望の開けたところで、平坦地の東側に蓼科山荘が建てられており、豚汁や生ビール、コケモモの紅茶も楽しむことが出来ます。

 

 さて山頂まではもう一ふんばり。ダケカンバの中の岩塊の道をひたすら登り高度を稼ぎます。振り返ると前掛山から大河原峠方面の展望が良く、途中一息入れながら登るのが良いでしょう。20分程で左に回りこみ、蓼科山頂ヒュッテが見えてきたら山頂はすぐそこです。

  

 

 山頂は大きな岩塊を敷き詰めただだっ広い場所。小学校の校庭ぐらいあります。眺望は一級で、足元に女神湖や白樺湖、遠くに北アルプス・中央アルプス・南アルプス等がパノラマのように広がり、八ヶ岳南部の山々も間近に見えます。山頂中央部にこじんまりと祠があり、ここが蓼科神社の奥宮となっています。

 

 



 「白樺高原御泉水自然園」
    〒384-2309 長野県北佐久郡立科町蓼科牧場
    電話番号 0267-55-6131
    開園時間 AM9:00〜PM4:30