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五島にスパイ・アンテナ装置完成

中国軍の交信など傍受か?


空自福江分屯基地に完成した地上電波測定装置

 五島市三井楽の山中に色彩が薄緑で窓が一つもない異様な建物ー。航空自衛隊の福江島分屯基地に「地上電波測定装置」が完成しました。

 福江島分屯基地は全国に28ヶ所にあるレーダー基地の1つで、航空機の領空侵犯を監視する“目”の機能をもっています。これに対して「地上電波測定装置」は“耳”です。外国の航空機やミサイル基地、航空・武器誘導などの無線交信情報を傍受し、分析するスパイ・アンテナ装置です。蓄積された情報から、どのような航空機がどんな信号をどんな目的で送信しているかわかるようになるといいます。

 70年代はソ連の情報収集目的で北海道の稚内、根室、奥尻島の分屯基地に設置されました。近年は、朝鮮半島の動向を睨んで、佐賀県の背振山分屯基地に新型のFLR-4が設置され、06年度に運用を開始しました。そして中国を含む「南西方面の情報態勢の強化を行う」ために沖縄県宮古島分屯基地に最新鋭のFLR-4Aが建設され、09年度から運用しています。装置は東芝製で、宮古島の総経費は約70億円でした。

 福江島の「地上電波測定装置」は全国で6番目、FLR-4Aとしては宮古島に次ぐもので、12年9月〜14年8月にかけて建設されました。宮古島のものと形状は少し違いますが、2つのサイロ形タワーと多角形の局舎、2つアンテナドームの構成は同じです。

 福江島の計画は06年度に固まったものですが、昨年12月に閣議決定された防衛計画の大綱で明記された「平素から、常時継続な情報収集・警戒監視・偵察活動を行う」の一翼を担うもの。奇しくも、旧ソ連などの通信を傍受してきた東西冷戦時代の象徴ともいえる米軍三沢基地のスパイアンテナ群「ゾウのおり」(FLR-9)の解体工事が10月15日から始まっています。

(2014年11月4日)