水心苑 (すいしんえん)



 秋田は沼が多い。冬になるとずっーと雪が降りっぱなしで(年間日照時間全国最下位)、どこまでも平坦な水田が広がり(年間米生産量全国3位)、人っ気の無い原野が多く(面積全国2位)、特産がじゅんさいで(沼で採集。県内三種町は生産量全国一)、大失敗の八郎潟もある、やけに湿っぽい土地。でもあまり淀んだ感じは無くて、山紫水明といった言葉が当てはまるほど澄み切った清冽な水が湛えられた、水清らかな土地。おんなじように沼の多い千葉のドス黒さに比べると別天地です。特に秋田市北部の小泉地区にはオオハクチョウの飛来地である男潟と、貴重な湿原植物群落の宝庫である女潟があり、ブルーノ・タウトがその絵画的な景色を賞賛した風光明媚な土地。そんな絵になる風景をゼネコンまみれの官公庁が放って置く筈が無く、税金投入して一帯を大規模な園地化して、「秋田県立小泉潟公園」として開放している次第です。県立の博物館もあるのですが、女潟の東の山裾を切り開いて「水心苑」という名の日本庭園も造成されました。

 

 開園は1979年(昭和54年)で、県内では最初の林泉廻遊式日本庭園とのこと。作庭は大阪万博の日本庭園も手がけた田治六郎で、この庭が遺作になった模様。庭園の名は、石川理紀之助翁の「足引の山田に落ちて行く水の心易くも身はなりにけり」の歌から命名されたそうです。谷合に造られた苑内は一番奥に渓流を造り、その後上流から上の池に注ぎ込み、さらに下流へ流れ下の池に至るという非常にわかり易すぎる構成。入り口からは異常に奥深い庭園で、グルッと一回りするだけで30分は軽くかかります。一番奥の苔むした森を伝う細い水の流れは、蛇行する上の流れを経て上の池へ注ぎ込みはずなのですが、紅葉の時期は枯れています。

  

 

 上の池には滝見亭と名付けられた東屋が池ノ上に造られ、その対面に直接上の池に注ぎこむ前滝が見られます。
 上の池から出た流水は二方向に進み、赤松疎林の中をゆったりと流れるものと、水芭蕉園に向かい渓流となるものとに別れ、再び下の流れで合流し下の池に注ぎ込みます。

 

 

 下の池は正門入るとまず最初に眼前に広がる光景で、非常に広々とした空間。築山・州浜・雪見灯篭・十三重塔とバラエティに富んだ構成で、築山では家族連れがお弁当を囲んでいたりします。

 

 



 「水心苑」
   〒010-0124 秋田県秋田市金足鳰崎字後谷地21
   電話番号 018-873-5272
   開園時間 4月〜10月 AM9:30〜PM5:00
          11月 AM9:30〜PM4:00
   休園日 月曜日