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「戦争する国」づくりの軍事費は6兆円超

 ながさき平和委員会と新日本婦人の会・長崎支部は2月21日、「日本の軍事予算」をテーマに共同学習会を開きました。この学習会は、昨年から「定期的に開いて運動の力にしよう」との趣旨で続けられています。

 ながさき平和委員会の冨塚明事務局長が報告。15年度の国家予算案約96兆円(一般会計)は、税収と借金で賄っており、税収の中で消費税が所得税を上回って一番の財源となっていること、借金の総額は1000兆円にも及び、内800兆円が国債となっている現状を語りました。国債返済額23兆円を除く実予算の約7%が軍事費となっており、5年間の軍備拡張計画である「中期防衛力整備計画」を説明しながら、「第二次安倍内閣が発足して、軍事費の伸びが急増している」と話しました。

 またそれ以外に、景気対策を主眼とする14年度補正予算に2000億円もの防衛省予算が組み込まれていること、15年度の「東日本大震災復興特別会計」に「防衛復興政策費」として航空機の購入・整備費など329億円が計上されていると指摘しました。

 また外国では軍事費の一部と見なされる旧軍人恩給関係費や基地交付金(ともに総務省予算)など、「隠れた軍事費」の存在を指摘しました。

 防衛省の「15年度予算の考え方」では、「日常的に軍事活動を行う」という意味のことが書かれており、シームレス=常に戦争訓練や警備活動をすることや、佐世保の水陸機動団にかかわる予算について具体的な数字をあげて説明しました。しかしその金額は15年度の支出ではなく、必要経費で、そのほとんどが16年度以降へのツケ=後年度負担になると指摘しました。

 「実は軍事費の37%は後年度負担のツケ払いに消え、給与・衣食費を除くと実際に使えるのは1兆円ほど。さらに維持経費を除くと自由になるのはほんのわずか。だからあちこちに忍ばせて分捕っている」と指摘しました。そして「軍事費は、隠れた軍事費と見えない後年度負担を入れていない。本来は約6兆4000億円規模(補正を除く)として認識すべき」と話しました。

 参加者からは「戦争をする準備を着々と進めているようなもの」「軍事に使うお金を福祉やくらしに使えばいいのに」「紙芝居などを使って、分かりにくいものを分かりやすく説明する必要がある」などの意見が出されました。

 冨塚さんは最後に「思いやり予算」の異常な実態を他国と比較して紹介し、また米軍が撤退した国々の例を挙げて「その国が『ノー』と言えば、米軍は出ていくのが、世界の常識。国民主権や国家主権などの当たり前のことを訴えていく必要がある」とまとめました。

(2015年2月22日)