平賀邸 (ひらがてい) 登録有形文化財



 川西市内北部の山下地区にある川西市郷土館は、近在の旧家であった平安家の豪邸を中心とする複合的な文化施設で、平安家の御屋敷だけではなく平安家の家業だった鉱山の資料室や、地元ゆかりの洋画家の展示室等が広い敷地内に点在して公開されています。建築物の展示施設としてその平安邸のお隣に、市内にあった平賀邸という洋館が移築されており、こちらも自由に内部が見学出来ます。

 

 この平賀邸があったのは市内猪名川沿いの小戸で、阪急宝塚線沿線の閑静な住宅地だった場所。御近所の池田や雲雀丘花屋敷と同様に戦前のリッチな御屋敷群が建ち並んでいたようで、施主の平賀義美も大阪織物会社の社長を務めた御仁であったことから当地に大豪邸を構えたようです。郷土館内へ移築されたのは門と洋館と実験研究棟だけですが、広大な敷地内に和館や台所棟に離れ、それにワイン棟も建ち並ぶそれはそれは壮麗な御屋敷だった模様ですね。
 洋館は木造平屋建てで屋根は急傾斜天然スレート葺きに、外壁が小石の洗い出しと基礎には御影石が積まれており、暖炉の煙突や出窓が特徴的な外観はイギリスのカントリーハウスに倣った様式です。なんでも施主が若かりし頃に英国へ留学し、その後に何度も洋行を重ね都合7回も外遊した経験から、このような欧風の邸宅を所望した模様。竣工したのが1918年(大正7年)のことで、国登録有形文化財に指定されています。

 

 

 内部は玄関ホールを中心として、客間・書斎・寝室・書生部屋が取り巻く構成で、このホールから各部屋へ直接出入りする形式です。大きな柱時計やステンドグラスが印象的な空間ですが、特筆すべき点として壁紙がウィリアム・モリスのデザインが採用されているところ。留学当時の英国はラファエロ前派が流行していた時期で、この邸宅自体の外観がウィリアムモリスの自邸だったレッドハウスに酷似しており、ステンドグラスの多用から見ても影響を受けたのでしょうね。

 

 

 各部屋にはステンドグラスや暖炉が設えて19世紀後期の英国風の趣を見せますが、特に書斎が凝った装飾を見せており、天井には大きな扇風機が取り付けられ、暖炉の上には細かな寄木細工が施されています。

 

 

 また客間にはサンルームが取り付けられており、床一面には市松模様のタイルが嵌め込まれています。このあたりも英国風。欧州での生活が長かったので、夫婦の寝室も洋間です。

 

 

 この寝室脇の廊下からそのまま隣接する実験研究棟へと至り、空中廊下で二階部へと繋がります。その為外観が少し複雑な形状。木造二階建てですが屋根が赤いスレート葺となるので、主屋とコントラストが付けてあります。内部はガラス張りの採光の良いシンプルな空間。

 

 この他に、東屋や橋の欄干等が移築されています。

 



 「川西市郷土館」
  〒666-0107 兵庫県川西市下財町4-1
  電話番号 072-794-3354
  開館時間 AM10::00〜PM4:30
  休館日 月曜日 12月28日〜1月4日