網走監獄 あばしりかんごく



 網走と云えば刑務所、と誰もが即答するほど有名な場所ですが、実際にポピュラー化したのは高倉健主演の東映映画「網走番外地」シリーズあたりからだとのことです。高倉健扮する漂泊の流れ者橘真一が、「もうこんな所に来るんじゃない」と毎回言われ続ける名物シリーズは、大ヒットを連発して高倉健をスターダムにのし上げました。
 明治時代に建造された堅牢な建物も、オホーツクから吹きすさぶ風雪に長年耐えしのいでいたものの、さすがに老朽化が目立ち始め、昭和48年より10年間に新築の建物に次々と作り変えられていきました。残された遺構を移築復元したのがこの「網走監獄」博物館です。



 網走湖畔から曲りくねった緩い坂道を登ると小高い丘陵に赤レンガの建物が立ち並んでいます。まずは睡蓮の浮かぶ池にかかる鏡橋を抜けて入口へ。さながら三途の川の渡しの如く。ここよりシャバの世界とはしばしオサラバです。入場券を買って中に入るとすぐさま写真を撮られます。出口で¥1000を払うと「出獄証明書」を作成してくれます。40分ほどかかる模様。正面には赤レンガの正門が行く手に立ちはだかり、強面の刑務官と掃除中のおじさんが出迎えてくれます。

 

 正門を潜り向けると庁舎の前庭に出ます。庁舎の内部には面会所があり、ねんねこで背中に赤ん坊を担いだやつれた女性が面会に訪れていました。

 

 一番奥に獄舎があります。黒塗りの木造の建物で、入口を根元に翼を広げたような放射状の5棟による舎房です。入口すぐの所に見張り台が設置され、不審者の監視に日夜余念がありません。

 

 獄舎の内部は、一人住まいの独居房と3人〜5人が雑魚寝状態の雑居房とに分かれていて、独居房は3畳、雑居房は6畳程の広さです。独居房では、囚人の方々が瞑想にふけったり、書をしたためたりなどして日長暮らしています。中には脱獄せんとする不届き者もいました。雑居房ではワイワイと楽しく食事中です。

  

  

 そんな囚人達のお楽しみは一日おきの入浴TIME。きっかり15分の短い時間ですが、自慢のくりからもんもんをふんだんに見せつける、豪奢なショーが繰り広げられます。

 

 時には外部で作業をすることもあり、その為の休泊所が設営されます。ほとんど今の山小屋と変わりません。悪さをしたらしく、独立独居房でいじけている囚人がいました。

 

 謎の宗教的建造物が敷地内にあります。その名も「教誨堂」。法堂とチャペルをミックスした香りを漂わせ、内部は正面に祭壇を奉る何処かの新興宗教の本部の如くです。ここで演歌歌手の慰安公演が行われます。
 本物の網走刑務所は網走市内近くに現在も存在しています。正門前には受刑者の作成した工芸品等が展示販売されています。

 



 「博物館網走監獄」
   
〒099-2421 北海道網走市呼人1-1 
   電話番号 0152-45-2411
   休館日 無休
   見学時間 8:00〜18:00