染井墓地 (そめいぼち)



 関東のお婆ちゃん達にとって特別な場所巣鴨、その老婆巡礼の地「とげぬき地蔵」のすぐ裏手に桜の名所「染井墓地」があります。明治初期の1872年(明治5年)に創設され、当初は神葬墓地だったものが共葬墓地に変わり今に至っています。

 

 その昔このあたりには植木屋が多く軒を連ねていて、近辺に六義園や小石川後楽園があるおかげで植木仕事が盛んに行われていました。暴れん坊将軍吉宗も鷹狩りあとによく当地を訪れ、植木見物を楽しんだとのことです。その頃から研究熱心な職人が多く、新種の開発や品種改良が活発で、そんな環境から山桜を改良した「ソメイヨシノ」が江戸末期から明治初期にかけてこの地で誕生しました。敷地内にはソメイヨシノの古木が、江戸職人達の心意気を今に伝えて見事に花を咲かせています。

 

 敷地内には江戸末期から昭和に至る政治家・学者・社会運動家・文人・軍人の墓碑が散在し、岡倉天心・二葉亭四迷・高村光太郎などが眠りに就いています。隣の本妙寺には、遠山金四郎や千葉周作が、また慈眼寺には芥川龍之介や谷崎潤一郎のお墓があります。少し離れますが、西巣鴨駅近くの妙行寺には「東海道四谷怪談」のお岩さんのお墓もあります。ちなみにお岩さんは実在の人物で、2月22日が命日です。



 とげぬき地蔵は毎月4のつく日が縁日のたつ日で、4日・14日・24日が該当日です。普段でも多いばあちゃんの人波も、この時ばかりは初詣の明治神宮並になるので、気をつけましょう。物価が異常に安いのが魅力です。100円のお好み焼きや250円の天丼なんてのも出ます。
 どこのお墓でもそうですが、墓地内には野良猫が多いです。でも丸々と太っているので、地域猫として飼われているのかも知れません。ところでお花見は墓地内なので遠慮がちに行われています。ですからそぞろ歩きの静かなお花見には最適な場所です。

 



 「都営染井霊園」
   東京都豊島区駒込5−5
   管理事務所電話 03−3918−3502