水陸機動団は5月8日から24日まで海自掃海隊群と共に初めての「水陸機動団演習」を九州西方海域や種子島などで行いました。陸自は水陸機動団140人の他、陸自総隊傘下の第1ヘリ団(木更津駐屯地)、西部方面航空隊(高遊原分屯地)などを含めて約450人が参加。海自はヘリ空母「ひゅうが」と輸送艦「しもきた」を派遣。約1,000人での演習となりました。
9日には海自倉島岸壁に「しもきた」が接岸し、水陸両用強襲車(AAV7)6両などを搭載して出港しました。翌10日には「しもきた」から発進した2隻のLCACが西海市の米軍LCAC整備場で訓練を行っています。
また大瀬戸町漁協に、水陸機動団から10〜13日にAAV7の操縦訓練を行うとの連絡がありました。西海市崎戸町沖合の寺島錨地に停泊した「しもきた」からAAV7を発進・収容する訓練と、AAV7の操縦訓練を行ったとみられます。いずれも初めてのことです。
19日には種子島へ移動。20日に南種子町の前之浜海浜公園でLCACによる上陸訓練を公開する予定でした。しかし悪天候となったため内容を変更し、中種子町の旧種子島空港跡地で、砲弾被害で複数の負傷者が出たと想定し、搬送態勢を整える訓練に切り替え、公開しました。
小野寺防衛相は8日の記者会見で「より一層、自衛隊の水陸両用作戦能力の強化を図っていく」と述べています。水陸両用作戦とは「海兵隊を揚陸艦で敵地などへ運び、小型の上陸艇や航空機に移乗させて上陸・制圧する軍事作戦」のこと。これまでは主に「離島防衛・奪還」という言葉を使ってきましたが、水陸機動団創設あたりから「水陸両用作戦能力」を前面に出すようになったようにみえます。
「水陸両用作戦」は水陸機動団とヘリ空母や輸送艦との一体化で可能となるもの。まさに「強襲揚陸艦部隊」の始動です。米強襲揚陸艦ワスプの初めての海自との共同訓練は輸送艦「しもきた」とでした。行き着く先は明らかです。
(2018年5月25日)