常念岳 (じょうねんだけ)



 長野県の安曇野から見て、最も特徴のある山容といえばこの常念岳ではないでしょうか。笠を被せたようなその山嶺は、かつて常念坊という名が付けられたように、地元の人々達に長い間愛着されてきました。
 常念岳は北アルプス入門篇として、数多くの登山者が入山します。まずアプローチが楽なことと、コース設定の危険度が低く急登が少ないことが挙げられます。最近では燕岳から進む表銀座コースで、最初の合戦尾根の急登が避けられて、この常念岳経由で槍ヶ岳へ向かう登山者が増えているようですね。



 最も歩かれているルートは一ノ沢林道を進むコース。JR大糸線の穂高駅からタクシーで一ノ沢林道を入り、車道終点の登山口から緩い登りを5時間程で、常念小屋のある常念乗越に辿り着きます。一ノ沢は石がゴロゴロした枯れ沢で、周囲はコメツガやシラビソが織り成す針葉樹林帯。やがて高度を上げるとダケカンバに変わり、ポンとハイマツ帯に出ると常念乗越はすぐそこです。老若男女誰でもウェルカムな安全なルートです。

 



 常念乗越は燕岳・大天井岳・常念岳・蝶ヶ岳と続く山稜との十字路で、槍ヶ岳の絶好のビューポイントです。殆どの登山客が、初日はここで幕営するなり山小屋に籠るなりと一晩過ごすようです。

 

 常念岳の山頂へはジグザグの急坂を1時間。標高2857mの尖った山頂はとても狭く、休まる場所を探す程ですが眺望は最高で、表銀座の大天井岳への稜線や槍穂高と続く山並は見飽きることがありません。安曇野の長閑な田園も楽しめます。

 

 

  日本百名山にも選ばれているので常念岳単独のピークハンターも目立ちますが、南に連なる蝶ヶ岳へ縦走して再び安曇野へ戻れるので、この二つの山頂を巡るルートを選ぶ登山者も多いようです。
 まず常念岳の山頂から南へ稜線を下ります。東側は切り立った崖なので中々気が抜けず、巨岩がゴロゴロする急坂の下りは落石も多く特に注意が必要です。

 

 

 急な下りが終わると幾つかのピークを越え樹林帯に入ります。常念岳と蝶ヶ岳との中間部にあたる鞍部はだいたい標高2500m前後なので、森林限界ギリギリの高度なのでしょう。やがて蝶ヶ岳への登りとなって、三角点のある蝶槍に辿り着きます。

 

 

 蝶ヶ岳は常念岳と違ってピークのない平たい山頂です。穂高連峰の真正面にあたるので、涸沢カールや穂高の稜線が絵葉書の様に見ることが出来ます。花の山としても知られていて、高山直物がとても豊富。ハイマツでは雷鳥の親子が遊んでいました。

 

 



 「常念小屋」
  開設期間 4月下〜11月上
  連絡先 長野県松本市沢村1-11-18
  電話番号 0263-33-9458
  現地番号 0263-35-9706