4月27日、ながさき平和委員会はピースカフェを開きました。飯田彰吾さんが『主権なき平和国家』(伊勢崎賢治/布施祐仁 著)を題材に「日米地位協定」の異常さを報告しました。
伊勢崎さんはアフガニスタンで米国との地位協定が結ばれていく過程で米軍が地元の世論を気にし、譲歩を重ねたことを疑問に思い深く考えるようになったといいます。そして日米地位協定は世界で最も米軍に寛容な内容(とくに刑事免責特権)となっていて、日本は独立国だが実質的に主権が大きく損なわれている。改憲議論をする前に日米地位協定の改定こそ、国民が力を合わせるべきだと主張します。
さらに日本国民は地位協定によって主権侵害の意識が薄れ、他国の主権を平気で奪う鈍感さにつながる(すでにジブチで自衛隊が地位協定結んでいる)と指摘しています。
地位協定は刑事免責特権と基地管理権をはじめとする様々な特権を定めたもので、日本では一度たりとも改定の議論さえされていません。
【刑事免責特権】
韓国は01年に改定を実現し12種の犯罪について起訴前の身柄引き渡しが可能となった(日本は運用改善で2種だけ)。タイは76年に刑事免責特権を呑まなかったため米軍は最終的に完全撤退し、基地も返還した。背景に国民世論があったことが教訓。
【基地管理権】
イタリアでは米軍機によるロープウェー切断死亡事故で、検察が事故翌日に基地内で事故機の検証と乗員の事情聴取を行い起訴した。基地管理権は原則イタリアにある。米軍司令官は訓練の年間計画をイタリア軍司令官に報告し、承認を得なければならない。米軍の行動が市民に危険だと判断すれば直ちに行動を中止させる。
<出された意見など>
米国に戦争で負けた政府が長く続いているのは日本だけ。そこが従属の原点/地位協定は「地味」でニュースでもあまり取り上げられない。学ぶ機会も少ない。生活に支障が起きていることをもっと知らせる必要がある/将来の安保条約廃棄を念頭に、地位協定改定での一致点をめざすことも重要。少しでも前進させることで先が見えてくる。
(2018年4月28日)