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核兵器のない世界の地平を開こう

核兵器廃絶地球市民長崎集会シンポジウム

 9月30日、核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会が、シンポジウム「核兵器禁止条約成立が切り開く地平」を開催しました。
 国際反核法律家協会理事の山田寿則さんが基調講演で条約の意義と課題について解説。「核のない世界」のゴールを可視化したものであり、核保有国をいかに参加させるかが課題だと指摘しました。討論では、長崎大学核兵器廃絶研究センターの中村桂子さんと長崎原爆被災者協議会副会長の横山照子さんが加わりました。

◆「核の傘」に拠らない安全保障を
 「核の傘」依存が核保有の口実にされてきた。裏を返せば、「核の傘」依存が減れば反対する理屈を切り崩していける。非核兵器地帯は人類の英知の結晶ともいえる。そこに110を超える国が入っており、彼らは歴史の正しい側にいるというプライドで禁止条約の議論をリードしてきた。非核兵器地帯は、法の下で核攻撃や威嚇をさせないという約束をさせ、核兵器廃絶と地域安全保障という実利の両方を狙ったもの。不可能といわれた地域でも長い時間かけて実現できた。包括的な北東アジア非核地帯構想をいまこそ進めよう。(中村)

◆ヒバクシャ国際署名を推進力に
 条約にヒバクシャが明記された。核兵器の被害の甚大さとそれに対する被害者の苦しみ。そして、体にむち打ちながら必死に被爆体験を語り、核兵器廃絶を訴え続けてきた行動が評価された。
 署名した国も条約に従って行動することが必要になる。そのための推進力となるのがヒバクシャが訴える国際署名だ。核保有国や「核の傘」国の市民社会と手を結び進めることが重要であり、国際署名がその大きな力になり得る。(横山)

◆日本政府へのはたらきかけを強める
 禁止条約には核不拡散、核軍縮の推進、「平和利用」も書かれ、NPTを補完するものとなっている。保有国は条約に入らなければ縛られないのに静観せずに反対するのは、安全保障の基本設計を揺るがすからだ。彼らは、NPTは核兵器の正当性(必要悪)が前提となっていると思っている。禁止条約では正当性を否定した(絶対悪)。それが脅威に映っている。
 日本政府には署名を求め続けると同時に、予定される締約国会議にオブザーバー参加させ、被爆の実相の普及や軍縮教育のあり方で議論させ、巻き込んでいく必要もある。(山田)

(2017年10月1日)