例年は日本平和大会の時期ですが、今年は沖縄知事選挙に全力をあげるため、平和大会を開催せずに各地域でそれに代わる取り組みを展開するという方針でした。
長崎県平和委員会では、10月14日に学習企画をたてました。午前中は長崎からマイクロバスで佐世保基地フィールドワーク、午後は佐世保市内で内藤功弁護士(日本平和委員会代表理事)の講演会を行いました。
午前中のフィールドワークのガイドは冨塚明さん(ながさき平和委員会事務局長)。車中では、ちょうど旧種子島空港跡地で行われている水陸機動団と米海兵隊の水陸両用共同訓練を題材に、自由に国土を米軍基地化する日米合同委員会の実態を学びました。
コースは次の通り。①夜間航行訓練を強行している米軍の横瀬LCAC整備場(針尾西町から)→②水陸機動団の戦闘車両部隊が配備される崎辺地区(東浜町)→③針尾弾薬庫への移転統合計画の進行する前畑弾薬庫→④ソマリア沖アデン湾から帰国した「護衛艦あけぼの」が接岸している海自倉島岸壁などを見て回りました。
⑤米軍ゲート付近では思いやり予算で建てられた高層家族住宅、高速道路インター建設にともなう米軍住宅移転や海上自衛隊の要請でテロ対策の「逆シェルター」が取り付けられた話がありました。⑥弓張岳では米軍佐世保基地司令部前に掲げられている国連旗、佐世保重工業と米軍の利害の衝突回避のために思いやり予算で建設された米軍専用の巨大岸壁、陸自水陸機動連隊の配備された相浦駐屯地などを眺めながら説明を受けました。
内藤功弁護士は朝鮮半島をめぐる非核化・平和体制構築の動きは南北や米朝首脳会談による宣言・声明の履行が進み、一進一退はあるが大局的には進展の展望があると指摘。
にもかかわらず、基地強化・高額兵器購入・共同演習をやめない安倍政権による軍事費の異常な増額は、国民の死活に関わる社会保障、中小企業予算を犠牲にするもの。北朝鮮脅威論の根拠が崩れたいま、新たに中国の脅威を口実にする背景には米軍需産業の要求があり、日米首脳会談において安倍総理はトランプ大統領の要求に首を横にふることができず、予算にない高額な兵器購入を約束した。
これに対抗するには、憲法に徹した平和・対話の外交であり、軍事費削って暮らしにまわせ!災害復旧にまわせ!の予算組み替えを各省庁へ要求することや、地方自治体との懇談、請願、意見書や裁判闘争での主張等々広く大衆を巻き込んだ国民的運動の構築が求められる。
憲法に自衛隊を書き込む「安倍改憲」への対応。内閣改造・党役員人事にみられる改憲への執念や「改憲で、憲法9条違憲論に終止符を打つ」暴論に対しては、憲法9条制定の歴史的意義や闘いの中で守り・活かしてきた歴史を語り、「日米同盟・戦争法下での自衛隊は違憲」という姿勢を堅持することが基本。自衛隊はなぜ違憲か—米軍と一体となった装備・演習の実態や、憲法の明確な文言や過去の政府説明・国会審議、長沼裁判の判決等々により明らかであることに確信を持つことが大切。
その上で自衛隊の災害派遣活動をどうみるか。災害救助・救援活動の現場での努力を評価するが、それで違憲が合憲とはならない。国の防災対策全体を見直すべきであり、その際、自衛隊の役割も含めて真剣な議論が求められる。現時点では「自衛隊は違憲」の思いは胸に秘めつつ、「一致点で共同する」オール沖縄の闘いに学び、今後の闘いに展望を持って取り組もうと力強く語られた。
【内藤弁護士の話を聞いての感想】
・軍事産業がトランプ政権と一体となって日本も米国でも肥大化していく危機感を覚えた。
・自衛隊の憲法上の位置づけ(憲法違反)と、政策上(運動論的な)位置づけをはっきり区別することの必要性が分かった。
・行き詰まった安倍政治に対し、一人ひとりが民主主義の力を発揮し、声を上げることが次の時代をつくっていくことだと確信した。
(2018年10月14日)