脊髄小脳変性症 (SCD) は運動失調を呈する神経疾患の総症で、孤発性と遺伝性に分かれ
ます。孤発性が約70%で、なかでも多系統萎縮症(MSA)が過半数を占め残りが皮質性小脳萎 縮症です。 伝子座の違いによってSCA1, SCA2, SCA3(マシャド・ジョセフ病), SCA4、SCA5, SCA6, SCA7, SCA8, SCA10、SCA11, SCA 12, SCA13, SCA14, SCA15, SCA17,歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎 縮症(DRPLA)などの病型に分かれており、SCA3とSCA6はそれぞれ30%近くを占めています。 ニュース173号で既報のようにSCA3のマウスモデルで有望な遺伝子治療法が報告されていま
す。常染色体劣性遺伝性ではフリードライヒ失調症が有名で欧米では最も多い病型ですが本 邦では存在しません。 SCD,MSAともに共通する症状にふらつき、手の振るえ、字が書きづらい、呂律が回らな
い、眼震といった失調症状とそれ以外に四肢が硬くなる、足がつっぱる、起立性低血圧、尿が 出にくい、頻尿、筋肉がやせるといった症状があります。 多系統萎縮症(MSA)は、もともと小脳失調症を呈するオリーブ橋小脳変性症(OPCA)、自律
神経症状を主とするシャイ・ドレーガー症候群(SDS)、パーキンソニズムを表す線条体黒質変 性症(SND)という別々の疾患として報告されていましたが、同じ疾患の症状の現れ方の違いで あることがわかりつけられた名称です。特定疾患の分類上、従来、OPCAはSCDに含まれ、 SDSやSNDは別になっていましたが、平成15年(2003)度よりMSAに統合されました。医学的に は最初に述べたようにSCDの代表的疾患ということができます。 MSAでは脳内の細胞に特異的な塊のあることが分かっていますが、なぜ塊になるのかがま
だ分かっていません。このメカニズムが解明されれば発病の解明が進むものと期待されてい ます。 多系統萎縮症のなかで患者数が多い病型で、主に小脳失調症を呈しますがやがて自律神
経症状やパーキンソニズムも加わってくることが普通です。 主な症状に歩行のふらつき、構音障害、嚥下障害、痙攣、高いいびき、無呼吸発作排尿障
害、起立性低血、立ちくら、発熱があります。 発症の初期から筋肉がこわばり、話ずらくなり歩行が困難になるなど、パーキンソン病によく
似ているため正確な診断に手間取るケースがあります。進行すると排尿が難しくなり便秘にな るといった自律神経症状や小脳失調も現れます。 主な症状に筋肉のこわばり、手が振るえる、歩行が困難、構音障害、立ちくらみ 排尿困
難、便秘、インポテンスがあります。 主症状は排尿困難、起立性低血圧などの自律神経症状です。初発年齢は40〜60歳代で男
性に多いといわれます。なお、SDSに限りませんが、夜間の鼾、睡眠時無呼吸などはOPCAや SNDでもみられ生命予後とも関係するので重要です。 主な症状に起立性低血圧、臥位性高血圧、睡眠時高血圧、食後性低血圧、睡眠時無呼吸、
異常発汗、排尿障害、便秘、失神発作があげられます。
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