4月13日、長崎県地域・自治体研究所設立準備会が4月例会を開きました。福岡県自治体問題研究所の事務局長の宮下和裕さんが「憲法を守り生かす力はどこに」と題して講演。
■なぜ日本国憲法は67年も続いているのか?
制定時の主要な勢力は憲法がこんなに存続するとは思っていなかった。例えばマッカーサーは国会での早期の再審査を求め、米国もすぐに日本の限定再軍備の方向を打ち出し、自主憲法制定を掲げる自民党が政権につく等々。
存続させたのは憲法自身が持つ生命力、不朽の先進性。つまり(1)人類の到達点を反映、先取りし、(2)日本国民の願いに合致し、(3)世界の特に戦争で多大は被害を被ったアジアの民衆の願いに合致していたこと。もっとも条文と現実が合っていない問題点も指摘されるが。
■国民に憲法をつくらせなかったのは誰?
安倍首相は「まだ私たちの手で憲法を作ったことがない」と強調するが、それをさせなかったのはかつての政府だった。GHQ案が出てきたのは政府案が検討にも値しないものだったからだ。またそれを受け入れざるを得なかったのは、GHQが(1)天皇制存続の保障がなくなる、(2)GHQ案か政府案かの選択を国民に委ねると脅したから。「国民主権」を曖昧にしたい政府はGHQ案を受け入れ、内容を換骨奪胎させる路線に転換する(しかしその多くはGHQによって拒まれる)。
■GHQ案の土台には日本と世界の到達点が
わずか10日でまとめられたGHQ案だが、スタッフは東京の図書館から世界中の憲法を収集、とりわけワイマール憲法、ソ連憲法、フランス人権宣言など世界の到達点を学んでいた。また日本の民間の各種の憲法草案、特に憲法研究所の案を参考にしてGHQ案がつくられた。
■憲法は「ドラえもんのポケット」
環境権、プライバシー権、犯罪被害者の権利など、時代が必要とする権利を補充すべきという議論があるが、それらは包括的な人権保障規定の13条から導き出せる。憲法は「ドラえもんのポケット」のような魔法の力を持っている。
また憲法の精神をどう生かし、その時代の骨肉にしていくか、これは世代を超えて絶え間なく作り上げていく「未完のプロジェクト」ともいえる。
このような憲法の持つ生命力に確信を持ち、声を上げて議論を深めれば多数派になれる。
(2014年4月14日)